栄養士の職務経歴書で書類選考を突破する職務要約の書き方と業態別例文集
栄養士や管理栄養士の活躍の場は病院や保育園、委託給食会社、食品メーカーなど多岐にわたりますが、好条件の求人や人気のある企業への転職を成功させるためには、職務経歴書の冒頭にある職務要約で明確な差別化を図る必要があります。多くの応募者が保有資格と経験年数を書くだけにとどまりがちですが、採用担当者が求めているのは、それぞれの現場で具体的にどのような業務を遂行し、どのような貢献をしてきたかという実務能力の証明です。ここでは栄養士としての経験を魅力的なスキルとして言語化し、書類選考を通過するための職務要約の書き方のポイントと、業態別の具体的な例文を紹介します。
栄養士の採用担当者が職務要約で重視する3つのポイント
栄養士の採用において施設側が求めているのは、即戦力となる実務経験や現場への適応力です。採用担当者は職務要約を通じて以下の3点を確認しています。
- 保有資格と経験した業態管理栄養士か栄養士かという資格の違いはもちろん重要ですが、それ以上にどの業態(直営の病院、委託会社、保育園、老人ホームなど)で経験を積んだかが重視されます。業態によって求められる業務(臨床栄養、給食管理、食育など)が大きく異なるためです。
- 具体的な業務範囲と規模感献立作成や発注業務だけでなく、調理業務の割合や、一度に何食分を提供していたかという規模感を確認します。また栄養指導の件数や対象者(患者様、高齢者、乳幼児など)も記載することで、スキルの深度を判断します。
- マネジメント経験とコスト意識厨房内での調理スタッフへの指導経験や、食材費の原価管理、衛生管理の責任者経験などは、リーダー候補として高く評価されるポイントです。
職務要約の適切な文字数と構成テクニック
職務要約の最適な文字数は200文字から300文字程度です。採用担当者が30秒程度で読み切れる分量にまとめるのが理想的です。以下の3つの要素を組み込むことで、読みやすく説得力のある要約になります。
- 誰に(どこで):勤務した施設の種類、規模(食数、病床数)、経験年数。
- 何を(業務):担当した主な業務(給食管理、栄養管理、調理など)。
- どうやって(実績):業務改善の工夫、コスト削減の実績、チーム運営。
【病院・管理栄養士】栄養指導とチーム医療をアピールする例文
病院での経験者は、病棟業務や栄養指導の実績、NST(栄養サポートチーム)など他職種との連携経験をアピールして専門性を証明します。
例文
大学卒業後、管理栄養士として5年間、300床規模の総合病院にて栄養管理業務に従事してまいりました。
入院患者様の栄養管理計画書の作成および栄養指導(月間平均40件)を担当し、糖尿病や腎臓病など疾患別の食事療法をサポートしました。またNST(栄養サポートチーム)の一員として医師や看護師と連携し、患者様の低栄養改善に取り組みました。給食管理においては直営厨房での衛生管理責任者を務め、HACCPに準拠した衛生管理マニュアルの改訂を行いました。これまでの臨床経験とチーム医療での連携力を活かし、貴院の地域医療への貢献に尽力したいと考えています。
【保育園・栄養士】食育とアレルギー対応をアピールする例文
保育園での経験者は、子どもたちの成長を支える給食作りや、アレルギー対応の徹底、食育活動の企画力をアピールします。
例文
短期大学卒業後、栄養士として4年間、定員120名の私立認可保育園にて給食管理および調理業務に従事してまいりました。
離乳食から幼児食まで、子どもの発達段階に合わせた献立作成と調理を担当しました。特に食物アレルギー対応においては、除去食の調理手順をマニュアル化し、誤配ゼロを徹底しました。また食育活動にも注力し、季節の食材を使ったクッキング保育を企画・実施することで、子どもたちの食への関心を高めることに貢献しました。これまでの経験で培った安全な給食提供のスキルと子どもへの対応力を活かし、貴園の食育推進に貢献します。
【委託給食会社】現場対応力とコスト管理をアピールする例文
委託会社での経験者は、大量調理のスキルや原価管理能力、クライアント(施設側)との調整力をアピールします。
例文
委託給食会社にて6年間勤務し、特別養護老人ホームおよび社員食堂の計2店舗にて責任者を務めました。
1日あたり500食の大量調理から盛り付け、洗浄までの一連の厨房業務を担当しました。責任者としては、食材発注における在庫管理の徹底と、パートスタッフ15名のシフト管理を行いました。特に原価管理に注力し、食材ロスの削減と発注精度の向上により、食材原価率を目標値内に収める運営を継続しました。また施設側の栄養士様とも密に連携を取り、行事食の提案などを通じて喫食者の満足度向上に努めました。貴社においても現場マネジメント力を活かして貢献します。
【未経験・異業種から】ポータブルスキルと意欲をアピールする例文
異業種から栄養士を目指す場合や、ブランクがある場合は、前職で培った事務処理能力やコミュニケーション能力をアピールしつつ、現在の学習状況を伝えます。
例文
一般企業の営業事務として4年間勤務し、受発注業務および顧客対応に従事してまいりました。
正確な事務処理能力と、社内外の関係者と円滑に業務を進めるコミュニケーション能力を培ってまいりました。食を通じて人々の健康を支えたいという思いから、働きながら栄養士資格を取得いたしました。実務経験はありませんが、現在は高齢者栄養に関するセミナーに参加するなど知識の習得に励んでいます。前職で培った調整力と事務スキル、そして持ち前の向上心を活かし、厨房業務から事務作業まで幅広く対応できる栄養士として貴施設に貢献します。
栄養士の職務要約を書く際の注意点
栄養士の職務要約を書く際によくある失敗として、単に「献立作成と調理を行いました」という事実だけの羅列になってしまうことが挙げられます。これでは他の応募者との差別化ができません。「月間何件の指導を行ったか」「原価率をどう改善したか」「アレルギー対応で何を工夫したか」といった具体的な情報を盛り込むことで、プロフェッショナルとしての能力を伝えてください。また大量調理の経験がある場合は、スチコンなどの厨房機器の扱いに慣れていることもアピール材料になります。





