転職エージェント経由の書類選考で連絡がない場合の理由と適切な対処法

転職エージェントを利用して応募した場合、キャリアアドバイザーが間に入ってくれるため、直接応募よりもスムーズに連絡が来ると期待するものです。しかし、実際には応募してから1週間、あるいは2週間経過してもエージェントから何の音沙汰もないというケースは珍しくありません。プロに任せているはずなのに連絡がないと、企業で止まっているのか、それともエージェントに見捨てられたのかと不安が募ります。ここではエージェント経由での書類選考にかかる期間の目安や、連絡が遅れてしまう構造的な理由、そしてエージェントに対してどのように状況を確認すべきかについて詳しく解説します。

エージェント経由の書類選考にかかる期間の一般的な目安

転職エージェントを経由した場合の書類選考期間は、応募してからおよそ1週間から2週間程度が目安となります。早い企業であれば数日で回答が来ますが、直接応募と比較して「エージェントと企業の間でのやり取り」が発生するため、若干のタイムラグが生じることがあります。

エージェントはあなたから預かった応募書類に推薦状を添えて企業へ提出します。その後、企業の採用担当者が書類を確認し、合否の結果をエージェントに伝えます。そしてエージェントがその結果をあなたに連絡するという流れになります。この伝言ゲームのようなプロセスを経るため、企業の判断が早くても、エージェント側の事務処理や定休日などの関係で、あなたへの連絡が数日遅れることも起こり得ます。まずは1週間から2週間という期間を標準的な待機時間として捉えておくことが大切です。

連絡が来ない場合に考えられる企業側とエージェント側の事情

連絡がない理由には、企業側で止まっているケースと、エージェント側で止まっているケースの二つの可能性があります。企業側の事情としては、応募者殺到による選考の遅れや、合否ライン上の「保留」判断などが挙げられます。特にエージェント経由の求人は非公開求人や重要ポジションであることも多く、社内調整に慎重を期しているために時間がかかっている可能性があります。

一方、エージェント側の事情で連絡が遅れているケースもあります。キャリアアドバイザーは一人で数十名の求職者を担当していることが多く、業務が多忙を極めていると連絡の優先順位をつけて対応せざるを得ません。合格者への面接調整連絡を最優先し、まだ結果が出ていない応募者や、残念ながら不採用となってしまった応募者への連絡が後回しになっていることが考えられます。また、稀に担当者が企業からの連絡を見落としていたり、あなたへの連絡を忘れていたりするヒューマンエラーが発生している可能性も否定できません。

連絡がないことは不採用のサインなのか

「連絡が遅い＝不採用」と不安になる方は多いですが、エージェント経由の場合、必ずしもそうとは限りません。前述のように合格ラインギリギリでキープされている場合や、企業が多忙なだけの場合も多々あります。エージェントには企業に対して選考結果の通知を促す役割もあるため、直接応募のような完全な「サイレントお祈り（連絡なしで不採用）」になることは比較的少ないといえます。

ただし、あまりにも長期間連絡がない場合は、不採用の通知が後回しにされ続けている可能性も考えられます。エージェントによっては、不採用の連絡をメールだけで済ませる場合や、システム上でステータスを変更するだけの通知方法をとっている場合もあります。マイページなどの管理画面がある場合は、そちらのステータスが更新されていないかを確認してみるのも一つの手です。

エージェントへの上手な問い合わせ方法とタイミング

応募から2週間（10営業日）以上経過しても連絡がない場合は、エージェントに進捗状況を問い合わせても失礼にはあたりません。むしろ、あなたの転職意欲が高いことを示すためにも、状況確認の連絡を入れることは有効です。ただし、担当者を責めるような口調は避け、あくまで状況を知りたいというスタンスで連絡します。

問い合わせはメールで行うのが無難です。「先日応募いたしましたＡ社の件ですが、現在の選考状況はいかがでしょうか。もし企業様から何らかのご連絡が届いておりましたら、ご教示いただけますと幸いです」といった丁寧な文面で送ります。また「他社の選考も進んでおり、スケジュールの調整が必要なため」といった理由を添えると、エージェント側も優先度を上げて企業に確認してくれる可能性が高まります。

連絡待ちのストレスを軽減するためのリスクヘッジ

エージェント一社だけに頼りきりになっていると、連絡が来ない期間の不安は大きくなります。担当者との相性や、エージェントごとの案件保有状況によってもスピード感は異なるため、複数の転職エージェントを併用してリスクを分散させることが賢明です。

別のエージェント経由で応募した企業がスムーズに進めば、連絡が遅い案件に対する執着心も薄れ、精神的な余裕が生まれます。また、エージェントからの連絡が遅いということは、その担当者のキャパシティオーバーやマネジメント能力不足の可能性もあります。連絡を待つ間に他のエージェントに相談したり、自分で直接応募できる求人を探したりするなど、主導権を自分に戻して活動を進める姿勢が、納得のいく転職を実現するためには不可欠です。連絡が来ない時間をただの待ち時間にせず、次の手を打つための時間として活用してください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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