副業経験を履歴書にどう書くか。職歴としての正しい記載方法とキャリアを武器にするアピール術
働き方改革やリモートワークの普及に伴い、本業を持ちながら副業(パラレルワーク)に取り組むビジネスパーソンが増えています。転職活動においても、副業で培ったスキルや経験は強力なアピール材料となり得ます。しかし、いざ履歴書を作成しようとすると、本業の会社名と並行してどのように記載すればよいのか、そもそも書いても良いのかと迷う方は少なくありません。
副業経験は書き方を間違えると、職歴が複雑に見えてしまったり、本業をおろそかにしていたのではないかと誤解されたりするリスクもあります。しかし、適切な方法で記載すれば、自律的なキャリア形成や高い実務能力を証明する武器になります。ここでは履歴書における副業経験の正しい書き方や、雇用形態別の記載ルール、そして採用担当者に好印象を与えるためのポイントについて詳しく解説します。
副業を履歴書に書くべきかどうかの判断基準
まず副業経験を履歴書に記載するかどうかですが、基本的には応募する企業の職種や業務内容に関連するスキルが得られた経験であれば、積極的に記載することをお勧めします。例えば、本業が営業職で、副業としてWebマーケティングやライティングを行っていた場合、ITリテラシーや情報発信能力のアピールになります。また、個人事業主として活動していた経験は、経営者視点やコスト意識を持っていることの証明にもなります。
一方で、単なるお小遣い稼ぎのための短期間のアルバイトや、応募職種と全く関連性のない副業の場合は、無理に記載する必要はありません。履歴書はあくまで自身のキャリアをプレゼンテーションするための書類ですので、ノイズとなる情報は省き、アピールしたい経験に焦点を当てることが重要です。ただし、空白期間(ブランク)を埋めるために副業を行っていた場合は、勤労意欲を示すために記載する方が良いケースもあります。
職歴欄における副業の書き方とレイアウトの工夫
履歴書の職歴欄に副業を記載する場合、本業の時系列の中にどのように組み込むかがポイントになります。基本的には本業の入退社歴を軸に書き、副業を開始した時期に合わせて記載します。
具体的な書き方としては、本業の会社名の下に、別の行を設けて記載する方法が見やすくて一般的です。例えば、本業の会社に入社した行の下に、令和〇年〇月 個人事業主として開業(屋号:〇〇)と記載し、その横や下の行にWebサイト制作及び運営業務に従事(副業として)とカッコ書きなどで補足します。これにより、本業と並行して活動していたことが明確に伝わります。
もし副業がアルバイトやパートなどの雇用契約に基づくものである場合は、株式会社〇〇 入社(副業として勤務)と記載します。重要なのは、それが本業なのか副業なのかを採用担当者が一目で判別できるようにすることです。また、すでに副業を辞めている場合は、一身上の都合により廃業あるいは契約期間満了により退職と記載して締めくくります。
個人事業主や業務委託の場合の用語の選び方
副業の多くは、企業と雇用契約を結ばない個人事業主(フリーランス)や業務委託の形で行われます。この場合、履歴書で使う用語には注意が必要です。会社員であれば入社や退社を使いますが、個人事業主の場合は開業や廃業、業務委託の場合は契約締結や契約終了といった言葉を使うのが正確です。
例えば、令和〇年〇月 株式会社〇〇と業務委託契約を締結と記載し、業務内容として広報支援業務を受託と続けます。このように正確なビジネス用語を使用することで、契約形態や商流を正しく理解しているという印象を与えることができます。また、特定のクライアントがおらず、クラウドソーシングなどで不特定多数の案件をこなしていた場合は、個人事業主として活動開始(ライティング業務等)といった表現で活動の実態を伝えます。
職務経歴書で副業の成果をアピールする
履歴書の職歴欄ではスペースが限られているため、副業での具体的な実績やスキルは職務経歴書で詳しく解説します。本業の経歴とは別に副業・個人活動という項目を設け、そこでどのような課題に対してどのような解決策を提供したのかを記述します。
副業は本業と異なり、看板のない状態で自らの力で仕事獲得から納品までを行う必要があります。そのため、営業力、自己管理能力、専門スキルといった個の力がより鮮明に表れます。売上金額や制作物の数、クライアントからの評価など、可能な限り客観的な数値を用いて実績を示すことで、即戦力としての説得力が増します。本業との相乗効果(シナジー)があったエピソードなどを盛り込むと、多角的な視点を持つ人材としてさらに評価が高まります。
転職後も副業を続けたい場合の本人希望記入欄の書き方
もし転職後も現在の副業を継続したいと考えている場合は、隠さずにその旨を伝える必要があります。履歴書の本人希望記入欄を活用し、現在行っている副業の内容と、入社後も業務に支障のない範囲で継続を希望いたしますと丁寧に記載します。
近年は副業を解禁する企業が増えていますが、競業避止義務や情報漏洩のリスクから、副業の内容によっては許可されない場合もあります。選考の早い段階、あるいは内定後のオファー面談などで条件をすり合わせるためにも、履歴書の段階で正直に申告しておくことがトラブル防止につながります。隠して入社し、後から発覚して処分を受けるリスクを避けるためにも、誠実な対応を心がけてください。
副業経験は、これからの時代のキャリアにおいて大きな武器となります。書き方のルールを守りつつ、その経験をポジティブなストーリーとして伝えることで、他の応募者にはない独自の強みとしてアピールしてください。





