履歴書の「技能」とは? 資格や特技との違いと、採用担当者に響く書き方
履歴書における「技能」とは何か
転職活動で履歴書を作成する際、「免許・資格」欄や「特技」欄はあっても、「技能」という言葉の扱いに悩むことがあります。「資格や特技と何が違うのか」「そもそも技能とは何を書けばよいのか」と疑問に思うのは当然です。
履歴書における「技能(ぎのう)」とは、簡潔に言えば、**「あなたが仕事(業務)を遂行するために、具体的に“できる”技術や能力」**を指します。
採用担当者(特に中途採用)が知りたいのは、あなたが「何が好きか(趣味)」よりも、「何ができるか(技能)」です。この「技能」を正しくアピールすることが、書類選考を通過するために非常に重要です。
「技能」と「資格」「特技」の明確な違い
この3つの言葉は似ていますが、履歴書においては以下のように使い分けられます。
- 資格(しかく)「技能」を客観的に「証明」するものです。国や公的機関、民間の団体が認定した「免許」や「合格証」がこれにあたります。(例:普通自動車第一種運転免許、宅地建物取引士、日商簿記2級)
- 技能(ぎのう)「能力・技術」そのものです。資格によって証明される技能もあれば(例:簿記2級=経理の実務処理技能)、資格はないが実務で培った技能(例:PC操作、プログラミング、営業の折衝術)もあります。
- 特技(とくぎ)「他人よりも得意なこと」を指し、趣味(例:スポーツ、料理)の延長線上にあるものも含まれます。
転職(中途採用)の履歴書では、「特技」よりも「資格」、そして「資格」に裏付けられた、あるいは実務で証明できる**「技能」**が最も重視されます。
履歴書の「どこに」技能を書くか
履歴書のフォーマット(様式)に、「技能」という専門の欄は、ほとんどありません。
あなたが持つ「技能」をアピールする場所は、主に以下の2つの欄です。
1. 「免許・資格」欄
これが、技能を記載する最も一般的な場所です。
「技能」を客観的に証明する手段として、「資格名」を記載します。
2. 「自己PR」欄
資格としては取得していないが、実務レベルで高い「技能」を持っている場合(例:コミュニケーション能力、課題解決能力、高度なPCスキル)は、この欄で具体的なエピソードと共にアピールします。
【最重要】採用担当者に響く「技能」の書き方
「技能」をアピールする上で最も重要なのは、**「客観性」と「具体性」**です。「私は〇〇ができます」と主張するだけでは、採用担当者にはそのレベルが伝わりません。
NGな書き方(曖昧・抽象的)
- (NG例1):「パソコンが得意です」
- (NG例2):「PCスキル」
- (NG例3):「英語が話せます」
これでは、採用担当者は「どのレベルで?」と疑問に思うしかありません。
OKな書き方(具体的・客観的)
「技能」には必ず、**「レベルが分かる補足」や「それを証明する資格名」**をセットで記載します。
【書き方 例文1:PCスキル】
- マイクロソフト オフィス スペシャリスト Excel 2019 合格
- (※資格がない場合)Excel(VLOOKUP関数、ピボットテーブルを用いたデータ集計が可能)Word(ビジネス文書作成、差込印刷が可能)PowerPoint(プレゼンテーション資料作成が可能)
【書き方 例文2:語学スキル】
- TOEIC公開テスト 800点 取得
- 実用英語技能検定 準1級 合格
- (※点数がない場合)英語(ビジネスメールの読み書き、および日常会話レベルの電話応対が可能)
【書き方 例文3:専門スキル】
- 日本商工会議所簿記検定試験2級 合格
- Webデザイン(Photoshop, Illustratorを使用したバナー作成、LPデザインが可能)
- プログラミング(Pythonを用いたデータ収集・分析業務が可能)
転職(中途採用)で特にアピールになる「技能」
応募先の職種に関わらず、多くの企業で評価されやすい「技能」があります。
- PCスキル:特に「Excel」の技能(関数、ピボットテーブルなど)は、事務職、営業職、企画職問わず、業務効率化に直結するため高く評価されます。
- 語学スキル:グローバル化が進む中で、英語や中国語の「技能」は大きな武器となります。TOEICであれば、一般的に600点以上が履歴書に書く目安とされます。
- 専門職の技能:経理であれば「簿記」、不動産であれば「宅建」、IT系であれば「基本情報技術者」や具体的な「プログラミング言語」の技能が必須となる場合があります。
資格ではない「技能」のアピール方法
「免許・資格」欄には書ききれない、あるいは資格ではない「ポータブルスキル(持ち運び可能な技能)」は、「自己PR」欄や、セットで提出する「職務経歴書」でアピールします。
(例)
- マネジメント技能:「〇名のチームリーダーとして、進捗管理と後輩指導を担当しました」
- 折衝・調整技能:「他部署と連携し、〇〇プロジェクトの納期調整に貢献しました」
- 課題解決技能:「前職で〇〇という課題を発見し、〇〇を提案・実行し、業務効率を〇%改善しました」
結論。「技能」とは、あなたが「即戦力」であることの証明
履歴書における「技能」とは、あなたが「入社後すぐに、何ができて、どう貢献できるか」を具体的に示すためのものです。
「頑張ります」という熱意だけでなく、「私には、この業務を遂行する〇〇という技能があります」と客観的に提示すること。
単に「できる」ではなく、**「どのレベルでできるのか」**を、資格名や具体的な操作内容といった「客観的な言葉」で伝えることが、書類選考を通過する鍵となります。





