転職活動の履歴書。「大学院」経歴の正しい書き方
転職における履歴書の学歴欄の役割
転職活動においては、これまでに培ってきた「職歴」が最も重視されることは間違いありません。しかし、応募者の基本的なプロフィールを伝える履歴書、その中でも「学歴」欄は、応募者の基礎的な学習能力や、専門性の背景を示す上で、採用担当者が必ず目を通す項目の一つであります。特に「大学院」での経歴は、応募者の専門性を裏付ける重要な情報となります。大学(学部)卒業とは異なる、大学院特有の正しい書き方を理解し、経歴を正確に伝えることが重要です。
学歴欄への記載の基本。大学卒業からの流れ
履歴書の学歴欄は、原則として時系列に沿って記載します。大学院の経歴は、その前提となる大学(学部)卒業の経歴の後に続けて記載します。
(記載例)
〇〇年〇月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 卒業
〇〇年〇月 〇〇大学大学院 〇〇研究科 〇〇専攻 〇〇課程 入学
大学院経歴の具体的な書き方。研究科・専攻・課程
大学院の経歴を記載する際は、単に「〇〇大学大学院 入学」と記載するだけでは不十分であります。採用担当者に自身の専門分野を正確に伝えるため、以下の情報を省略せずに正式名称で記載する必要がございます。
まず、大学院の名称(例。「〇〇大学大学院」)、次に「〇〇研究科」(例。「経済学研究科」)、そして「〇〇専攻」(例。「経済政策専攻」)までを正確に記します。さらに、それが「修士課程」であるのか、「博士課程」であるのかも明記します。博士課程の場合は、「博士前期課程」「博士後期課程」と分けて記載する場合もございます。
「卒業」ではなく「修了」という言葉を用いる
履歴書の学歴欄における、大学院特有の最も重要なルールの一つが、使用する言葉の違いであります。大学(学部)を終えた場合は、「卒業」という言葉を用います。しかし、大学院の修士課程、または博士課程を所定の単位取得と論文審査などを経て終えた場合は、「修了」という言葉を用いるのが一般的であります。
(記載例。修士課程の場合)
〇〇年〇月 〇〇大学大学院 〇〇研究科 〇〇専攻 修士課程 入学
〇〇年〇月 〇〇大学大学院 〇〇研究科 〇〇専攻 修士課程 修了
博士課程における「単位取得後退学」の記載方法
博士課程(博士後期課程)に在籍し、博士論文の提出(あるいは博士号の取得)には至らなかったものの、所定の単位は全て取得した上で退学した場合、「中途退学」とは記載せず、「単位取得後退学」と記載するのが通例であります。
これは、学力不足などによる一般的な中途退学とは異なり、博士課程で求められる研究活動や単位取得を完了したことを示すものであり、学術的な経歴として正しく評価されるための記載方法であります。
(記載例。博士課程の場合)
〇〇年〇月 〇〇大学大学院 〇〇研究科 〇〇専攻 博士後期課程 入学
〇〇年〇月 〇〇大学大学院 〇〇研究科 〇〇専攻 博士後期課程 単位取得後退学
履歴書は正確性が信頼の第一歩
転職活動において、履歴書は応募者の経歴を正確に伝えるための公的な書類であります。学歴欄、特に大学院のような専門的な経歴の記載を、正しい用語(例。「修了」)を用いて正確に行うことは、採用担当者に対し、自身の誠実さや、ビジネス文書を丁寧に作成する姿勢を示すことにもつながります。自身の専門性を正しく伝えるためにも、正確な記載を心がけることが重要であります。





