ネイリストの職務経歴書 例文と書き方ガイド 技術と接客力をアピールする方法
ネイリストとしての経験は、繊細な技術力だけでなく、顧客との信頼関係を築くコミュニケーション能力や、店舗の売上を作る営業力など、ビジネスにおいて重要なスキルが多く詰まっています。しかし、いざ職務経歴書を作成するとなると、日々の施術や接客をどのように文章化すればよいのか、具体的な実績をどうアピールすればよいのかと悩む方は少なくありません。
採用担当者は、あなたのネイリストとしての経験の中に、即戦力となる技術や、異業種でも通用するポータブルスキル(持ち運び可能な能力)を見出そうとしています。ここでは、ネイリストの経験を魅力的な実績として言語化し、書類選考を通過するための職務経歴書の書き方と、状況別の具体的な例文について解説します。
ネイリストがアピールすべき3つのビジネススキル
職務経歴書を作成する前に、ご自身の業務が持つビジネス価値を整理することが重要です。単に「施術をしていました」と書くだけでは、あなたの本当の実力は伝わりません。ネイリストの業務は、大きく分けて以下の3つのスキルに分解できます。
1. 技術力と施術スピード
基本となるスキルです。ジェル、スカルプチュア、ケア、フットなど対応可能なメニューはもちろんですが、ビジネス視点では「スピード」も重要です。「1人あたりの施術時間を〇分短縮し、回転率を上げた」といった実績は、生産性の高さとして評価されます。
2. カウンセリング力と提案型営業スキル
お客様の好みやライフスタイルを聞き出し、最適なデザインやケア商品を提案して単価を上げるプロセスは、ビジネス用語で言う「ヒアリング能力」と「アップセル・クロスセル(単価向上提案)」に他なりません。指名客を増やした実績は、顧客との信頼関係構築力の証明になります。
3. 店舗運営と計数管理能力
在庫管理、予約管理、売上集計、SNS運用による集客、後輩指導など、施術以外の業務も立派な実績です。店舗全体の目標達成にどう貢献したか、効率化のためにどのような工夫をしたかは、マネジメント能力の基礎として評価されます。
数字を用いて実績を可視化する書き方のコツ
職務経歴書において最も重要なのは、客観的な事実に基づいた「数字」です。「頑張りました」「お客様に喜ばれました」という定性的な表現ではなく、採用担当者が具体的にイメージできる数値を盛り込みます。
具体的には、以下の項目を数字で示します。
- 店舗の規模: 席数、スタッフ数、月間の平均来客数
- 個人の実績: 1日あたりの施術人数、月間個人売上、指名本数、リピート率
- 達成率: 個人目標に対して何パーセント達成したか
- SNS実績: Instagram等のフォロワー数、集客数(運用担当の場合)
もし具体的な数字が出せない場合でも、「店舗内で指名数トップ賞を受賞」「リピート率改善のためにサンクスカードを導入」といった行動量や相対的な評価を記載することで、意欲と実力を伝えることができます。
【例文1】他のネイルサロンへ転職する場合(キャリアアップ)
同業種への転職を目指す場合は、即戦力としての技術力と実績を全面的にアピールします。得意なアートや施術スタイルを具体的に記載し、サロンのコンセプトにマッチすることを強調します。
職務要約
ネイルスクール卒業後、トータルビューティーサロンにてネイリストとして4年間勤務しました。ジェルネイルを中心に、ケア、フット、スカルプチュアまで幅広い施術を担当。特にニュアンスアートを得意とし、SNSを活用した発信で新規指名客を月間20名獲得しました。また、チーフとして材料発注や新人スタッフ2名の技術指導も担当し、店舗全体のクオリティ向上に貢献しました。
職務詳細
期間: 20XX年4月~現在
会社名: 株式会社〇〇(ネイルサロン「〇〇」運営)
店舗規模: 席数5席、スタッフ6名、平均客単価8,000円
【担当業務】
- ジェルネイル(ハンド・フット)、ケア、オフ、長さ出し(スカルプ・チップ)
- カウンセリングおよびデザイン提案
- 物販(ケア用品)の提案販売
- 在庫管理、発注業務
- 店舗Instagramの運用、集客用チップ作成
- 新人スタッフの技術チェック、指導
【実績・取り組み】
- 指名売上の向上カウンセリング時間を重視し、ライフスタイルに合わせた持ちの良い施術を徹底しました。その結果、リピート率80%を維持し、月間指名売上100万円を達成しました。
- 施術時間の短縮オフとケアの工程を見直し、1枠あたりの施術時間を120分から90分へ短縮。1日の対応人数を増やし、店舗の回転率向上に貢献しました。
自己PR
私の強みは、お客様の好みを瞬時に把握する提案力と、スピーディーかつ丁寧な施術です。お客様との会話から潜在的な要望を汲み取り、「期待以上」の仕上がりを提供することで信頼関係を築いてきました。貴店においても、技術と接客の両面で顧客満足度を高め、即戦力として売上に貢献したいと考えています。
【例文2】ネイリストから異業種(事務・営業など)へ転職する場合
異業種への転職を目指す場合は、専門的な技術よりも「ポータブルスキル(持ち運び可能な能力)」を強調します。接客で培ったコミュニケーション能力や、予約管理などで培った事務処理能力などが該当します。
職務要約
ネイルサロンにて3年間勤務し、接客施術および店舗運営業務に従事しました。お客様一人ひとりの要望を形にするカウンセリング業務を通じて、傾聴力と提案力を磨きました。また、予約管理や顧客データの入力、在庫管理などのバックヤード業務も担当し、正確な処理と効率化を意識して取り組んでまいりました。接客業で培ったホスピタリティと目標達成意欲を活かし、貴社の営業事務として貢献したいと考えています。
職務詳細
期間: 20XX年4月~20XX年3月
会社名: 株式会社△△
【担当業務】
- お客様へのカウンセリング、接客対応
- 電話およびWeb予約の受付・管理(ダブルブッキング防止の徹底)
- 売上日報の作成(Excel使用)、顧客カルテの管理
- 在庫管理、備品発注
- クレーム対応
【実績・取り組み】
- 目標達成へのプロセス店舗の売上目標を達成するため、単価アップの提案(オプションメニューや物販)を積極的に行いました。個人の月間売上目標を12ヶ月連続で達成しました。
- 業務効率化への意識手書きだった在庫管理表をExcelでデータ化し、発注ミスを削減するとともに、棚卸しにかかる時間を30分短縮しました。
自己PR
私の強みは、相手の立場に立って先回りして行動する「察知力」と、正確な業務遂行能力です。
ネイリストとして、お客様の手元の動きや表情から要望を察知し、言われる前に行動することを徹底してきました。また、予約管理においてはミスが許されないため、確認作業を徹底し、円滑な店舗運営を支えてきました。事務職は未経験ですが、持ち前のホスピタリティとPCスキルへの学習意欲を活かし、周囲をサポートできる存在になりたいと考えています。
職務経歴書を仕上げるための最終チェックポイント
書き上げた職務経歴書を見直し、さらに完成度を高めるために以下のポイントを確認します。
- 専門用語への配慮特に異業種へ転職する場合、「フィルイン」「パラジェル」などの専門用語は伝わらない可能性があります。「爪を削らない技法」「爪への負担が少ないジェル」など、誰が読んでも分かる言葉に変換するか、簡単な説明を加える配慮が必要です。
- 具体的なエピソードの有無「コミュニケーション能力があります」と書くだけでなく、クレーム対応で信頼を取り戻した話や、お客様からいただいた感謝の言葉など、具体的なエピソードを添えることで説得力が増します。
- レイアウトの美しさネイリストは美を扱う仕事ですので、書類の見た目も重要です。誤字脱字がないことはもちろん、見出しを活用して読みやすく整理された書類を作成することで、仕事に対する丁寧な姿勢を印象づけることができます。
ネイリストとしての経験は、技術職としての専門性と、サービス業としての対人スキルの両方を兼ね備えた貴重なキャリアです。自信を持ってその実績を職務経歴書に表現し、採用担当者にあなたのポテンシャルを伝えてください。





