履歴書の志望動機で「興味がある」は使える?採用担当者に響く言い換え術と深掘りテクニック
転職活動において、応募のきっかけが「その仕事に興味があるから」「事業内容に関心を持ったから」というケースは非常に多いものです。しかし、履歴書の志望動機欄にそのまま「貴社の仕事に興味があるため志望しました」と書いてしまうと、採用担当者には物足りなさや幼い印象を与えてしまうリスクがあります。「興味」はあくまで入り口であり、ビジネスの場においては、それを「意欲」や「貢献」へと変換して伝える技術が求められます。
ここでは、「興味がある」という素直な動機を、書類選考を通過するための説得力ある志望動機へとブラッシュアップするための思考法と言い換え表現、そして具体的な例文について詳しく解説します。
「興味がある」とそのまま書くと評価が下がる理由
まず理解しておくべきなのは、なぜ「興味があります」という表現だけでは不十分なのかという点です。採用担当者は、以下の3つの理由から、単なる興味のアピールに対して厳しい評価を下す傾向にあります。
- 消費者目線・ファン目線に見える「面白そう」「好きだから」という感情は、サービスを受ける側の視点です。企業が求めているのは、サービスを提供する側として、利益を生み出す覚悟がある人材です。
- 具体性がなく誰でも書ける「興味がある」という言葉は非常に抽象的です。どの部分に、なぜ興味を持ったのかが語られていないと、企業研究が不足している「とりあえずの応募」だと判断されます。
- 受け身の姿勢(教えてほしい)に見える興味があるからやってみたい、教えてほしいというスタンスは、学校であれば正解ですが、即戦力を求める中途採用の場では「教育コストがかかる人材」と敬遠される可能性があります。
したがって、志望動機を作成する際は、「興味がある」という事実をベースにしつつ、それをビジネスライクな表現に変換し、根拠となるエピソードで補強する必要があります。
「なんとなく興味がある」を志望動機に変える3ステップ
漠然とした興味を、採用担当者が納得する志望動機に変えるためには、以下の3つのステップで思考を深掘りしてみてください。
Step 1:興味の対象を具体的に特定する
単に「仕事に興味がある」ではなく、その企業の「何に」惹かれたのかを特定します。
- 事業内容: 扱っている商材、サービスの社会貢献性、将来性
- 職種: 業務の内容、専門性、働き方
- 企業文化: 理念、社風、社員の働き方、研修制度
Step 2:なぜ興味を持ったのか「原体験」を探す
次に、なぜそれに興味を持ったのか、自分自身の過去の経験(原体験)と結びつけます。
- 「前職で〇〇という課題を感じていたから、貴社の解決策に惹かれた」
- 「私自身が貴社のサービスに救われた経験があるから」
- 「〇〇のスキルを磨く中で、より専門的なこの分野に挑戦したくなったから」
Step 3:興味を「貢献」への意欲に変換する
最後に、興味があるからこそ「どうなりたいか」「どう貢献できるか」を宣言します。
- 「興味があるからこそ、深く知識を習得し、早期に戦力となりたい」
- 「その事業に携わることで、前職の〇〇の経験を活かして売上に貢献したい」
「興味がある」の好印象な言い換え表現・書き出し
「興味がある」という言葉自体は決して悪い言葉ではありませんが、より知的で熱意が伝わるビジネス表現に言い換えることで、文章全体のグレードが上がります。
- 「強く惹かれました」感情的な揺さぶりだけでなく、強い意志を感じさせる表現です。例:「貴社の掲げる〇〇というビジョンに強く惹かれ、志望いたしました。」
- 「魅力を感じました」客観的に企業の良さを評価し、選んだというニュアンスが出ます。例:「業界内でも独自のポジションを築かれている貴社の戦略に魅力を感じました。」
- 「感銘を受けました」企業理念や社長のメッセージなど、考え方に対する共感を示す際に有効です。例:「お客様第一を徹底される貴社の企業姿勢に深く感銘を受けました。」
- 「可能性を感じております」事業の将来性や、自分自身の成長の余地について言及する際に使います。例:「〇〇市場における貴社の事業展開に大きな可能性を感じております。」
【ケース別】興味を起点にした志望動機の例文
未経験職種へ「興味がある」場合の例文
未経験の場合は、興味を持ったきっかけ(原体験)と、それを仕事にするための学習意欲、そしてポータブルスキル(持ち運び可能な能力)をセットで伝えます。
例文(事務職からITエンジニアへ)
前職の事務業務において、社内システムの改修により業務効率が劇的に向上した経験から、IT技術がもたらす課題解決の力に強く惹かれ、エンジニアを志望いたしました。単にシステムを利用するだけでなく、自らの手で仕組みを創り出し、企業の生産性向上に貢献したいという思いに至りました。現在は独学でプログラミングの基礎を学習しており、前職で培った正確な作業遂行能力と論理的思考力を活かして、一日も早く開発の現場で戦力となれるよう尽力いたします。
異業界の事業内容に「興味がある」場合の例文
異業界への転職では、その業界や事業の社会的な意義、将来性に魅力を感じたことを伝えつつ、前職のスキルがどう活きるかを説明します。
例文(営業職から医療業界へ)
高齢化社会において、在宅医療を支える貴社のサービスが持つ社会的意義の高さと、今後の成長性に大きな魅力を感じ志望いたしました。前職では不動産営業として、お客様の人生設計に深く関わる提案を行ってまいりましたが、より直接的に人々の健康と生活を支える事業に携わりたいという思いが強くなりました。業界は異なりますが、お客様の不安に寄り添い、信頼関係を構築する営業スタイルは、貴社の相談員業務においても必ず活かせると確信しております。
企業理念や社風に「興味がある」場合の例文
企業の考え方に共感した場合は、なぜその考え方が自分にとって重要なのかを、過去の経験を交えて語ります。
例文
「失敗を恐れず挑戦し続ける」という貴社の社風と、社員の自律的なキャリア形成を支援する環境に強く惹かれ志望いたしました。前職では、定型的な業務を遂行することが求められる環境でしたが、私自身は自ら課題を発見し、改善策を提案することにやりがいを感じるタイプです。貴社のような挑戦を歓迎するフィールドであれば、前職で培った業務改善のスキルと行動力を最大限に発揮し、事業の拡大に貢献できると考えております。
興味本位だけで終わらせないための最終チェック
志望動機を書き終えたら、必ず読み返して確認してください。「~に興味を持ちました。以上です。」という構成になっていないでしょうか。採用担当者が知りたいのは、あなたの興味の先にある「行動」と「結果」です。
「興味を持ったので、〇〇について調べました」「興味があるので、〇〇の資格を取りました」「興味があるこの分野で、私の〇〇という強みを活かして貢献します」というように、興味をエネルギー源として、具体的なアクションに繋げていることを示すのが、採用される志望動機の鉄則です。あなたの純粋な興味を、ビジネスとしての熱意ある提案へと昇華させてください。





