転職活動と履歴書。「空白期間(ブランク)」の正しい書き方と伝え方
転職における履歴書の「空白期間」への懸念
転職活動において履歴書を作成する際、前職を退職してから次の職に就くまでに一定の「空白期間(ブランク)」がある場合、その事実を採用担当者にどう伝えれば良いか、悩まれる方は少なくありません。履歴書の職歴欄において、空白期間は一目で分かるため、採用担当者に「この期間、何をしていたのだろうか」「就業意欲が低下していないか」といった、マイナスの印象を与えてしまうのではないか、という懸念が生じることがあります。
採用担当者が「空白期間」で懸念する点
採用担当者が履歴書の職歴に空白期間を見つけた際に抱く懸念は、主に「その期間の理由」と「現在の就業への影響」であります。理由が不明瞭な場合、計画性や安定性への疑問を持たれる可能性がございます。また、もし空白期間の理由が病気療養などであった場合、「現在は完治しており、業務に支障はないか」という点も確認したいと考えます。
履歴書に空白期間はどう書くべきか。隠すべきではない理由
まず大前提として、履歴書の職歴欄において、空白期間を意図的に隠す(例。前職の退職年月を偽る、在籍期間を延ばす)ことは、絶対に行うべきではありません。これは「経歴詐称」とみなされる重大な行為であり、入社手続きの際の社会保険の加入履歴などで必ず発覚(バレる)します。発覚した場合、内定取り消しや懲戒解雇の理由となるため、自身の経歴は誠実に記載する必要がございます。
履歴書の職歴欄は、時系列に沿って事実を記載するため、空白期間は、前職の「退職年月」と、次の職歴の「入社年月」(あるいは現在)との「間(あいだ)」として、自然に示されることになります。
「空白期間の理由」を説明する場所
採用担当者の懸念を払拭するために重要なのは、その空白期間の「理由」を応募者側から主体的に説明することであります。その説明を記載する場所としては、いくつかの方法がございます。
履歴書の「職歴欄」または「本人希望欄」での補足
空白期間の直後、あるいは履歴書の「本人希望欄」や「備考欄」といったスペースを活用し、その理由を簡潔に記載する方法がございます。
(記載例。職歴欄での補足)
「〇〇年〇月 株式会社〇〇 一身上の都合により退職」
「(〇〇年〇月から〇〇年〇月まで、〇〇(資格名)の資格取得のため就学)」
「〇〇年〇月 株式会社〇〇 入社」
職務経歴書や面接での詳細な説明
履歴書には概要のみを記載し、併せて提出する「職務経歴書」の自己PR欄などで、その空白期間中に何を学び、どのような活動をしていたのかを、より詳細に、かつ前向きに説明する方法も有効であります。いずれにせよ、面接の場では、ほぼ確実にその理由について質問されると想定し、自身の言葉で説明できる準備をしておくことが不可欠であります。
空白期間の理由別の伝え方(書き方)
空白期間の理由は様々でありますが、いずれも事実を誠実に、かつポジティブな側面を意識して伝えることが重要であります。
理由(1)病気・怪我による療養の場合
病気や怪我による療養で空白期間が生じた場合は、その旨を簡潔に記載します。具体的な病名まで詳細に記す必要はございません。最も重要なのは、「現在は完治しており、業務遂行に全く支障がない」という事実を明確に書き添えることであります。
(記載例)「病気療養のため、〇〇年〇月まで休養しておりましたが、現在は完治しており、業務上の支障はございません。」
理由(2)留学・資格取得・職業訓練の場合
語学留学や、専門学校への通学、あるいは職業訓練校での学習など、スキルアップのために空白期間を充てていた場合は、その事実を前向きなアピールポイントとして記載します。
(記載例)「〇〇年〇月より〇年間、〇〇(国名)へ語学留学(あるいは、〇〇専門学校にて〇〇の技術を習得)。」「資格欄記載の〇〇(資格名)取得のため、学習に専念しておりました。」
理由(3)育児・介護などの家庭の事情の場合
育児や家族の介護といった、やむを得ない家庭の事情で一時的に職を離れていた場合も、その事実を正直に記載します。そして、現在はその状況が落ち着き、就業可能な環境が整っていること(例。子どもの保育園が決まった、介護の体制が整ったなど)を併せて伝えることが、採用担当者の安心材料となります。
(記載例)「出産・育児に専念しておりましたが、〇月より保育園への入園が決まり、業務に支障なく取り組める環境が整いました。」
空白期間をアピールに変える意識
転職活動において、履歴書に空白期間があることは、一見不利に思えるかもしれません。しかし、その期間に何を考え、何を学び、どのように次のキャリアにつなげようとしているのかを、自身の言葉で誠実に説明することができれば、採用担当者の懸念を払拭し、かえってその経験が応募者の多面的な魅力として伝わる可能性もございます。隠すのではなく、説明責任を果たす姿勢が、信頼を得る鍵となります。





