看護師が「4月入職」で転職を成功させるための全スケジュールと書類戦略

年度替わりとなる「4月入職」は、看護師の転職市場において最も人気のあるタイミングです。「区切り良くスタートしたい」「新卒と一緒に研修を受けたい」「冬のボーナスをもらってから辞めたい」と考える看護師が一斉に動き出すため、求人数は多いものの、ライバルも多い激戦区となります。

なんとなく年が明けてから動き出すと、希望の条件の求人がすでに埋まっていたり、選考が長引いて現職の退職交渉が間に合わなくなったりするリスクがあります。4月入職を確実に勝ち取るためには、逆算したスケジュール管理と、時期に合わせた書類作成が不可欠です。

本記事では、4月入職を目指す看護師のために、動き出しのベストタイミングや、ライバルに差をつける応募書類のポイントについて解説します。

１．いつから動くのが正解？ 時期別・求人の特徴と攻略法

4月入職を目指す場合、動き出しの時期によって戦略は大きく異なります。基本的には「早ければ早いほど有利」ですが、時期ごとの求人の傾向を知っておくことが重要です。

【前年の9月～11月】好条件・レア求人を狙う「先行逃げ切り期」

実は、4月入職の採用活動は早い病院では秋から始まっています。

• 特徴: 採用計画がしっかりしている大学病院や人気の大手病院、管理職候補などのハイクラス求人が動きます。
• 戦略: まだライバルが少ないこの時期に動くことで、じっくりと職場見学ができ、有利に選考を進められます。「4月入職の募集は始まっていますか？」と問い合わせるか、転職エージェントを通じて非公開求人を探すのが有効です。

【前年の12月～1月】求人数が最大化する「最盛期」

冬のボーナス支給後に退職意向を固める人が増えるため、求人数・応募者数ともにピークを迎えます。

• 特徴: 選択肢は最も多いですが、人気のクリニックや好条件の病院は、募集開始から数日で締め切られることもあります。
• 戦略: スピード勝負です。応募書類はあらかじめ作成しておき、気になる求人が出たら即座に応募できる体制を整えてください。

【2月～3月】欠員補充がメインの「滑り込み期」

国家試験の結果待ちや、急な退職者が出たことによる追加募集がメインとなります。

• 特徴: 選択肢は減りますが、病院側も「4月までに人を確保したい」と焦っているため、採用ハードルが下がることがあります。
• 戦略: 「4月1日から勤務可能です」という即戦力性と確実性をアピールすることで、逆転採用を狙えます。

２．4月入職のメリット・デメリットを把握して書類に活かす

なぜ4月に入職したいのか。その理由を明確にしておくことは、ミスマッチを防ぐだけでなく、志望動機に説得力を持たせるためにも役立ちます。

メリット：教育体制と「同期」の存在

中途採用であっても、4月入職であれば新卒向けのオリエンテーションや集合研修に一緒に参加させてもらえるケースが多いです。また、同時期に入職する「中途同期」がいる可能性も高く、人間関係を築きやすいのが最大の魅力です。

→ 書類での活かし方: 「貴院の充実した教育プログラムを一から受講し、基礎を再確認したい」「組織の一員として足並みを揃えてスタートしたい」といった意欲をアピール材料にします。

デメリット：現場のバタバタと放置リスク

4月は新人の受け入れや人事異動で、現場は一年で最も忙しい時期です。教育担当が新卒にかかりきりになり、中途採用者が「放置」されるリスクもあります。

→ 書類での活かし方: 「受け身」の姿勢はＮＧです。「分からないことは自ら積極的に質問します」「基本的な業務は自走できます」という自律性を自己PRに盛り込み、現場の負担にならない人材であることを伝えます。

３．書類選考を通過するための「4月入職」アピール術

履歴書や面接で「いつから働けますか？」と聞かれた際、あるいは本人希望欄に記入する際のマナーとポイントです。

履歴書の「本人希望欄」への書き方

在職中の場合、入職可能時期を曖昧にするのは厳禁です。

必ず**「20〇〇年4月1日より勤務可能です。」**と明記してください。

これにより、採用側は「年度初めのオリエンテーションに参加できる人材だ」と判断し、安心して採用プロセスを進めることができます。

志望動機で「計画性」を見せる

単に「キリがいいから」ではなく、キャリアプランに基づいた時期設定であることを伝えます。

＜例文＞

「現職では今年度末までプリセプターとしての役割を全うし、責任を持って業務を引き継ぐ予定です。その上で、4月という新たな年度の始まりに合わせて貴院に入職し、心機一転、専門看護師へのキャリアステップを踏み出したいと考え、計画的に転職活動を行ってまいりました。」

このように書くことで、「責任感が強く、計画的に行動できる人」という評価に繋がります。

４．内定後の注意点：現職の退職交渉は「12月」までに

4月入職の内定をもらっても、現職をスムーズに辞められなければ全てが水の泡です。特に年度末（3月末）の退職は希望者が多いため、病院側から引き止めにあったり、退職時期をずらすよう交渉されたりするトラブルが多発します。

トラブルを防ぐためには、就業規則を確認し、遅くとも12月中、どんなに遅くても1月上旬までには師長に退職の意思（3月末での退職）を伝えてください。

応募書類の段階で「現職の退職手続きは円滑に進んでおり（または、12月末に申し出る予定であり）、4月1日の入職に支障はありません」と伝えておくことも、採用担当者に安心感を与えるテクニックの一つです。

4月入職は、新しい環境でリスタートを切る最高のタイミングです。人気の枠を勝ち取るために、一日でも早く情報収集を始め、万全の書類を準備して挑んでください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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