職務経歴書を「詳しく書く」ことの重要性

職務経歴書が「詳しい」ことの価値

転職活動において、職務経歴書はご自身の経験と能力を採用担当者に伝えるための書類です。採用担当者は、そこに記載された内容から、ご自身がどのようなスキルを持ち、入社後にどう貢献してくれるかを判断します。単に「営業職に従事」や「事務作業を担当」と記載するだけでは、ご自身が持つ本来の能力や強みは伝わりません。経験を詳しく書くことによって、ご自身のキャリアに客観的な裏付けが生まれ、即戦力として活躍できる人材であることを示すことができます。

採用担当者が求める「詳しさ」の焦点

採用担当者が知りたいのは、ご自身がどのような役職や役割を担っていたかという事実だけではありません。それ以上に、「その役割の中で、具体的にどのように業務を遂行したか」というプロセスや行動を詳しく知りたいと考えています。指示された業務をこなすだけでなく、その中でどのような課題を見つけ、それを解決するためにどう工夫したのか。その具体的な行動こそが、ご自身の強みや主体性を伝える重要な情報となります。

業務内容を具体的に記述する方法

業務内容を詳しく書くとは、単に文章を長くすることではありません。ご自身の仕事を構成要素に分解して記述することです。例えば「事務作業」と抽象的に書く代わりに、「月次報告書の作成（エクセル使用）、専用システムへのデータ入力（一日約〇〇件）、電話応対および来客対応」といった形で、使用したツール、業務の頻度や範囲を明記します。このように業務を詳しく書き出すことで、ご自身が持つ実務能力のレベルが正確に伝わります。

実績は「数値」を用いて詳しく示す

ご自身の貢献度を客観的に、かつ詳しく示すため、可能な限り「数値」を用いることは非常に有効な書き方です。「売上目標に対し、継続して１２０％を達成」「新規顧客を前年比〇％増加させた」「業務フローの見直しにより、月間〇時間の残業を削減」といった具体的な数字は、抽象的な言葉でアピールするよりもはるかに強い説得力を持ちます。

主体的な行動（工夫した点）を詳しく書く

華々しい実績や数値で示せる成果がないと感じる場合でも、日々の業務の中でご自身なりに工夫した点を詳しく書くことは重要です。「非効率な手作業があったため、簡単なマニュアルを作成してチームに共有した」「ミスの再発防止策を提案し、確認フローを整備した」など、小さな改善であっても、ご自身の主体性や問題意識の高さを示すことができます。

応募先に合わせて「詳しさ」を調整する

詳しく書くとは、ご自身の全ての経歴を同じ熱量で詳細に書くことではありません。それでは要点がぼやけてしまいます。まず応募先企業の募集要項を深く読み込み、求められている経験やスキルに合致するご自身の経歴部分を、特に手厚く、詳しく書く必要があります。逆に関連性が薄いと判断される過去の経歴は、概要に留めることも大切です。この強弱の調整こそが、ご自身の企業理解度の高さを示します。

読みやすさとのバランスを保つ

詳しく書くことを意識するあまり、文章が過度に冗長になり、最後まで読んでもらえない書類になっては本末転倒です。情報は具体的に、しかし文章は簡潔にまとめる必要があります。A4用紙で２枚、多くても３枚程度を目安に、採用担当者が短時間でご自身の強みを正確に理解できるような配慮が求められます。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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