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「本音」を書くと落ちる? 看護師の転職で「退職理由」を武器に変える、魔法の言い換えテクニック

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「師長と合わなくて辛かった」

「残業代が出ないのに、前残業ばかりで疲弊した」

「委員会や係の仕事が多すぎて、看護業務に集中できない」

転職を決意するきっかけの多くは、こうしたネガティブな事情です。しかし、これをそのまま応募書類(履歴書・職務経歴書)や面接で伝えてしまえば、採用担当者は「不平不満が多い人」「うちに来てもすぐ辞めるのでは」と警戒し、不採用の烙印を押されてしまいます。

だからといって、嘘をつく必要はありません。重要なのは、「ネガティブな事実(過去)」を「ポジティブな意欲(未来)」に変換して伝える技術です。

本記事では、採用担当者が納得し、むしろ「この人は成長意欲が高い」と評価したくなる退職理由の書き方・伝え方について解説します。


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1.採用担当者が「退職理由」を聞く、たった一つの理由

まず、敵(採用側)を知りましょう。彼らが退職理由をしつこく聞くのは、あなたの愚痴を聞きたいからではありません。確認したいのは以下の1点のみです。

「あなたが前の職場を辞めた原因は、うちの病院でも起こりうるか?」

  • NG: 「人間関係が悪かったので辞めました」
    • 担当者の心の声: 「うちにも性格がきついお局ナースはいるよ。じゃあうちも辞めるの?」→ 不採用
  • OK: 「チーム医療が機能しておらず、連携に課題を感じていました。貴院のようなPNS(パートナーシップ制)のもとで、互いに高め合える環境で働きたいと思い転職を決意しました」
    • 担当者の心の声: 「なるほど、うちはチームワーク重視だから、この人は合いそうだ」→ 採用

このように、「辞める理由」と「応募する病院の魅力」をセットにすることで、ネガティブな印象は払拭されます。

2.【実践】ネガティブをポジティブに変える「3段変換」の法則

どんなに後ろ向きな理由でも、視点を変えれば立派な志望動機になります。以下の3ステップで変換してみましょう。

  1. 本音(ネガティブ): 残業が多くて疲れた。
  2. 分析(なぜ嫌か?): 疲れて勉強する時間がない。質の高いケアができない。
  3. 変換(ポジティブ): 業務効率を意識し、自己研鑽の時間や患者様と向き合う時間を確保したい。

この法則を使った、よくあるケース別の具体的な「言い換え例文」を紹介します。

ケース①:人間関係・パワハラが原因の場合

最も多い理由ですが、そのまま伝えると「本人にも問題があるのでは?」と疑われやすい危険な項目です。

  • 本音:「先輩が怖くて、質問できる雰囲気じゃなかった。理不尽に怒られるのが嫌だ。」
  • 応募書類での表現(ポジティブ変換):「前職では個人の業務遂行が優先される環境でしたが、私はチーム全体で情報を共有し、安全な看護を提供したいという思いが強くありました。貴院は多職種カンファレンスやチーム連携に力を入れていると伺い、組織の一員として連携を大切にしながら貢献したいと考え、転職を決意しました。」
    • ポイント: 「人が嫌」ではなく「チームワークを大切にしたい」という価値観に変換します。

ケース②:残業・激務・休みが取れない場合

「楽をしたい」と思われないよう、「仕事の質」に焦点を当てます。

  • 本音:「毎日3時間の残業はもう無理。休みも少なくて体が持たない。」
  • 応募書類での表現(ポジティブ変換):「急性期病棟で多くの経験を積ませていただきましたが、業務量に追われ、一人ひとりの患者様に十分寄り添えないことに葛藤を感じておりました。今後は、患者様の退院後の生活まで見据えた看護を実践したいと考え、回復期リハビリテーションに力を入れている貴院を志望いたしました。メリハリをつけて業務に取り組み、万全の状態で患者様と向き合いたいと考えています。」
    • ポイント: 「疲れた」ではなく「もっと丁寧な看護がしたい」というプロ意識に変換します。

ケース③:給料が安い・評価されない場合

お金の話はデリケートですが、「正当な評価」という言葉を使えばキャリアアップの文脈になります。

  • 本音:「給料が安すぎるし、どれだけ頑張っても昇給しない。」
  • 応募書類での表現(ポジティブ変換):「前職では5年間勤務し、リーダー業務やプリセプターも務めましたが、年功序列の風土が強く、成果やスキルアップが評価に反映されにくい環境でした。ラダー制度や目標管理制度が整っている貴院で、自身のキャリアを客観的に評価いただける環境に身を置き、モチベーション高く看護の質向上に貢献したいと考えております。」
    • ポイント: 「お金が欲しい」ではなく「モチベーションを高く保ちたい」と言い換えます。

3.「一身上の都合」で済ませていいのは履歴書だけ

履歴書の「職歴」欄にある退職理由は、「一身上の都合により退職」という定型句で構いません。

しかし、職務経歴書の「退職理由(または転職理由)」欄や、面接の場では、具体的な説明が必要です。

ここで曖昧に濁すと、「何か隠しているのではないか」「トラブルを起こしたのではないか」と勘ぐられます。

先述のポジティブ変換を用いて、1〜2行で簡潔に記載しましょう。

4.応募先との「整合性」に注意せよ

どんなに綺麗な退職理由を作っても、応募先の病院とマッチしていなければ嘘っぽくなります。

  • 矛盾の例:退職理由:「もっと勉強する時間が欲しいから、残業の少ない環境に行きたい」応募先:「月平均残業30時間の救急病院」
    • 結果: 「うちに来てもすぐ辞めるだろう」と思われて不採用。

退職理由を考える際は、必ず応募先の病院の特徴(急性期か慢性期か、教育体制はどうか)をリサーチし、「前の病院では叶わなかったが、貴院なら叶えられる」というロジックが成立するか確認してください。

5.まとめ:退職理由は「次の病院へのラブレター」の一部

「退職理由」と言うと、過去の精算のように感じますが、実は**「未来への宣言」**です。

「前の職場が嫌い」なのではなく、「より良い看護をするために、新しい環境が必要だった」。

このように定義し直すことで、あなたの退職理由は、採用担当者の心を動かす強力なアピール材料に変わります。

過去の不満を書き出すのではなく、未来の希望を語るつもりで、応募書類のペンを走らせてみてください。

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キャリアアドバイザー
人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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