飲食店の経験を強みに変える職務経歴書自己PRの書き方と職種別例文集

飲食業界での勤務経験は転職市場において非常に汎用性の高いスキルとして評価されます。日々多くのお客様と接し目まぐるしく変化する状況に対応しながら店舗の売上を作るというプロセスにはビジネスの基礎が詰まっているからです。しかし職務経歴書を作成する段になると単に接客が得意ですとしか書けず自身の価値を十分に伝えきれていない求職者も少なくありません。採用担当者は美味しい料理を提供したこと以上にその過程であなたがどのような工夫をし組織に貢献したかを知りたいと考えています。ここでは飲食店での経験を魅力的なビジネススキルとして翻訳し書類選考を通過するための自己PRの書き方のポイントと転職先別の具体的な例文を紹介します。

飲食店経験者が職務経歴書でアピールすべき3つのポータブルスキル

飲食店で培ったスキルの中には業種や職種が変わっても持ち運び可能なポータブルスキルが多く存在します。自己PRを作成する前にまずは自身の経験を以下の三つの観点で棚卸ししてみましょう。一つ目は対人折衝力とホスピタリティです。多様な客層に対応しニーズを汲み取る力やクレーム対応などで培った精神的なタフさは営業職や顧客サポート職などで高く評価されます。二つ目は数値管理能力と店舗運営スキルです。売上目標の達成に向けた施策の立案や原価率の管理そしてスタッフのシフト調整などはマネジメント能力そのものです。三つ目は業務効率化とマルチタスク能力です。ピークタイムの限られた時間と人員の中で優先順位を判断し効率的に業務を回す力は事務職や企画職においても重宝される実務能力です。

説得力を高める自己PRの基本構成と書き方のコツ

採用担当者に響く自己PRを書くためには論理的な構成が欠かせません。思いついたことを羅列するのではなく結論と根拠そして貢献という三段構成を意識して文章を組み立てます。まずは冒頭で私の強みは〇〇ですと結論を端的に述べます。次にその強みが発揮された具体的なエピソードを記述します。ここでは当時の店舗の状況や課題そして自分が取った行動と結果を可能な限り数字を用いて具体的に書くことがポイントです。例えば売上を上げたと書くよりも客単価を500円アップさせるためにセットメニューの提案を強化し昨対比110パーセントを達成しましたと書く方が説得力は格段に増します。最後にその強みを活かして応募先の企業でどのように貢献したいかという抱負で締めくくります。

同業種へキャリアアップ転職する場合の店長候補向け例文

飲食業界内でより良い条件やキャリアアップを目指して転職する場合は即戦力としてのアピールが必須です。売上実績やマネジメント規模を具体的に示し経営者視点を持っていることを伝えます。

私は店舗の利益最大化に向けた数値管理とチームビルディングに自信があります。現職では座席数50席のイタリアンレストランで店長として勤務し月商800万円の店舗運営を任されています。着任当初は原価率の高騰が課題でしたがロス管理の徹底とメニュー構成の見直しを行い原価率を3パーセント改善することに成功しました。またスタッフ20名の教育においては個々の強みに合わせた役割分担と定期的な面談を実施しモチベーション向上に努めました。その結果離職率を大幅に低下させチーム力の底上げを実現しました。貴社においてもこれまでのマネジメント経験を活かし数値責任を果たしつつスタッフが生き生きと働ける店舗づくりに貢献したいと考えています。

異業種の営業職へ転職する場合のコミュニケーション力アピール例文

飲食から営業職への転職は非常に相性が良く接客で培ったコミュニケーション能力や目標達成意欲をアピールします。

私の最大の武器は初対面のお客様とも短時間で信頼関係を築くコミュニケーション能力と目標達成への執着心です。居酒屋でのホール責任者として勤務する中で単に注文を聞くだけでなくお客様の会話や雰囲気から潜在的なニーズを察知しプラスアルファの提案を行うことを徹底してきました。お勧めメニューの提案競争では店舗内一位を継続し月間の個人売上目標を常に達成してきました。また常連のお客様の顔と好みを記憶し特別な接客を行うことでリピーター獲得にも尽力しました。営業職は未経験ですが接客で培った相手の懐に入る力と泥臭く数字を追う姿勢を活かし貴社の新規開拓営業において早期に成果を出せるよう邁進します。

異業種の事務職へ転職する場合の効率化と正確性アピール例文

飲食から事務職を目指す場合はマルチタスク能力やバックヤード業務での正確性そしてPCスキルへの学習意欲をアピールします。

私は限られた時間内で複数の業務を効率的に処理するマルチタスク能力と正確な管理能力を持っています。カフェでの勤務経験においてピークタイムにはレジ対応やドリンク作成そして提供を同時にこなしながら店内の状況を常に把握しスタッフへ的確な指示出しを行ってきました。また発注業務や売上集計などのバックヤード業務においてはミスゼロを目標にダブルチェックを徹底し正確な数値管理を行ってきました。事務職の実務は未経験ですが店舗運営で培った臨機応変な対応力と正確性を活かし周囲の社員が円滑に業務を進められるようサポートしたいと考えています。現在はMOSの資格取得に向けて勉強中でありPC操作の習得にも励んでいます。

アルバイトリーダー経験をアピールする場合の例文

正社員経験がなくてもアルバイトリーダーとして責任ある仕事を任されていた場合は十分なアピール材料になります。主体性と後輩指導の経験を強調します。

私は自ら課題を発見し周囲を巻き込んで解決するリーダーシップを持っています。ファーストフード店でのアルバイトリーダーとして新人研修と時間帯責任者を担当しました。新人の定着率が低いという課題に対してマニュアルが分かりにくいことが原因だと分析し写真付きの作業手順書を自作して導入しました。その結果業務習得のスピードが上がり新人の早期離職を防ぐことができました。また社員不在の時間帯にはクレーム対応や金銭管理も任されており責任感を持って業務を遂行してきました。貴社においても指示を待つのではなく自ら考えて行動する姿勢で業務に取り組み組織の成長に貢献したいと考えています。

職務経歴書を書く際の注意点と最終チェック

飲食店からの転職で自己PRを書く際によくある失敗として接客が好きだからや人と話すのが得意だからといった抽象的な表現に終始してしまうことが挙げられます。ビジネスにおいては接客の結果どうなったかという成果が必要です。また退職理由と自己PRの内容に矛盾がないかも確認してください。例えば長時間労働が嫌で辞めるのに体力に自信がありますとアピールしすぎるとミスマッチを懸念される可能性があります。あくまで応募先の企業が求めている人物像に合わせて自分の経験の中から最適なエピソードを選び出すことが重要です。誤字脱字がないかを確認し丁寧な言葉遣いで書くことであなたの誠実さと熱意を採用担当者に伝えてください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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