職務経歴書のキャリア式とは?転職回数が多い人や専門職に有利な書き方と活用術
キャリア式職務経歴書の特徴と編年体式との違い
転職活動において職務経歴書を作成する際、最も一般的な形式は時系列順に業務内容を記載していく編年体式です。しかし、キャリア式と呼ばれる形式は、時系列ではなく業務内容や職種、プロジェクトなどのカテゴリーごとに経歴をまとめて記載する方法です。編年体式があなたの歴史を時間の流れに沿って説明するものであるのに対し、キャリア式はあなたが持っているスキルや専門性を分野別に整理してプレゼンテーションする形式であると言えます。
この形式の最大の特徴は、いつどこで働いたかという時間軸よりも、何ができるかという能力面に焦点を当てられる点です。そのため、読み手である採用担当者は、応募者が自社の求めているスキルを持っているかを瞬時に判断しやすくなります。複数の企業で同じような業務を経験してきた場合や、特定の分野での専門性を強調したい場合に非常に有効なフォーマットであり、自身の強みを戦略的にアピールするための強力な武器となります。
キャリア式を選ぶべき人の特徴とメリット
キャリア式職務経歴書が特に推奨されるのは、転職回数が多い方や、エンジニアなどの専門職、あるいは派遣社員として多くの現場を経験してきた方です。転職回数が多い場合、編年体式で書くと職歴が細切れになってしまい、飽きっぽいのではないか、定着性に問題があるのではないかというネガティブな印象を与えてしまうリスクがあります。しかしキャリア式であれば、企業ごとの在籍期間ではなく、経験した業務の総量や質の高さを強調できるため、転職回数の多さを豊富な経験値としてポジティブに変換することが可能です。
また、エンジニアやクリエイター、コンサルタントなどの専門職にとってもメリットがあります。プロジェクト単位や技術分野ごとに実績をまとめることで、自身の得意分野や技術レベルを体系的に伝えることができるからです。さらに、異業種への転職を目指す場合も、過去の経験の中から応募先で活かせるポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)だけを抽出してカテゴリ化することで、即戦力としての適性をアピールしやすくなります。
キャリア式職務経歴書の基本構成と書き方のポイント
キャリア式で作成する場合の基本的な構成は、冒頭に職務要約、次にメインとなる職務経歴(分野別)、最後に略歴(時系列)という流れが一般的です。最も重要なのは、メインとなる職務経歴の分類方法です。自身のキャリアを棚卸しし、営業経験、マネジメント経験、企画立案経験といったように、アピールしたい強みに合わせて見出しを設定します。
それぞれの見出しの下には、具体的な業務内容や実績を記述します。ここでは、どの会社での経験かということは一旦脇に置き、その分野で成し遂げた成果や工夫したプロセスを統合して記載します。例えば、3つの会社で営業を経験したなら、それらを営業経験として一括りにし、トータルでの折衝能力や売上実績をアピールします。このように情報を再編集することで、キャリアに一貫性があることを示し、プロフェッショナルとしての厚みを伝えることができます。
職務要約でアピールポイントを明確にする重要性
キャリア式は時系列が前後するため、読み手によってはキャリアの全体像が掴みにくいと感じる場合があります。その欠点を補うために極めて重要なのが、冒頭に記載する職務要約です。ここでは、これまでの経歴のあらすじを200文字から300文字程度で簡潔にまとめるとともに、今回の職務経歴書がキャリア式(分野別)で書かれていることを示唆するような構成にします。
具体的には、約10年間にわたり一貫して経理業務に従事してまいりましたや、計3社においてシステム開発の上流工程から運用保守までを経験しましたといったように、キャリアの軸となる部分を最初に伝えます。採用担当者はこの要約を読んでから詳細な経歴に目を通すため、ここで、この応募者は〇〇の専門家であるという認識を持ってもらうことが、その後の理解を助けることにつながります。
業務内容ごとにまとめる際の見出しの付け方と工夫
キャリア式の成否は、見出しの付け方にかかっています。採用担当者が求めているスキルと、自身が持っているスキルが合致するようなキーワードを見出しに選ぶことが大切です。例えば、営業職に応募する場合であれば、単に営業経験とするのではなく、新規開拓営業における実績や既存顧客への深耕営業と課題解決といったように、より具体的で魅力的な見出しを設定します。
また、マネジメント経験がある場合は、チームマネジメントと人材育成という項目を立て、複数の企業で行った部下の指導実績やチームビルディングの工夫をまとめて記載します。事務職であれば、業務効率化への取り組みやPCスキルと文書作成といった切り口も有効です。自分自身のキャリアをどのようなタグ(見出し)で分類すれば最も輝いて見えるかを考え、戦略的に構成を練ることが重要です。
最後に略歴として時系列の情報を補足する
キャリア式でスキルを存分にアピールしたとしても、採用担当者はやはりいつ、どこに在籍していたかという事実関係も確認したいと考えます。そのため、職務経歴書の最後には必ず略歴として、時系列に沿った在籍企業のリストを記載します。
ここでは詳細な業務内容を書く必要はありません。入社年月と退社年月、会社名、簡単な所属部署や役職、そして雇用形態を一行程度でシンプルに記載します。この略歴があることで、空白期間がないか、在籍期間はどれくらいかといった基本的な確認が可能になり、採用担当者に安心感を与えることができます。キャリア式で能力の魅力を伝え、略歴で経歴の透明性を担保する。この二段構えの構成こそが、書類選考を突破するための最も効果的なキャリア式職務経歴書の形となります。





