履歴書に転職理由として家庭の事情を書く際のポイント。好印象を与える書き方と注意点
転職理由が家庭の事情である場合の履歴書の書き方
転職活動において履歴書を作成する際、退職理由や転職理由が「家庭の事情」である場合、それをどのように記載すべきか悩む方は少なくありません。親の介護や配偶者の転勤、育児、あるいは家業の手伝いなど、家庭の事情は多岐にわたります。これらはやむを得ない事情であることが多いものの、詳しく書きすぎるとプライベートな問題を仕事に持ち込むような印象を与えないか、逆に書かなすぎると短期離職やブランクの理由が伝わらないのではないかと不安になるものです。採用担当者は、応募者が入社後に安定して勤務できる状態にあるのかを最も懸念しています。そのため、家庭の事情を理由にする場合は、現在はその問題が解決しており、業務に支障がないことを明確に伝える書き方が求められます。
職歴欄では基本的に一身上の都合で問題ない
履歴書の職歴欄における退職理由の記載については、家庭の事情であっても基本的には「一身上の都合により退職」という定型句を使用すれば問題ありません。職歴欄はあくまで経歴の事実を時系列で伝える場所であるため、個人的な事情を詳細に記述する必要性は低いからです。特に、退職から次の就職までの期間が空いていない場合や、一般的な転職活動の範囲内であれば、あえて家庭の事情に触れず、面接の場で必要に応じて説明するというスタンスで十分です。余計な情報を入れすぎず、シンプルにまとめることがビジネス文書としての履歴書の基本となります。
事情を書き添えたほうが有利になるケース
基本は定型句で良いものの、状況によってはあえて家庭の事情を簡潔に書き添えたほうが、書類選考で有利に働くケースがあります。
一つ目は、退職から再就職までに長期間のブランク(空白期間)がある場合です。何も記載がないと「仕事への意欲が低かったのではないか」と誤解される可能性がありますが、「家族の介護のため退職(現在は施設入所により就業可能)」などと記載することで、正当な理由があったことを伝えられます。
二つ目は、短期間での離職や、転職回数が多い場合です。これらも「配偶者の転勤に伴い退職」といった不可抗力の事情であれば、採用担当者は応募者の能力や定着性に対する懸念を抱くことなく、経歴を評価することができます。カッコ書きなどで1行程度にまとめて記載する工夫が有効です。
理由別に見る具体的な書き方と例文
家庭の事情と一口に言ってもその内容は様々です。それぞれのケースに応じた適切な表現を用いることで、採用担当者に安心感を与えることができます。
結婚や配偶者の転勤の場合
結婚に伴う転居や配偶者の転勤により退職した場合は、ライフイベントによるやむを得ない変更として理解されやすい理由です。職歴欄には「結婚に伴う転居のため退職」や「配偶者の転勤のため退職」と記載します。これにより、前職での人間関係や業務内容の不満による退職ではないことが明確に伝わります。
親の介護の場合
介護が理由の場合、最も重要なのは「現在は働ける状態にある」という点です。「家族の介護のため退職(現在は介護終了につき勤務に支障なし)」と記載することで、過去の退職理由を説明しつつ、今後の勤務に対する不安を払拭できます。
出産や育児の場合
出産や育児のために退職した場合も、復職の準備が整っていることをアピールします。「出産・育児のため退職(〇月より保育園入園決定済み)」といったように、具体的な根拠を添えることで、採用担当者は入社後の安定的な勤務をイメージしやすくなります。
家業の手伝いの場合
家業を手伝うために離職していた期間がある場合は、単なるブランクではなく、実務経験としてアピールできる可能性があります。「家業(〇〇業)従事のため退職」と記載し、職務経歴書でその期間に培ったスキル(経理、接客、管理業務など)を補足すると効果的です。
本人希望欄で勤務条件と意欲を伝える
家庭の事情が現在も継続しており、勤務地や勤務時間に一定の制限が必要な場合は、履歴書の「本人希望欄」を活用します。「育児のため、〇〇時までの勤務を希望いたします」や「親の通院付き添いのため、月1回程度の平日休みを希望いたします」など、正直に条件を記載します。
ただし、条件を並べるだけではなく、その条件の範囲内であれば最大限のパフォーマンスを発揮するという意欲もセットで記載することが大切です。「限られた時間内ですが、効率的に業務を遂行し貢献いたします」といった一文を添えることで、権利を主張するだけでなく、責任感を持って働く姿勢を示すことができます。
志望動機や面接での伝え方のポイント
履歴書で家庭の事情に触れた場合でも、志望動機や面接の場では、それをメインの話題にするのは避けるべきです。「家庭の事情で辞めたが、今は働けるから応募した」という消極的な理由ではなく、「家庭の事情で一度キャリアを中断したが、貴社の〇〇という事業に魅力を感じ、改めて挑戦したい」という前向きな構成にします。
面接で退職理由を聞かれた際には、履歴書に書いた内容と矛盾しないように事実を簡潔に説明し、現在はその問題が解決(あるいは安定)しており、仕事に全力で取り組める環境であることを力強くアピールしてください。家庭の事情を抱えていることは決してマイナスではありません。それを乗り越え、再び社会で活躍したいという強い意志を伝えることが、採用担当者の心を動かす鍵となります。





