職務経歴書で協調性をアピールするための書き方と具体的例文
転職活動の職務経歴書において、自己PRのテーマとしてよく選ばれるのが協調性です。組織で働く以上、周囲と協力して業務を進める能力は必須であり、多くの企業が求めている資質だからです。
しかし、単に「協調性があります」「誰とでも仲良くできます」と書くだけでは、採用担当者の心には響きません。ビジネスにおける協調性とは、仲の良さではなく、立場の異なる人たちを巻き込みながら共通の目標を達成する力のことだからです。
ここでは、あなたの協調性をビジネススキルとして高く評価してもらうための書き方のポイントと、職種やシチュエーション別の具体的な例文を紹介します。
ビジネスで評価される協調性とは何か
職務経歴書を書く前に、まずは企業が求めている協調性の定義を再確認します。採用担当者は、以下のような行動特性を協調性として評価しています。
周囲の状況を観察し、チームの不足部分を自発的に補うこと
意見が対立した際に、感情的にならず調整役として合意形成を図ること
自分の成果だけでなく、チーム全体の目標達成を優先して行動すること
他部署や社外の関係者とも円滑なコミュニケーションを築き、業務を推進すること
つまり、受け身で空気を読むことではなく、目的達成のために能動的に働きかける姿勢こそが、アピールすべき協調性です。
協調性をアピールする自己PRの構成テクニック
説得力のある文章にするためには、以下の3つの要素を盛り込んで構成します。
どのような協調性なのかを定義する
単に協調性と言わず、相手の意見を尊重する傾聴力や、チームのベクトルを合わせる調整力など、あなたなりの言葉で具体的に表現します。
具体的なエピソードを添える
どのような課題があり、周囲とどのように関わり、どのように解決したかというプロセスを記述します。ここで具体的な行動を書くことで、再現性のあるスキルであることを証明します。
成果と入社後の貢献イメージで結ぶ
その行動の結果、チームにどのような良い影響があったか(業務効率化、売上達成、雰囲気の改善など)を伝え、応募先企業でも同様に貢献したいという意欲で締めくくります。
例文1 事務職やサポート業務における協調性
事務職などのバックオフィス業務では、周囲が働きやすい環境を整える気配りや、業務を円滑に進めるためのサポート力が評価されます。
自己PR例文
私の強みは、チーム全体の業務効率を高めるために自ら動く協調性です。
現職の営業事務では、営業担当者5名のサポート業務を行っております。以前は個々の営業担当者が資料作成に追われ、本来の商談時間を確保できていないという課題がありました。そこで私は、チーム内での業務分担を見直すことを提案し、共通して使用できる資料のフォーマット化を推進しました。
また、営業担当者が外出している間も円滑に情報共有ができるよう、チャットツールの活用ルールを整備しました。その結果、チーム全体の残業時間が月平均10時間削減され、営業担当者が商談に集中できる環境を作ることができました。
貴社においても、周囲の状況を常に把握し、チームのパフォーマンスを最大化できるサポーターとして貢献したいと考えております。
例文2 営業職やプロジェクト進行における協調性
営業職やプロジェクトリーダーの場合、利害関係の調整や、多様な意見をまとめるリーダーシップとしての協調性が求められます。
自己PR例文
私の強みは、立場の異なる関係者の意見を調整し、プロジェクトをゴールへ導く折衝力としての協調性です。
前職のシステム開発プロジェクトでは、顧客の要望と社内エンジニアのリソース状況に乖離が生じ、進行が停滞する場面がありました。私はプロジェクトマネージャーとして双方の意見を丁寧にヒアリングし、顧客には優先順位の整理を提案する一方で、エンジニアチームには業務負荷を平準化するスケジュールを提示しました。
粘り強く対話を重ねて信頼関係を構築した結果、納期を遅らせることなくプロジェクトを完遂し、顧客満足度の向上とチームの疲弊防止を両立させることができました。
この経験を活かし、貴社の営業活動においても、社内外の関係者を巻き込みながら大きな成果を生み出す調整役として貢献いたします。
例文3 接客業やサービス業における協調性
店舗スタッフなどの場合、スタッフ間の連携プレーや、後輩への指導を通じたチームビルディングの能力がアピールポイントになります。
自己PR例文
私の強みは、チームワークを醸成し、店舗全体のサービスレベルを向上させる協調性です。
飲食店でのホールリーダーとして、スタッフ15名のマネジメントと店舗運営に携わりました。繁忙時にはスタッフ間の連携が取れず、提供遅れなどのミスが発生することが課題でした。そこで私は、インカムを使った声掛けのルールを徹底し、手が空いているスタッフが忙しいエリアを即座にフォローする体制を作りました。
また、新人スタッフが孤立しないよう、メンター制度の導入を店長に提案し、実行しました。これによりスタッフ同士の助け合いが自然と生まれる風土ができ、離職率の低下と顧客満足度アンケートの評価向上に繋がりました。
貴社においても、スタッフ一人ひとりと向き合い、一丸となって目標に向かえるチーム作りに尽力いたします。
ありきたりな表現を避けるためのポイント
協調性という言葉は使い古されているため、表現を工夫することで他の応募者との差別化を図ります。
チームワークを重視すると言い換える
組織への貢献意欲が高いことを示します。
調整力や橋渡し役と言い換える
能動的に人と人をつなぐ役割であることを強調します。
相手の立場に立って考えると言い換える
ビジネスの基本である顧客視点や相手視点を持っていることを示します。
ネガティブな印象を与えないための注意点
協調性をアピールする際に注意すべきなのは、主体性がないと思われないようにすることです。周りに合わせるだけ、言われたことをやるだけ、という印象を与えてしまうと、ビジネススキルとしては評価されません。
自分の意見を持ちつつも、相手を尊重したというバランスや、組織のためにあえて自分が折れたり、逆に説得したりしたという意思決定のプロセスを盛り込むことが大切です。
職務経歴書では、あなたの協調性が単なる仲良しグループを作るためのものではなく、企業の利益や課題解決に直結するビジネススキルであることを、具体的なエピソードとともに伝えてください。





