履歴書の「誤字」と「訂正」NG例。修正液や訂正印がダメな理由と唯一の正しい対処法
転職活動で履歴書を作成する際、どれほど注意深く書いていても、最後に「あっ、誤字だ!」と一文字の間違い(誤字)に気づくことがあります。
「一文字だけなのに、全部書き直すのは大変だ」
「修正液や訂正印で、うまく『訂正』できないだろうか?」
履歴書は、あなたの第一印象を決める公的な応募書類です。この「誤字」をどう「訂正」するかは、採用担当者にあなたの「仕事の丁寧さ」や「ビジネスマナー」を伝える上で、非常に重要な判断となります。
ここでは、履歴書の誤字・訂正に関する絶対のルールと、万が一間違えた場合の正しい対処法を詳しく解説します。
1. 履歴書の「訂正」で絶対NGな3つの方法
まず、履歴書という「公的な応募書類」において、「修正(訂正)」という行為そのものが、原則としてNGであると理解する必要があります。
採用担当者は、訂正跡のある書類を見た瞬間に、「準備不足」「雑な仕事」というマイナスの印象を抱きます。
特に、以下の3つの訂正方法は、社会人としての常識を疑われるため、絶対に避けるべきです。
NG1:修正液・修正テープの使用
「汚れた履歴書」と同様に、修正液や修正テープが使われた履歴書は、一目で「修正した」ことが分かります。「書き直す手間を惜しんだ」=「入社意欲(志望度)が低い」と判断される可能性が非常に高いです。
NG2:二重線と訂正印
一般的な社内のビジネス文書(帳票など)では、二重線と訂正印による修正が認められています。
しかし、これはあくまで「内部文書」でのルールです。応募先企業という「外部」に提出するフォーマルな履歴書において、この方法を使うのはTPO違反であり、ビジネスマナーを知らないと見なされます。
NG3:消せるボールペン(フリクションペンなど)
論外です。公的な書類(契約書など)で消せるペンが使えないのと同様に、履歴書でも使用は厳禁です。熱などで文字が消えてしまうリスクがあり、書類としての信頼性を失います。
2. 採用担当者は「誤字・訂正」をどう見るか
採用担当者が、誤字や訂正跡のある履歴書を見た場合、その「中身」を読む前に、以下のような懸念(けねん)を抱きます。
- 「注意力が不足している」→ 履歴書という重要な書類でミスを犯すということは、「入社後の実際の業務(資料作成、顧客対応など)でも、重要な確認を怠り、ミスをするのではないか」という不安に直結します。
- 「仕事が雑である」→ 書類作成の最終確認(見直し)を怠ったと判断され、仕事全般に対する姿勢が雑であると評価されます。
- 「入社意欲(志望度)が低い」→ 「自社への応募はこの程度の準備なのか」と、熱意が低いと見なされる可能性があります。
3. 「誤字」を発見した場合の、唯一の正しい対処法
では、誤字を発見した場合、どうするのが正解なのでしょうか。
それは、作成段階(手書きか、パソコンか)によって異なります。
1. 手書きで作成していた場合
正しい対処法はただ一つです。
「新しい用紙に、最初からすべて書き直す」
どれだけ作成が進んでいたとしても、たとえ最後の最後の一文字で間違えたとしても、その履歴書は破棄し、新しい用紙に一から書き直す必要があります。
これが、応募書類という公的書類に対する正しい向き合い方であり、あなたの誠実さや丁寧な仕事ぶりを伝えるための最低限のマナーです。
(※必ず、履歴書用紙は「予備」を準備しておきましょう)
2. パソコン(PC)で作成していた場合
これが、現代の転職活動でパソコン作成が推奨される最大の理由です。
**「データを修正し、印刷し直す」**だけで解決します。
印刷した履歴書に誤字を見つけたからといって、その紙に手書きで修正(二重線や修正液)を加えるのは、手書きの場合と同様にNGです。必ず、データ(WordやExcel)の段階で修正し、完璧な状態のものを「印刷し直す」必要があります。
4. もし「提出後・送信後」に誤字を発見した場合
最も焦るのが、履歴書を郵送、あるいはメールで「提出した後」に誤字に気づいたケースです。
この場合、その「間違いの重大度」によって、対処が変わります。
ケース1:軽微なミス(連絡不要の場合もある)
- 例:志望動機や自己PR欄での、わずかな誤字脱字(例:「貴社」が「貴者」になっているなど、文脈で伝わるもの)。
- 対処法:
- このレベルのミスであれば、あえて謝罪メールを送らないというのも、一つの判断です。
- 謝罪メールを送ることで、かえってその「誤字」を強調してしまうことになるからです。面接に進めた際に、もし指摘されたら誠実に謝罪すれば問題ありません。
ケース2:重大なミス(即時連絡が必須)
- 例:
- 応募先企業名の間違い(致命的です)
- ご自身の氏名や連絡先(電話番号・メールアドレス)の間違い
- 職歴や資格など、経歴の重大な誤り
- 対処法:
- 直ちに「謝罪」と「訂正」のメールを送る必要があります。
- これらを放置すると、ビジネスマナーを疑われ、その時点で不合格となる可能性が非常に高くなります。
提出後に訂正メールを送る際の例文
件名: 【訂正・お詫び】〇〇職応募の件/山田 太郎(ご自身の氏名)
本文:
株式会社〇〇
人事部 採用ご担当者様
お世話になっております。
先ほど(または、〇月〇日)、〇〇職の求人に応募いたしました、山田 太郎と申します。
先ほどお送りしました履歴書の「〇〇」欄(または職務経歴書)に、
以下の通り、誤りがありました。
(誤)〇〇〇〇
(正)△△△△
大変重要な書類で誤字がありましたこと、誠に申し訳ありません。
今後はこのようなことがないよう、細心の注意を払います。
ご多忙のところ、お手数をおかけし恐縮ですが、
ご確認いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
(ご自身の署名:氏名、住所、電話番号、メールアドレス)
5. 誤字(訂正)を防ぐための「予防策」
「書き直し」や「謝罪メール」といった事態を避けるため、提出前に以下のチェックを徹底しましょう。
- 声に出して「音読」する黙読(目で追うだけ)では、勢いで読み飛ばしてしまいます。「音読」すると、文章としてのおかしさや、抜け字に気づきやすくなります。
- パソコン(PC)の「校正ツール」を使うWordなどのソフトには「スペルチェック・校正機能」があります。これを活用するだけで、単純なミスは大幅に減らせます。
- 第三者(家族や友人)に見てもらうご自身の目では見つけられないミスも、他人の目なら簡単に見つかることがあります。
6. 結論。「誤字」のない完璧な書類が、信頼の第一歩
履歴書は、あなたの「仕事の丁寧さ」を証明する最初の作品です。
「誤字脱字」や「訂正跡」といった、注意すれば防げるはずのミスをなくすこと。
もし間違えた場合は、手間を惜しまず、必ず「完璧な状態」に作り直してから提出する。その「誠実な姿勢」こそが、採用担当者に「この人は信頼できるビジネスパーソンだ」という最初の安心感を与える鍵となります。





