中途採用の履歴書における学歴はいつから書くべきか？正しい書き方とマナー

中途採用では義務教育終了後の「高校卒業」から記載するのが一般的です

転職活動において履歴書を作成する際、学歴欄をどこから書き始めるべきかという疑問は非常に多くの方が抱く悩みです。新卒の就職活動では中学校卒業から書くよう指導されることもありますが、キャリアを積んだ中途採用の選考においては、義務教育終了後の「高等学校卒業」から記載するのが一般的であり、ビジネスマナーとしても正解とされています。

中途採用の書類選考で最も重視されるのは職歴、つまり実務経験です。そのため、学歴欄にあまりに行数を割いてしまうと、肝心の職歴欄が圧迫されてしまったり、全体の構成バランスが悪くなったりする可能性があります。小学校や中学校の入学・卒業といった義務教育期間の記述は省略し、最終学歴に至るまでの重要な節目となる高校卒業から記載することで、採用担当者が必要な情報を効率的に確認できるような配慮が必要です。ただし、もし職歴が少なく履歴書の空白が目立つ場合や、どうしても学歴の変遷を丁寧に伝えたい場合は、高校入学から記載しても間違いではありません。基本は「高校卒業から」と覚えておき、全体のバランスを見て調整するのが賢明です。

学校名や学部・学科は省略せずに正式名称で記載する

書き始めの時期が決まったら、次は記載内容の正確さに注意を払います。学歴欄を書く際、学校名や学部名を省略せずに正式名称で記載することは必須のマナーです。「高校」ではなく「高等学校」と書き、公立か私立かも明記します。例えば、「私立〇〇高等学校 卒業」や「神奈川県立△△高等学校 卒業」といった具合です。大学や専門学校、短期大学の場合も同様に、「〇〇大学」だけでなく、学部、学科、専攻コースまで詳細に記載します。

採用担当者は、学校名だけでなく学部や学科名から、応募者がどのような専門分野を学んできたか、基礎的な知識ベースがどこにあるかを推測します。特にエンジニアや研究職、あるいは専門知識を要する営業職などへの転職の場合、専攻内容はポテンシャルを測る重要な材料となります。また、近年では学校名の変更や学部の統廃合も多いため、必ず「在籍当時の名称」を正確に書く必要があります。もし在籍時と現在で名称が異なる場合は、カッコ書きで現在の名称を補足しておくと、より丁寧で親切な印象を与えます。

年号は西暦か和暦かで統一し計算ミスを防ぐ

履歴書全体を通して最も基本的かつ重要なルールが、年号（日付）の表記統一です。西暦（2025年など）で書くか、和暦（令和7年など）で書くかを最初に決め、学歴欄、職歴欄、資格欄、そして提出日に至るまで全て統一します。これが混在していると、読み手にストレスを与えるだけでなく、事務処理能力や注意力が散漫であるというネガティブな評価につながりかねません。

特に学歴欄は、入学や卒業の年度を計算する必要があるため、うっかり間違いが起きやすい箇所です。留年や浪人がなくストレートで進学している場合は、インターネット上の「入学・卒業年度早見表」などを活用し、自分の生まれ年と照らし合わせて正確に記入することをお勧めします。もし留年や休学の期間がある場合は、自動計算に頼らず、自身でしっかりと年数を加算して確認してください。正確な年号の記述は、ビジネスにおける正確性を担保する第一歩となります。

中途退学や留学経験がある場合の適切な書き方

学歴の中に中途退学の事実がある場合、それを隠して「卒業」としたり、記載しなかったりすることは絶対に避けてください。これは学歴詐称にあたり、入社後に発覚すれば解雇などの重大なトラブルに発展するリスクがあります。書き方としては、学校名を書いた横、あるいは次の行に「中途退学」と記載します。

中退という事実にネガティブな印象を持たれることを避けるため、やむを得ない事情や前向きな理由がある場合は、簡潔に理由を書き添えることが有効です。例えば「家庭の経済的事情により中途退学」や「海外留学のため中途退学」、「進路変更のため自主退学」といった記述です。留学経験については、1年以上の正規留学であれば学歴欄に記載し、期間と学校名、国名などを明記します。1年未満の短期留学や語学留学の場合は、学歴欄ではなく自己PR欄や備考欄でアピールするのが一般的です。

社会人経験後の再入学（リカレント教育）のアピール

近年では、社会人になってから大学院に入学したり、専門学校で新たなスキルを学んだりする「リカレント教育（学び直し）」を受ける人が増えています。中途採用において、こうした主体的な学習意欲は高く評価されます。職歴の途中に学歴が入ることになりますが、時系列に沿って正確に記載します。

例えば、一度就職した後に退職して大学院へ進んだ場合は、職歴欄に退職を記載した後、学歴欄ではなく職歴の流れの中で「〇〇大学大学院 入学」と記載するか、あるいは学歴欄の最後に追記する形でも構いません。働きながら夜間大学院などに通っていた場合は、職歴と期間が重なることになりますが、それも事実通りに記載します。社会人になってからの学びは、即戦力としてのスキルアップや、キャリアに対する真剣度を示す強力なアピール材料となりますので、省略せずに記載してください。

学歴欄の作成は丁寧さと正確さが最大のポイント

中途採用の選考において、学歴そのものの偏差値やブランド力だけで合否が決まることは稀です。それ以上に、履歴書という公式な書類をいかに正確に、ルールに則って作成できるかという点が、社会人としての基礎能力として見られています。

いつから書くべきかという開始時期のルールを守り、正式名称で丁寧に記述し、誤字脱字や年号のミスをなくすこと。これら当たり前のことを徹底するだけで、採用担当者に「丁寧な仕事ができる人」「信頼できる人」という印象を与えることができます。職歴欄でのアピールを最大化するためにも、その土台となる学歴欄を完璧に仕上げ、隙のない応募書類を作成してください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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