職務経歴書の職務要約はAIで作る時代。書類選考を突破するプロンプトと活用術

転職活動において職務経歴書の作成は多くの時間と労力を要する作業であり、中でも冒頭の「職務要約」は採用担当者の第一印象を決める重要な項目です。自身のキャリアを客観的に見つめ直し、限られた文字数で魅力的にまとめる作業に苦戦する方は少なくありません。しかし近年ではChatGPTやGeminiなどの生成AIを活用することで、質の高い職務要約を短時間で作成することが可能になっています。AIは単なる文章作成ツールではなく、あなたの強みを引き出し言語化してくれる優秀なキャリアアドバイザーにもなり得ます。ここではAIを使って書類選考を通過するための職務要約を作成する具体的な手順と、効果的なプロンプト（指示文）、そしてAIを使用する際の注意点について解説します。

職務要約の作成にAIを活用すべき3つの理由

職務要約を自力で書こうとすると、どうしても主観が入りすぎたり、逆に謙遜しすぎてアピール不足になったりしがちです。AIを活用することには以下の大きなメリットがあります。

1. 客観的な視点で強みを言語化できるAIは入力された職歴データから客観的な事実に基づいて強みを抽出します。自分では当たり前だと思っていた業務が、実は市場価値の高いスキルであると再発見できることがあります。
2. 要約作業の時間を大幅に短縮できる長年のキャリアを200文字から300文字程度に要約するのは高度な編集能力が必要です。AIは指定した文字数に合わせて情報を取捨選択し、瞬時に文章を構成するため、作成時間を劇的に短縮できます。
3. 読みやすく論理的な構成になるAIはビジネス文書の構成を得意としています。「結論から書く」「数値を入れる」といった基本ルールを遵守した文章が出力されるため、採用担当者にとって読みやすい書類になります。

質の高い職務要約を出力させるための「魔法のプロンプト」

AIから良い回答を引き出すためには、具体的で明確な指示（プロンプト）が必要です。曖昧な指示では一般的な回答しか得られません。以下のテンプレートをコピーして、ご自身の情報を入力して使用してください。

【職務要約作成用プロンプト】

あなたはプロのキャリアアドバイザーです。以下の職務経歴情報をもとに、転職活動で使用する職務経歴書の「職務要約」を作成してください。

# 制約条件

• 文字数は250文字から300文字程度に収めてください。
• 採用担当者が一読して「会いたい」と思うような、ポジティブで自信に満ちたトーンにしてください。
• 具体的な数値実績（売上、改善率、規模感など）を盛り込んでください。
• 「です・ます」調で書いてください。

# 私の職務経歴

• 経験年数：〇年
• 直近の職種：〇〇
• 主な業務内容：〇〇、〇〇
• 主な実績：〇〇（例：昨対比120%達成、リーダーとして5名をマネジメント）
• 得意なスキル：〇〇、〇〇
• 応募先企業の特徴：〇〇（例：スピード感を重視するITベンチャー）

このプロンプトを使用することで、単なる経歴の羅列ではなく、応募先企業に刺さるアピールポイントを含んだ要約が生成されます。

AIが出力した文章をブラッシュアップする3つのポイント

AIが出力した文章はそのまま使用するのではなく、必ず人間の手で「推敲」することが重要です。AIは事実を整えることは得意ですが、あなたの「熱意」や「細かなニュアンス」までは表現しきれないことがあるからです。

1. 固有名詞や専門用語の確認AIは一般的な用語に置き換えてしまうことがあります。業界特有のツール名や資格名、具体的なプロジェクト名などを補足し、専門性を高めてください。
2. 数字の具体性を高めるAIが作った文章に「多くの成果を上げました」といった抽象的な表現がある場合は、「売上を150万円向上させました」や「工数を20パーセント削減しました」といった具体的な数字に書き換えてください。
3. 自分の言葉で熱意を加える文末の結びの言葉などを、「貴社の事業拡大に貢献したいという強い思いがあります」といった、あなたの本心が伝わる表現に微調整することで、AIっぽさを消し、温かみのある文章になります。

AIを使用する際に絶対に守るべき注意点

職務要約の作成にAIは非常に有効ですが、使い方を誤るとリスクもあります。以下の2点は必ず守ってください。

一つ目は個人情報や機密情報の保護です。AIに入力する情報の中に、個人名、具体的な顧客名、社外秘の売上データなどをそのまま入力しないでください。AIの学習データとして利用されるリスクがあるため、「A社」「大手通信会社」のようにマスキングして入力することが鉄則です。

二つ目はハルシネーション（嘘の生成）への対策です。AIは稀に事実とは異なる内容を生成することがあります。出力された内容が本当に自分の経歴と合致しているか、誇張しすぎていないかを必ず自分で確認してください。嘘の内容で書類選考を通過しても、面接で深掘りされた際に答えられなくなり、結果として不採用になってしまいます。

AIはあくまで「優秀な助手」です。最終的な責任者はあなた自身であることを忘れず、AIが作った土台にあなたらしさを加えて、最高の職務要約を完成させてください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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