履歴書をLINE(ライン)で送る方法。正しいマナーとメッセージ例文
履歴書をLINEで送るという「新しい応募方法」
近年、転職活動において、応募先企業との連絡手段としてEメールだけでなく、LINE(ライン)を使用するケースが出てきました。特に、中小企業やスタートアップ、IT業界、アパレル・飲食業界、あるいは派遣会社への登録などでは、選考プロセスをスピーディーに進めるためにLINEが活用されることがあります。
しかし、「履歴書をLINEで送る」という行為は、まだ一般的なビジネスマナーとして確立されているわけではありません。
採用担当者は、あなたがLINEという手軽なツールを使いつつ、社会人としての「TPO(時・場所・場合)」や「マナー」をわきまえているかを、厳しくチェックしています。
LINEで送付が「許容」されるケース
まず大前提として、応募先企業からの「指示」や「許可」がない限り、履歴書をLINEで送付するのは絶対に避けるべきです。
「メールアドレスが見つからないから」といった自己判断で、企業の公式LINEなどに履歴書を送りつけるのは、ビジネスマナーを著しく欠いた行為と見なされます。
LINEでの送付が許容されるのは、以下のような場合に限られます。
- 募集要項に「LINEで応募受付」と明記されている
- 企業の採用担当者から「履歴書をLINEで送ってください」と明確に指示された
送信する履歴書ファイルの「準備」が最も重要
LINEで送る場合、その「手軽さ」ゆえに、ファイルの準備が雑になりがちです。採用担当者は、あなたが送ってきた「ファイル」そのものを見て、PCスキルや仕事の丁寧さを判断します。
ファイル形式は「PDF」が絶対のルール
これは、Eメールで送る場合と全く同じ、必須のマナーです。
Word(ワード)やExcel(エクセル)、あるいはMacのPages(ページズ)・Numbers(ナンバーズ)のファイル形式のまま送付してはいけません。
採用担当者の閲覧環境(スマホ、PC、OSの違い)によっては、レイアウトが崩れたり、文字化けしたりして、正しく閲覧できないリスクがあります。
また、**スマートフォンのカメラで撮影した「写真(画像)」の履歴書(.jpgや.png)を送るのも、公的な応募書類としては不適切です。
必ず、パソコンやスマホのアプリで作成した履歴書を「PDF形式」**に変換(エクスポート、または保存)したものを準備します。
ファイル名にも「配慮」を
PDF化したデータのファイル名も重要です。「履歴書.pdf」や「名称未設定.pdf」といった名前のまま送付するのは、採用担当者への配慮が欠けています。
「履歴書(氏名)_20251107.pdf」
「履歴書_山田太郎.pdf」
このように、「何の書類か」「誰の書類か」が一目で分かるファイル名に変更することが、社会人としてのマナーです。
【例文】LINEで送るメッセージの正しい書き方
ここが最も重要なポイントです。LINEは手軽なチャットツールですが、送る相手は「採用担当者」です。Eメールを送る時と全く同じ、**「丁寧なビジネス文書」**の形式でメッセージを作成する必要があります。
友人や家族に送るような、フランクな言葉遣いは厳禁です。
履歴書をLINEで送る際の「基本の例文」
株式会社〇〇
人事部 採用ご担当者様
お世話になっております。
〇〇職の求人に応募いたしました、山田 太郎(やまだ たろう)と申します。
ご指示いただきました応募書類(履歴書・職務経歴書)を、PDFファイルにて添付いたします。
ご多忙のところ大変恐縮ではありますが、ご査収(ごさしゅう)の上、ご検討いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
山田 太郎(やまだ たろう)
〒123-XXXX 東京都〇〇区〇〇 1-2-3
電話:090-XXXX-XXXX
E-mail:taro.yamada@example.com
宛名・挨拶・名乗り
ビジネスメールと同様に、必ず「会社名」「部署名」「担当者名」を正式名称で記載します。「お世話になっております」という挨拶と、「フルネーム(読み仮名)」を忘れずに記載します。
用件と添付の案内
「何のために(応募)」「何を(応募書類を)」「どうした(添付した)」を、簡潔かつ明確に伝えます。「ご査収(ごさしゅう)ください」は、「内容をよく確認してください」という意味の丁寧な言葉です。
結びの挨拶と署名
面接への希望を伝える一文と、「よろしくお願い申し上げます」という結びの挨拶を記載します。
そして、Eメールの「署名(しょめい)」と同様に、ご自身の氏名・住所・連絡先を必ず最後に記載します。
履歴書をLINEで送る際の「送信マナー」
メッセージの内容以外にも、LINEならではの注意点があります。
送信時間に配慮する
LINEは通知がリアルタイムで届くことが多いため、送信時間には最大限の配慮が必要です。
深夜や早朝の送信は、相手のプライベートな時間を妨害する可能性があり、ビジネスマナー違反です。必ず、応募先企業の「営業時間内」(一般的には平日の9時〜18時頃)に送信するようにしましょう。
スタンプや絵文字は絶対NG
当然のことですが、スタンプや絵文字、顔文字は絶対に使用してはいけません。
「(笑)」や「!」といった記号も、ビジネスの場では不適切と見なされます。
「既読」を気にして催促しない
メッセージを送った後、「既読」がついたのに返信が来ない(いわゆる「既読スルー」)と不安になるかもしれません。しかし、採用担当者は多くの業務と並行して応募者の対応をしています。
「ご確認いただけましたでしょうか?」といった催促(さいそく)の連絡を、応募者側から送るのは控えましょう。
もし間違えたファイルを送ってしまったら
万が一、間違ったファイル(古い履歴書、全く別のファイルなど)を送ってしまった場合は、気づいた時点ですぐに「謝罪」と「正しいファイル」をセットで送り直す必要があります。
【訂正・再送付】応募書類の件/山田 太郎
株式会社〇〇 人事部 採用ご担当者様
お世話になっております。山田 太郎です。
先ほどお送りしました添付ファイルに、誤りがありました。
誠に申し訳ありません。
修正いたしました正しい応募書類を、改めて添付いたします。
お手数をおかけし大変恐縮ですが、こちらをご査収いただけますようお願い申し上げます。
結論。LINEは「手段」。中身とマナーが重要
履歴書をLINEで送るという行為は、一見カジュアルに見えますが、採用選考の「本番」であることに変わりはありません。
「手軽さ」に流されて、ファイル形式の準備や、丁寧な言葉遣いを怠(おこた)れば、それだけで「ビジネスマナーが欠如している」と判断されてしまいます。
LINEはあくまで「手段」の一つです。Eメールや郵送と同じ、あるいはそれ以上に、相手(採用担当者)への配慮を尽くした「丁寧な対応」を心がけることが、書類選考を通過するための鍵となります。





