履歴書の「語尾」。です・ます? だ・である? 転職で評価される正しい使い方
転職活動(中途採用)で履歴書を作成する際、「内容」に集中するあまり、「語尾(文末表現)」を意識していない方は少なくありません。
しかし、履歴書はあなたの第一印象を決める「公的な応募書類」です。採用担当者は、そこに書かれた「言葉遣い(語尾)」からも、あなたの「人柄」や「ビジネスマナー」、「仕事への丁寧さ」を無意識のうちに判断しています。
「語尾が統一されていない」「自信がなさそうに見える」
たったそれだけのことで、あなたの素晴らしい経歴が正しく伝わらないとしたら、非常にもったいないことです。
ここでは、採用担当者に好印象を与える、履歴書の「語尾」の正しいルールについて詳しく解説します。
転職(中途採用)の履歴書。語尾の「正解」は?
履歴書の語尾には、主に「です・ます」調(丁寧語)と、「だ・である」調(常体)の二種類があります。
結論から言いますと、どちらの語尾を使用しても、それ自体が選考で不利になることはありません。
「です・ます」調(丁寧語)の印象
(例:「〜です」「〜しました」「〜と考えています」)
「です・ます」調は、読み手(採用担当者)に対して、丁寧で誠実、かつ柔らかな印象を与えます。
履歴書は、応募先企業に提出する「ビジネス文書」であり、相手への敬意を示すのは当然のマナーです。
特に「志望動機」や「自己PR」といった、ご自身の熱意や人柄を伝える欄では、この「です・ます」調を使うのが、現代の転職活動において最も一般的であり、無難な選択と言えます。
「だ・である」調(常体)の印象
(例:「〜である」「〜した」「〜と考える」)
「だ・である」調は、客観的で、力強く、断定的な印象を与えます。文章が簡潔にまとまるため、限られたスペースの中で、より多くの情報を伝えられるメリットもあります。
「職務経歴書」では、ご自身の経歴や実績を客観的に示すために、この「だ・である」調が使われることも多くあります。
【最重要】「語尾の統一」という絶対ルール
「です・ます」と「だ・である」のどちらを選ぶかよりも、遥かに重要な絶対のルールがあります。
それは、**履歴書全体(あるいは、少なくとも一つの項目内)で、「語尾のスタイルを完璧に統一する」**ことです。
最も避けるべきなのは、同じ「志望動機」の欄の中で、
「(書き出し)貴社の〇〇に魅力を感じています。…(中略)…貴社に貢献できると考える。(終わり)」
といったように、**「です・ます」調と「だ・である」調が「混在」**してしまうことです。
このような書類は、採用担当者に「注意力が不足している」「仕事が雑だ」「読み手への配慮がない」といった、致命的なマイナスの印象を与えてしまいます。
採用担当者に響く「自信」が伝わる語尾
語尾の「スタイル(です・ます等)」と合わせて、採用担当者は、その「言葉選び」からあなたの「自信」や「主体性」を見ています。
避けるべき「弱い」語尾(NG例)
転職(中途採用)で求められるのは「即戦力」です。語尾が弱々しいと、ご自身の経歴やスキルに自信がないように見えてしまいます。
- NG例:「〜と思います」→ 多用すると、「あなたの経験なのに、なぜ他人事(ひとごと)のように言うのか」と、主体性や自信のなさを感じさせます。
- NG例:「〜のようです」「〜かもしれません」→ 憶測(おくそく)や曖昧な表現は、ビジネス文書である履歴書には不向きです。
- NG例:「〜学ばせていただきたい」→ 応募書類のNGワードの代表例です。企業は「学校」ではありません。「受け身」の姿勢と見なされます。
評価される「主体的な」語尾(OK例)
ご自身の経験やスキルを、事実として「断定的に」、かつ「貢献意欲」が伝わるように記載します。
- OK例:「〜です」「〜しました」→ 経験や事実を、客観的に記載します。
- OK例:「〜と考えています」→ 「〜と思います」よりも、ご自身の分析や思考に基づいた、主体的な意見として伝わります。
- OK例:「〜に貢献できます」「〜が可能です」→ ご自身のスキルが、入社後にどう活かせるかを明確に示します。
- OK例:「〜と確信しています」→ 志望動機などを締めくくる、強い熱意を示す言葉です。
項目別。語尾の書き方の注意点
職歴欄(業務内容)の書き方
職歴欄に、簡潔な業務内容(例:「〇〇に従事」)を記載する場合、「体言止め(たいげんどめ)」(文末を名詞で終える)や、動詞の連用形で終える書き方も、一般的によく使われます。
(例:「〇〇業務に従事。」「〇〇の管理を担当。」「〇〇を達成。」)
これは、限られたスペースで情報を簡潔に伝えるためのテクニックであり、マナー違反ではありません。
志望動機・自己PR欄の書き方
前述の通り、これらの「熱意」を伝える欄は、「です・ます」調を使い、かつ「〜に貢献できます」といった**「主体的な語尾」**で締めくくるのが、最も採用担当者に響く書き方です。
本人希望欄の書き方
もし、勤務地や職種などで、特に希望がない場合。
この欄に「特になし」と書くよりも、**「貴社の規定に従います。」**と記載するのが、協調性を示すビジネスマナーとしての「決まった語尾(定型句)」となります。
結論。語尾は「自信」と「一貫性」の表れ
履歴書の「語尾」は、あなたの人柄やビジネススキルを映す鏡です。
- 「です・ます」調か「だ・である」調か、スタイルを一つに決める。
- 決めたスタイルを、書類全体で**「完璧に統一する」**。
- 「〜と思います」といった「弱い」語尾を避け、「〜に貢献できます」といった「主体的な」語尾を選ぶ。
この3つのルールを守ることが、採用担当者に「この人は信頼できるビジネスパーソンだ」という安心感を与える、確実な第一歩となります。





