英語の職務経歴書(英文レジュメ)の書き方と外資系転職を成功させるコツ
英文レジュメは日本語の職務経歴書の翻訳ではありません
外資系企業や日系グローバル企業への転職を目指す際、避けて通れないのが英語の職務経歴書、いわゆる「レジュメ(Resume)」の作成です。多くの人が最初に陥りやすい間違いは、日本語の職務経歴書をそのまま英語に翻訳してしまうことです。しかし、日本語の書類と英文レジュメでは、求められる役割や文化的な背景が全く異なります。日本語の職務経歴書が「経歴の詳細な記録」であるのに対し、英文レジュメは「自分という商品を売り込むための広告チラシ(マーケティング資料)」です。
採用担当者(リクルーター)は、数秒から数十秒でレジュメに目を通し、求めるスキルがあるかどうかを判断します。そのため、謙虚さよりも「成果」を強調し、パッと見て価値が伝わるように情報をデザインする必要があります。ここでは、初めて英文レジュメを作成する方でも書類選考を突破できるよう、基本的なルールから、採用担当者の心を掴む表現テクニックまでを解説します。
日本語の書類とは異なる基本ルールと構成
英文レジュメを作成する前に、日本独自の履歴書・職務経歴書との決定的な違いを理解しておく必要があります。
- 写真は不要、年齢・性別も書かない: 欧米企業では差別を防ぐため、スキル以外の個人的な情報(顔写真、年齢、性別、家族構成、通勤時間など)は記載しません。
- 手書きはNG: 必ずパソコンで作成します。
- サイズと分量: A4サイズ(またはレターサイズ)で、1枚から多くても2枚以内に収めるのが鉄則です。
- 時系列は「新しい順」: 職歴や学歴は、直近のものから過去に遡る「逆年代順(Reverse Chronological Order)」で記載します。採用担当者は「今、何ができるか」に最も関心があるからです。
【標準的な構成要素】
- Contact Information(ヘッダー): 氏名、住所、電話番号、メールアドレス、LinkedInのURLなどを最上部に記載します。
- Objective / Summary(希望職種・要約): 自身のキャリアの要約や、応募ポジションに対する強みを数行で記載します。ここが「つかみ」となります。
- Work Experience(職歴): メインとなるパートです。会社名、所在地、在籍期間、ポジション、具体的な実績を記載します。
- Education(学歴): 最終学歴を記載します。職歴が豊富な場合、学歴は職歴の下に配置します。
- Skills(スキル): 語学力、PCスキル、専門資格などを箇条書きにします。
「アクション動詞」を使って実績を力強くアピールする
英文レジュメの書き方で最も重要なテクニックが、「アクション動詞(Action Verbs)」の使用です。日本語の「~を担当しました」といった受動的な表現ではなく、「~を達成した」「~を開発した」といった能動的な動詞を使って文章を始めます。この際、「I(私)」などの主語は省略し、いきなり動詞から書き出すのがルールです。
【よく使われるアクション動詞の例】
- Managed(管理した):チームやプロジェクトを率いた経験
- Increased(増加させた):売上や顧客数を伸ばした実績
- Reduced(削減した):コストや時間を減らした実績
- Developed(開発した):新しいシステムや商品を開発した経験
- Launched(立ち上げた):新規事業やキャンペーンを開始した経験
例えば、「I was responsible for sales management.(営業管理を担当していました)」と書くよりも、「Increased annual sales by 20% through new market development.(新規市場開拓により年間売上を20%増加させた)」と書く方が、具体的で力強い印象を与えます。同じ動詞ばかり繰り返さないよう、類語を活用してバリエーションを持たせることも、洗練されたレジュメに見せるコツです。
具体的な数字を用いて成果を客観的に証明する
採用担当者が探しているのは、あなたが「何をしたか(Do)」だけでなく、「どのような結果を出したか(Achieve)」という情報です。そのため、職務内容を記述する際は、可能な限り具体的な数値(数字、パーセンテージ、金額など)を盛り込むことが求められます。
- 予算規模: Managed a budget of $1M…(100万ドルの予算を管理した)
- チーム人数: Led a team of 10 members…(10名のチームを率いた)
- 改善率: Improved efficiency by 15%…(効率を15%改善した)
このように数字を入れることで、あなたのスキルレベルや実績の規模感が客観的に伝わります。もし正確な数字が出せない場合でも、「およそ(Approx.)」や「以上(More than)」といった表現を使って、規模感をイメージさせる工夫をしてください。
読みやすさを重視したレイアウトと最終チェック
英文レジュメは「読ませる」ものではなく「見せる」ものです。ダラダラとした長文は避け、**ブレットポイント(箇条書き)**を多用して、要点をスキャンして読めるようにレイアウトを整えます。重要なキーワードや数字を太字にするのも有効です。
また、英語のスペルミスや文法の間違いは、日本語の誤字脱字以上に「プロフェッショナルではない」「注意力が足りない」と判断される致命的なミスになります。作成後は必ずスペルチェック機能を使うだけでなく、可能であればネイティブスピーカーや転職エージェントの添削を受け、自然な英語表現になっているかを確認してください。
提出する際は、Word形式ではなくPDF形式に変換して送付します。これにより、相手のパソコン環境によってレイアウトが崩れるのを防ぐことができます。自分のキャリアを英語というフィルターを通して再構築し、グローバルな舞台で活躍できる人材であることを自信を持ってアピールしてください。





