履歴書の「扶養家族」欄の正しい書き方と年収の基準。配偶者の有無まで徹底解説
転職活動において履歴書を作成する際、学歴や職歴と並んで意外と判断に迷うのが「扶養家族(ふようかぞく)」の欄です。「一緒に暮らしている家族の人数を書けばよいのか」「共働きの妻や夫は含まれるのか」といった疑問を持つ方は少なくありません。この欄の書き方を間違えると、入社後の社会保険手続きや税金の計算、家族手当の支給などでトラブルになる可能性があります。ここでは履歴書における扶養家族の正しい定義や、年収による判断基準、そして配偶者の扶養義務の書き方について詳しく解説します。
履歴書における「扶養家族」とは誰を指すのか
まず大前提として、履歴書の扶養家族欄に記載すべき人数は、単なる「同居家族の人数」ではありません。ここでいう扶養家族とは、あなたの収入によって生活を支えている家族のことであり、一般的には「健康保険上の扶養家族」の基準で判断します。
具体的には、以下の2つの条件を満たす家族が対象となります。
- 自分自身の収入で生計を維持していること
- 対象となる家族の年収が一定額(一般的には130万円)未満であること
例えば、同居していても親や子供が自立して働いており、十分な収入がある場合は扶養家族にはカウントしません。逆に、別居していても仕送りをして生計を支えている学生の子供や高齢の親などは、扶養家族に含まれる場合があります。
扶養に入れるかどうかの境界線「年収130万円の壁」
履歴書に書くべきか迷った際、最も重要な判断基準となるのが「年収130万円」というラインです。健康保険法において、被扶養者として認定されるためには、向こう1年間の年収見込みが130万円未満であることが条件とされています。
- 年収130万円未満の場合: 扶養家族としてカウントします(パートやアルバイトの配偶者、子供など)。
- 年収130万円以上の場合: 扶養家族にはカウントしません(フルタイムで働く配偶者など)。
ただし、対象者が60歳以上や障害者の場合は、基準額が「180万円未満」に引き上げられます。履歴書を作成する時点での状況に基づいて判断し、正確な人数を記入してください。
「扶養家族数」欄の正しい数え方と書き方
履歴書には「扶養家族数(配偶者を除く)」という欄があります。ここの書き方には特有のルールがあり、多くの人が間違いやすいポイントです。
重要なルール:配偶者はこの人数に含めません
欄外に「配偶者を除く」と書かれている通り、妻や夫がいる場合でも、この数字には含めてはいけません。配偶者については別の欄で「有・無」を回答する形式になっているためです。
【記入例】
- 独身で一人暮らしの場合: 「0人」
- 配偶者(専業主婦/主夫)と子供2人(収入なし)の場合: 「2人」(配偶者は除き、子供のみカウント)
- 配偶者(年収150万円)と子供1人(収入なし)と70歳の親(年金収入のみで扶養内)の場合: 「2人」(配偶者は除き、子供と親をカウント)
「0人」の場合も空欄にはせず、必ず「0」と記入して記入漏れではないことを示してください。
「配偶者」と「配偶者の扶養義務」欄の書き分け
扶養家族数の横には、「配偶者」および「配偶者の扶養義務」という欄があります。この「有・無」の丸のつけ方にも注意が必要です。
「配偶者」欄の書き方
法的に婚姻関係にあるパートナーがいるかどうかを問われています。
- 結婚している場合: 「有」に丸をつけます。
- 独身(未婚・離婚・死別)の場合: 「無」に丸をつけます。
- ※事実婚の場合、企業によって規定が異なる場合がありますが、履歴書上は戸籍上の有無で判断するのが一般的です。
「配偶者の扶養義務」欄の書き方
ここが最も間違えやすいポイントです。「配偶者がいるか」ではなく、「その配偶者をあなたが養う必要があるか(扶養に入れるか)」を聞かれています。
- 配偶者の年収が130万円未満の場合: あなたが扶養することになるため「有」に丸をつけます。
- 配偶者の年収が130万円以上の場合: 配偶者は自立して保険料を支払うため、扶養義務は「無」に丸をつけます。
- 独身(配偶者がいない)の場合: 当然扶養する義務も発生しないため「無」に丸をつけます。
よくある間違いとして、共働きで配偶者に十分な収入があるにもかかわらず、配偶者がいるからといって「扶養義務:有」にしてしまうケースがあります。これは誤りですので、配偶者の年収を確認した上で記入してください。
企業はなぜ扶養家族の情報を必要とするのか
履歴書で扶養家族の情報を確認する理由は、主に「入社後の事務手続き」と「手当の計算」のためです。
企業は社員を採用すると、健康保険証の発行や所得税の計算を行う必要があります。扶養家族がいる場合は、その人数分だけ手続きが増え、税金の控除額も変わります。また、企業によっては「家族手当」や「子供手当」といった福利厚生を設けている場合があり、その支給額を算出するための基礎データとして活用されます。
プライベートな情報ではありますが、給与や保険に直結する重要な項目です。採用担当者に正確な情報を伝えることで、入社後の手続きをスムーズに進めることができます。書き方に迷った際は、現在の健康保険証を確認し、誰が被扶養者になっているかを確認するのが確実です。





