職務経歴書と面接の密接な関係

転職活動において、職務経歴書は書類選考を通過するためだけに作成するものではありません。多くの方が認識されている以上に、その後の「面接」選考においても、職務経歴書は極めて重要な役割を果たします。書類作成の段階から面接を意識することが、選考全体を有利に進めるための鍵となります。

職務経歴書は面接の「台本」であります

採用担当者、すなわち面接官は、多くの場合、面接の事前に応募者の職務経歴書を熟読しています。そして、面接当日の質問の多くは、その職務経歴書に記載された内容に基づいて行われます。つまり、職務経歴書は、ご自身のキャリアやスキルについて面接官と対話するための「台本」や「プレゼンテーション資料」としての役割を担うのであります。

面接官が職務経歴書から知りたいこと

面接官は、職務経歴書に書かれた内容が事実であるかを確認すると同時に、その行間に隠された情報を知りたいと考えています。例えば、記載された実績や成果について、その「背景」にどのような課題があり、ご自身が「どのように考え」「どのように行動したのか」というプロセスであります。書類だけでは分からない、ご自身の思考の特性や人柄、主体性などを確認しようとします。

面接での質問を想定した書き方

職務経歴書を作成する際は、常に「この項目について、面接官はどのような質問をしてくるだろうか」と想定しながら書くことが重要であります。特に、ご自身がアピールしたい実績や、主体的に取り組んだ「工夫した点」などは、面接官が関心を持ち、深掘りしたいと考える可能性が高いポイントであります。

具体的なエピソードの準備

職務経歴書には、スペースの都合上、ご自身の経験の要点を簡潔に記載します。しかし、その一つひとつの記述の裏には、具体的なエピソードが存在するはずであります。面接では「〇〇というご経験について、もう少し詳しく教えてください」といった形で、その簡潔な記述を深掘りする質問が必ず来ます。その際に、当時の状況やご自身の行動を鮮明に説明できるエピソードを、あらかじめ準備しておく必要があります。

職務経歴書と面接の一貫性

面接選考において最も重要なことの一つが、職務経歴書に記載した内容と、面接当日の受け答えに「一貫性」を持たせることであります。書類選考を通過したいあまり、内容を過度に誇張したり、事実と異なることを記載したりすると、面接での深掘り質問に論理的に答えることができなくなり、ご自身の信頼を根本から失うことになりかねません。

誠実な記載が面接での自信に繋がります

ご自身の経験に基づいた、誠実な職務経歴書を作成することは、結果として面接の場におけるご自身の自信にも繋がります。書類に書かれていることと、ご自身の言葉に一貫性があるため、どのような質問に対しても、堂々と、そして具体的に答えることができるようになります。書類作成の段階から面接の場面を意識し、ご自身の経験を論理的に整理しておくことが、転職成功への確実な道となります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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