転職後1ヶ月で辞めた職歴。履歴書への記載義務と書き方
転職後1ヶ月といった短期間での退職と履歴書の悩み
転職活動において、入社した会社を1ヶ月、あるいは数ヶ月といった短期間で退職してしまった場合、その経歴を履歴書にどのように記載すべきか、悩まれる方は少なくありません。採用担当者に「定着性がないのではないか」「忍耐力に欠けるのではないか」といったマイナスの印象を与えてしまうことを懸念し、できればこの短期間の職歴は記載したくないと考えることもあるかもしれません。
1ヶ月の職歴も履歴書に記載するのが原則
結論から申しますと、たとえ1ヶ月という短期間であったとしても、その企業と雇用契約を結び、社会保険(厚生年金や雇用保険)に加入していたのであれば、その職歴は履歴書に「記載する」のが原則であります。応募書類において、自身の経歴を偽ったり、意図的に省略したりすることは、応募者の信頼性に関わる重大な問題とみなされます。
短期間の職歴を記載しない(省略する)ことのリスク
短期間の職歴を意図的に記載しなかった場合、それは「経歴詐称」と判断されるリスクを伴います。「1ヶ月程度なら発覚しないのではないか」と考えるかもしれませんが、転職先企業に入社する際の手続き(雇用保険被保険者証や年金手帳の提出など)を通じて、社会保険の加入履歴から、履歴書に記載されていない職歴の存在が発覚する可能性は非常に高いのであります。
もし、この事実が発覚した場合、採用担当者との信頼関係は失われ、たとえ内定が出ていたとしても内定取り消しの正当な理由となったり、入社後であっても懲戒解雇などの処分につながったりする可能性もゼロではございません。
履歴書の職歴欄への具体的な書き方
履歴書の職歴欄には、他の職歴と同様に、時系列に沿って事実を簡潔に記載します。まず「〇〇年〇月 株式会社〇〇 入社」と入社した事実を記し、次の行に「〇〇年〇月 一身上の都合により退職」といった形で、退職した事実と年月を記載します。履歴書の限られたスペース(職歴欄)において、その短期間での退職に至った詳細な理由を長々と記載する必要はございません。
採用担当者の懸念を払拭するための準備
採用担当者が短期間の離職歴を見て抱くであろう懸念(定着性など)を払拭するのは、履歴書そのものではなく、併せて提出する「職務経歴書」や、その後の「面接」の場であります。
職務経歴書や面接の場では、なぜ短期間での退職に至ったのか、その理由を誠実かつ論理的に説明する準備が不可欠であります。例えば、やむを得ない事情(体調不良や家族の都合など)であった場合は、現在はその問題が解決し、業務に全く支障がないことを明確に伝えます。あるいは、入社前に聞いていた条件と、実際の業務内容や環境に、どうしても受け入れ難い大きな乖離(かいり)があった場合は、その事実を客観的に伝えつつも、自身の確認不足であった点などの反省も踏まえ、今後はどのような軸でキャリアを築いていきたいのかという、前向きな姿勢を示すことが重要となります。
誠実な記載と説明責任が鍵
短期間の職歴は、一見すると不利な情報に思えるかもしれません。しかし、その事実に誠実に向き合い、履歴書に正確に記載した上で、採用担当者の懸念に対して自身の言葉で説明責任を果たす姿勢こそが、結果として新たな職場での信頼を得るための第一歩となります。





