履歴書の「防火管理者」。転職でアピールになる? 正しい書き方
転職活動で履歴書を作成する際、「免許・資格」欄の書き方で悩むことは少なくありません。特に「防火管理者(ぼうかかんりしゃ)」の資格について、「これは書いても良いのだろうか」「一般企業への転職でアピールになるのか」と疑問に思う方もいるようです。
結論から言いますと、防火管理者の資格は、特定の業界(不動産、ビル管理、製造業など)だけでなく、あらゆる業界・職種において、あなたの「責任感」や「管理能力」を証明する、強力なアピールポイントとなります。
ここでは、採用担当者にあなたの強みを正しく伝えるための、「防火管理者」の正しい書き方について詳しく解説します。
転職(中途採用)で「防火管理者」が評価される理由
「防火管理者」は、消防法に基づき、一定規模以上の建物(オフィスビル、店舗、工場、病院、福祉施設など)において、火災による被害を防ぐための責任者として選任することが義務付けられている、重要な公的資格です。
採用担当者は、この資格が記載されていると、応募者が「即戦力」として、その建物の管理者を担える可能性だけでなく、以下のような「ビジネスパーソンとしての素養」を持っていると判断します。
- 1. 高い「安全意識」と「責任感」従業員や顧客の安全を守るという、非常に高いレベルの責任感を学んでいることの証明となります。
- 2. 「管理能力」と「計画性」防火管理者は、消防計画の作成、避難訓練の実施、消防用設備の点検など、計画的かつ組織的な管理業務を担います。これは、一般の業務における「プロジェクト管理能力」や「リーダーシップ」の素養(そよう)として評価されます。
- 3. 企業の「法令順守(コンプライアンス)」への貢献企業には、法令に基づき防火管理者を選任する義務があります。資格保有者であるあなたは、企業のコンプライアンス体制に直接貢献できる人材として、非常に価値があります。
【最重要】「防火管理者」の正式名称と書き方
履歴書は公的な応募書類です。「免許・資格」欄には、略称ではなく**「正式名称」**で記載するのがビジネスマナーです。
「合格」「取得」ではなく「修了」が正しい
「防火管理者」は、国家試験に「合格」するものではなく、定められた「講習(こうしゅう)」を受けて、その課程を「修(おさ)めた」ことを証明する資格です。
したがって、履歴書の語尾(ごび)は「合格」や「取得(しゅとく)」ではなく、**「修了(しゅうりょう)」**と記載するのが、最も正確な書き方です。
(※「取得」と記載しても、それ自体が選考で致命的なマイナスになることはありませんが、「修了」と書ける方が、より正確な理解をしていると判断されます)
「甲種」と「乙種」の書き分けは必須
防火管理者には、管理できる建物の規模によって「甲種(こうしゅ)」と「乙種(おつしゅ)」の2種類があります。
採用担当者にとって、この「種類」は非常に重要な情報ですので、ご自身がどちらを修了したのかを、必ず明記する必要があります。「防火管理者 修了」とだけ書くのは不十分です。
履歴書「免許・資格」欄への具体的な記載例
「免許・資格」欄には、修了した年月が古いものから順に記載するのが基本です。お手持ちの「防火管理者講習修了証」に記載されている、正式な講習名と日付を確認しましょう。
甲種(こうしゅ)の場合
〇〇年〇月 甲種防火管理者講習 修了
乙種(おつしゅ)の場合
〇〇年〇月 乙種防火管理者講習 修了
(補足)「防災管理者」も持っている場合の書き方
防火管理者とセットで、「防災管理者(ぼうさいかんりしゃ)」の講習も修了している場合があります。その場合は、両方を併記(へいき)します。
(記載例:甲種と防災管理者の両方を持っている場合)
〇〇年〇月 甲種防火・防災管理者講習 修了
(※「防火管理者」と「防災管理者」を別々に修了した場合は、それぞれの行に分けて「〇〇年〇月 防火管理者講習 修了」「〇〇年〇月 防災管理者講習 修了」と記載します)
結論。防火管理者は「責任感」と「管理能力」の証
防火管理者の資格は、「総務」や「ビル管理」といった特定の職種だけでなく、あらゆる企業の「管理職候補」や「責任ある立場」を任せられる人材としての、信頼の証となります。
たとえ応募先の業務と直接関係がないように見えても、空欄にしたり、「特になし」と書いたりせず、自信を持って記載しましょう。
その際、「甲種・乙種」の別を明確にし、「修了」という正しい言葉を使う。その「丁寧さ」と「正確性」が、あなたの評価をさらに高めることに繋がります。





