履歴書に「よろしくお願いいたします」は必要? 正しい使い方と記載場所
転職活動で履歴書を作成する際、志望動機や自己PRの最後に「よろしくお願いいたします」という一文を「書くべきか、書かなくても良いのか」と悩む方は少なくありません。
この一文は、日本のビジネスシーンにおいて非常に重要な「挨拶」の言葉ですが、履歴書という「公的な応募書類」においては、その使い方に少し注意が必要です。
ここでは、履歴書における「よろしくお願いいたします」の正しい使い方と、記載するのに適した場所について詳しく解説します。
1. 履歴書本体(志望動機など)に「必須」ではない
まず結論から言いますと、履歴書の「志望動機」欄や「自己PR」欄の最後に、「よろしくお願いいたします」と記載することは、必須ではありません。
履歴書のこれらの欄は、限られたスペースの中で、あなたの「具体的な強み」や「入社への熱意」、「どう貢献できるか」を論理的にアピールする場所です。
採用担当者は、挨拶の言葉よりも、その「具体的な内容」を知りたがっています。
無理に「よろしくお願いいたします」という一文を入れるために、肝心のアピール内容を削ってしまうのは、本末転倒です。
文章の流れとして、アピールしたい内容(例:「貴社に貢献できると確信しております」など)で締めくくっても、マナー違反にはなりません。
2. 「よろしくお願いいたします」を記載する「最も適切な場所」
では、この重要なフレーズは、どこで使うのが最も効果的なのでしょうか。
それは、履歴書本体ではなく、その書類を**「送付する」際の「挨拶状」**です。
1. 郵送する場合:「送付状(添え状)」
応募書類を郵送する際、一番上に添える「送付状(添え状)」は、ビジネスマナーとして必須です。
この送付状の「結びの挨拶」として、以下のように使用するのが最も正しい使い方です。
(送付状の例文)
「ご多忙のところ誠に恐縮ではありますが、応募書類をご査収の上、ぜひ面接の機会をいただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。」
2. メールで提出する場合:「メール本文」
Eメール(PDF)で応募書類を送付する場合、その「メール本文」が送付状の役割を果たします。
郵送の場合と同様に、メール本文の「結びの挨拶」として使用します。
(メール本文の例文)
「ご多忙のところ恐縮ではありますが、添付の書類をご査収いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。」
3. 履歴書本体で「あえて」使う場合の書き方
「それでも、履歴書本体の最後にも書いて、熱意を伝えたい」という場合、記載しても間違いではありません。
ただし、それは**「スペースに余裕がある場合」**に限られます。
(志望動機欄での例文)
「…(アピール内容)…貴社の〇〇業務において、即戦力として貢献できると確信しております。何卒よろしくお願いいたします。」
4. 「本人希望欄」での使い方
履歴書下部の「本人希望記入欄」の扱いは注意が必要です。
- 希望がない場合「貴社の規定に従います。」と書くのがマナーです。この欄に「よろしくお願いいたします。」とだけ書くのは、意図が伝わらず不自然です。
- 希望を書いた場合もし、やむを得ない希望(例:入社可能日)を記載した上で、「上記条件をご検討いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。」と、補足として添えるのは問題ありません。
5. 「お願い致します」と「いたします」。どっちが適切?
履歴書や送付状に書く際、「お願い致します」(漢字)と「お願いいたします」(ひらがな)のどちらを使うべきか迷う方もいます。
「いたす」は謙譲語ですが、ここでは「(お願い)する」という動詞の補助的な役割(補助動詞)として使われています。
公用文やビジネス文書のルールでは、補助動詞は「ひらがな」で記載するのが一般的とされています。(例:「ご覧いただく」「お送りします」など)
したがって、**「よろしくお願いいたします」**と、ひらがなで記載する方が、より丁寧で洗練された印象を与えます。
(※漢字の「致します」が明確な間違いというわけではありませんが、ひらがなの方が無難です)
6. 結論。「よろしくお願いいたします」は「送付状・メール」が本番
履歴書における「よろしくお願いいたします」という一文は、
- 履歴書本体には、必須ではない。(スペースがあれば書いても良い)
- 最も効果的な使用場所は、「送付状」や「メール本文」の結びの挨拶。
- 表記は、ひらがなの**「お願いいたします」**を使うのが推奨される。
このルールを理解し、「熱意」を伝えるべき場所(志望動機の中身)と、「マナー(挨拶)」を示すべき場所(送付状など)を区別して、効果的に書類を作成しましょう。





