厚生労働省の職務経歴書フォーマットは使うべきか。特徴と民間企業への転職における活用法
転職活動において、応募書類の作成は第一関門です。どのフォーマットを使うべきか迷った際、「厚生労働省」や「ハローワーク」が推奨しているフォーマットなら安心だと考える方は少なくありません。確かに、国が提供する様式は信頼性が高く、標準的な項目が網羅されています。しかし、必ずしも全ての転職活動において「厚生労働省のフォーマットが最適解」であるとは限りません。ここでは、厚生労働省が公開している職務経歴書フォーマットの特徴とメリット・デメリット、そして民間企業への応募で書類選考を通過するために知っておくべき活用法について解説します。
厚生労働省(ハローワーク)の職務経歴書フォーマットとは
インターネットで「職務経歴書 フォーマット 厚生労働省」と検索すると、主にハローワークインターネットサービスで提供されている「職務経歴書」や、厚生労働省が推奨する「ジョブ・カード」などの様式が見つかります。
履歴書にはJIS規格(日本産業規格)という標準的な様式が存在しますが、実は職務経歴書には決まった規格がありません。そのため、厚生労働省が提供しているフォーマットは、あくまで「標準的な記入例」の一つという位置づけになります。
このフォーマットの最大の特徴は、「公平性」と「シンプルさ」です。どのような業種・職種の人でも使えるように設計されており、項目が汎用的です。基本的には時系列に沿って職歴を記入する「編年体式」が採用されていることが一般的です。
厚生労働省フォーマットを使用するメリット
厚生労働省のフォーマットを選ぶ主なメリットは以下の2点です。
1. 公的機関の様式であるという安心感
国の機関が作成したフォーマットであるため、項目に過不足がなく、企業側にとっても違和感のない構成になっています。「どのサイトのテンプレートを使えばいいか分からない」という場合や、奇をてらわず無難にまとめたい場合には適しています。
2. ハローワーク求人との親和性が高い
ハローワークを通じて応募する場合、相談員からこのフォーマットの使用を勧められることがあります。ハローワークの求人票の内容と照らし合わせやすい構成になっていることが多いため、ハローワーク経由での応募には最適です。
民間企業への応募におけるデメリットと注意点
一方で、転職サイトやエージェント経由で民間企業に応募する場合、厚生労働省のフォーマットにはいくつかの弱点もあります。
1. アピール力が弱くなりやすい
誰にでも使える汎用的なフォーマットであるため、特定のスキルや強みを強調するスペース(レイアウト)が不足しがちです。例えば、エンジニアが技術スキルを一覧で見せたい場合や、営業職が売上実績を強調したい場合、標準の罫線や枠組みが邪魔をして、視認性が下がることがあります。
2. デザインが古風で事務的な印象を与える
シンプルである反面、デザイン性は高くありません。WordやExcelで作成された現代的なフォーマットに比べると、どうしても「事務書類」のような堅い印象を与えます。IT企業やベンチャー企業、クリエイティブ職など、柔軟性やセンスを重視する企業への応募では、やや保守的すぎる印象を持たれる可能性があります。
どのような人が使うべきか
結論として、厚生労働省のフォーマットは以下のような方におすすめです。
- ハローワーク経由で応募する方
- 公的機関や堅実な社風の企業に応募する方
- 経歴がシンプルで、標準的な様式で十分に伝わる方
- どのフォーマットを使うか迷って手が止まってしまう方
一方で、自身の強みを戦略的にアピールしたい場合や、実績を強調したい場合は、転職サイトなどが提供している「職種別テンプレート」や、強みを強調できる「キャリア式」のフォーマットを使用した方が、書類選考の通過率は高まる傾向にあります。
厚生労働省フォーマットで書類選考を通過するための工夫
もし厚生労働省のフォーマットを使用する場合は、そのまま枠埋めをするのではなく、以下の工夫を取り入れることで「選ばれる書類」に変えることができます。
1. 「職務要約」を冒頭に追加する
標準フォーマットには「職務要約」の欄がない、あるいは狭い場合があります。経歴の冒頭に5行程度の職務要約を自身で追加し、キャリアの全体像と強みを最初に伝えるようにレイアウトを調整してください。
2. 具体的な「成果」を追記する
「業務内容」の欄に、単に「営業を担当」と書くだけでなく、「(成果)昨対比120パーセント達成」といった具体的な実績を箇条書きで追加します。フォーマットの枠にとらわれず、読み手が評価しやすい情報を盛り込む意識が重要です。
3. 「自己PR」欄を充実させる
シンプルな経歴欄だけでは伝わらない熱意やポータブルスキル(持ち運び可能な能力)は、自己PR欄で補完します。枠が小さい場合は、別紙を添付するか、行を増やして十分な記述量を確保してください。
職務経歴書において最も重要なのは「フォーマットそのもの」ではなく「そこに何が書かれているか」です。厚生労働省のフォーマットは信頼性の高いツールですが、あくまで素材の一つです。応募する企業の特性や自身の強みに合わせて、柔軟に使い分ける視点を持つことが転職成功への近道です。





