履歴書写真でマスク着用は許されるのか？採用担当者がチェックする素顔の重要性とマナー

感染症対策が日常の一部となり、ビジネスシーンにおいてもマスク着用が当たり前のマナーとして定着しました。しかし、転職活動の第一歩である履歴書の写真撮影において、マスクを着用したまま撮影してもよいのかどうか迷う方は少なくありません。特に肌荒れを隠したい場合や、感染リスクが心配な場合など、様々な事情からマスクを外したくないと考えることもあるでしょう。ここでは、履歴書写真におけるマスク着用の是非と、採用担当者がなぜ素顔の写真を重視するのか、その理由とマナーについて詳しく解説します。

履歴書写真におけるマスク着用は原則として禁止

結論から申し上げますと、履歴書の写真においてマスクを着用することは、いかなる理由があっても原則として禁止されています。これには大きく二つの明確な理由があります。一つ目は「本人確認」という証明写真本来の機能です。履歴書の写真は、面接に来た人物が応募書類の本人と同一人物であるかを確認するための重要な資料です。顔の半分以上が隠れてしまうマスク姿では、目元しか情報がなく、本人確認の機能を果たしません。二つ目は「表情や人柄を伝える」という役割です。採用担当者は写真の表情から、応募者の性格や熱意、コミュニケーション能力を推測します。マスクで口元が隠れていると、表情が全く読み取れず、暗い印象や閉鎖的な印象を与えてしまいます。したがって、どれほど感染症が流行している時期であっても、あるいは風邪気味であったとしても、写真撮影の瞬間だけは必ずマスクを外し、素顔で撮影することが絶対のルールとなります。

マスク写真が採用担当者に与えるネガティブな印象

もし仮にマスクを着用したままの写真を履歴書に貼って提出した場合、採用担当者はどのように受け取るでしょうか。まず間違いなく抱くのは「ビジネスマナーを知らない」「常識がない」というネガティブな印象です。社会人として、公式な書類に顔が見えない写真を使うことが不適切であるという判断ができない人物とみなされ、その時点で書類選考の対象から外れてしまう可能性が極めて高いです。また、「顔を見せられない事情があるのではないか」「何かを隠そうとしているのではないか」という不信感にもつながります。さらに、準備不足という印象も与えかねません。「手元にあったスナップ写真を切り抜いて貼っただけではないか」と疑われ、志望度が低いと判断される原因にもなります。たかがマスク一つですが、それだけで不採用に直結するほどのリスクがあることを理解しておく必要があります。

肌荒れやコンプレックスを隠したい場合の正しい対処法

中には、ニキビや吹き出物などの肌トラブル、あるいは口元のコンプレックスを隠すためにマスクをしたまま撮影したいと考える方もいるでしょう。しかし、その場合でもマスク着用は解決策にはなりません。肌荒れが気になる場合は、コンシーラーやファンデーションなどのメイク用品を適切に使用してカバーするのが正攻法です。男性であっても、撮影用にメンズコスメを使用することは今や一般的です。もしメイクで隠しきれないほど深刻な場合は、写真館やフォトスタジオの「修整（レタッチ）」サービスを利用することを強くおすすめします。プロの技術であれば、素顔の印象を変えることなく、肌トラブルだけをきれいに消し去り、清潔感のある健康的な肌に仕上げることが可能です。マスクで隠すという消極的な方法ではなく、プロの力を借りて堂々と素顔を見せるという前向きな解決策を選ぶことが、採用への近道となります。

撮影場所でのマスク着脱のタイミングと感染対策

写真館やスピード写真機を利用する際、感染対策として直前までマスクをしていたいという要望はもっともです。写真館で撮影する場合は、ヘアメイクや準備の段階まではマスクを着用し、カメラの前に立ってライティングの調整が終わった最後の瞬間に外すようにすれば問題ありません。カメラマンもその点は十分に配慮してくれます。スピード写真機を利用する場合も同様に、カーテンを閉めて個室状態になり、椅子の高さを調整して画面のガイドに顔を合わせた後に外せば、感染リスクを最小限に抑えることができます。撮影が終わったらすぐに着用すればよいので、外している時間はわずか数十秒から数分程度です。このわずかな時間を惜しんでマスクをしたまま撮影することは、転職活動全体を台無しにする行為ですので、メリハリをつけて対応することが大切です。

面接はマスクでも写真は素顔でなければならない理由

よくある疑問として、「面接当日はマスク着用が推奨されているのに、なぜ写真は素顔でなければならないのか」というものがあります。面接時のマスク着用は、飛沫防止という公衆衛生上の要請による一時的な措置です。対面での会話が発生するため、互いの安全を守るためにマスクが必要とされます。一方で、履歴書の写真は静止画であり、飛沫を飛ばすリスクはありません。また、履歴書は採用後も人事データとして長期間保管されるものです。数年後にその写真を見たとき、マスク姿では誰なのか判別しづらく、記録としての価値が損なわれてしまいます。面接ではマスクをしていても、履歴書の写真で素顔を確認できれば、採用担当者は安心して選考を進めることができます。写真と面接、それぞれの役割の違いを理解し、ビジネスパーソンとして適切な判断を行うことが求められます。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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