履歴書の「退職」の書き方。理由別に解説する正しい記載ルール
履歴書の職歴欄における「退職」記載の重要性
履歴書の「職歴」欄は、あなたのこれまでのキャリアを採用担当者に時系列で伝えるための、非常に重要な項目です。採用担当者は、あなたが「いつ」「どの会社で」働いていたかに加え、「どのようにその職務を終えたか」も確認しています。
「退職」の事実と理由をどう記載するかは、ビジネスマナーとして、またご自身の経歴を正確に伝える上で非常に大切です。曖昧な書き方をすると、採用担当者に不要な疑問を抱かせる原因にもなりかねません。
「退職」と「退社」どちらを使うべきか
まず、履歴書に記載する際、「退職(しょく)」と「退社(しゃ)」のどちらの言葉を使うべきか迷う方がいます。
- 退職:職を辞めること。
- 退社:会社を辞めること。
結論から言うと、どちらを使用しても間違いではありません。 どちらも「会社を辞めた」という意味で伝わります。
ただし、履歴書の記入例やテンプレートでは「一身上の都合により退社」という表現が使われることが非常に多く、一般的です。一方で、「会社都合により退職」や「定年退職」のように、「退職」という言葉が使われる場面も多くあります。
この記事では、最も一般的で広く使われている「一身上の都合により退社」を基本としつつ、状況に応じた使い分けを解説します。大切なのは、どちらか一方の表現にこだわりすぎることより、理由を明確に記載することです。
【理由別】退職理由の具体的な書き方
退職の理由は、詳細(例:「人間関係が理由で」「給与に不満があり」など)まで書く必要は一切ありません。しかし、それが「ご自身の都合」なのか「会社の都合」なのかは、明確に区別して記載する必要があります。
自己都合の場合(最も一般的なケース)
ご自身の意思で、転職、結婚、引越し、家事都合などを理由に退職した場合は、「自己都合」となります。これは最も一般的なケースです。
職歴欄には、退職した年月を記載し、その次の行に以下のように記載します。
書き方:「一身上の都合により退社」
この「一身上の都合」という言葉が、すべての個人的な理由をカバーします。面接で具体的な理由を聞かれることはありますが、履歴書の段階ではこれだけで十分です。
会社都合の場合(倒産、解雇など)
会社の倒産、事業所の閉鎖、業績不振による解雇(リストラ)など、ご自身の意思ではなく、会社側の事情によって退職を余儀なくされた場合は「会社都合」となります。
この事実は、転職活動において不利になるものではなく、客観的な事実として正確に記載すべきです。
書き方:「会社都合により退職」
あるいは、より具体的に「会社倒産により退職」「事業所閉鎖により退職」などと記載することもできます。
契約期間満了の場合(契約社員など)
契約社員や派遣社員などで、定められた契約期間が終わり、更新せずに(あるいは更新されずに)退職した場合は、「契約期間満了」となります。これは自己都合でも会社都合でもないため、事実をそのまま記載するのが適切です。
書き方:「契約期間満了により退社」
定年退職の場合
会社が定めた年齢に達して退職した場合は、そのまま事実を記載します。
書き方:「定年退職」
現在も在職中(退職予定)の場合の書き方
まだ退職しておらず、現在もその会社に勤務しながら転職活動をしている場合の書き方です。
基本の書き方:「現在に至る」
最後の職歴として、入社した年月と会社名を記載します。退職に関する記載はせず、その次の行に以下のように記載します。
書き方:「現在に至る」
退職日が決まっている場合の記載
もし、すでに退職交渉が済んでおり、最終出社日や退職日が確定している場合は、採用担当者への重要な情報提供となります。その日付を併記するのが非常に親切です。
「現在に至る」の後に()書きで、退職予定日を加えます。
書き方:「現在に至る(〇〇年〇月〇日 退職予定)」
職歴の最後を締めくくる「以上」
全ての職歴を書き終えたら、それが最後であることを示すために、必ず「以上」という言葉を記載します。
「現在に至る(退職予定)」と書いた場合も、あるいは最後の退職理由(例:「一身上の都合により退社」)を書いた場合も、その次(最後)の行の右端に「以上」と記載して、職歴欄を締めくくります。
「退職」の事実は隠さず、正確に記載する
履歴書の職歴欄は、あなたのキャリアを公的に示すものです。短期間での退職であっても、その事実を省略したり、曖昧にしたりすることは、経歴の空白期間を生むことになり、かえって採用担当者に不信感を与えます。ルールに則って正確に記載することが、信頼を得る第一歩です。





