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作業療法士の転職を成功へ導く職務経歴書の書き方とアピール戦略

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作業療法士の職務経歴書は臨床経験の解像度で評価が決まります

作業療法士の転職市場において、職務経歴書は自身の臨床能力や専門性を証明するための最も重要なプレゼンテーション資料です。履歴書の職歴欄はあくまで在籍期間や所属先を示すだけのものですが、職務経歴書はその中身を詳細に伝える役割を担います。採用担当者であるリハビリテーション科の責任者や事務長は、応募者がこれまでにどのような環境で、どのような患者様や利用者様に対し、どのようなアプローチを行ってきたのかを知りたいと考えています。

単に作業療法士として勤務と記載するだけでは、身体障害領域が専門なのか、精神科領域の経験があるのか、あるいは発達障害や老年期における生活支援に強みがあるのかが伝わりません。書類選考を確実に通過するためには、自身の経験を棚卸しし、客観的な数値や具体的な業務内容を用いて、即戦力としての実力を可視化することが不可欠です。ここでは、作業療法士ならではの専門性を正しく評価してもらうための書き方とテクニックについて解説します。

勤務していた医療機関や施設の規模と特徴を数字で明記する

職務経歴書を作成する際、最初に行うべきは前職の環境情報を正確に伝えることです。同じ作業療法士の業務であっても、急性期病院、回復期リハビリテーション病院、療養型病院、介護老人保健施設、訪問看護ステーションなど、勤務先によって求められるスキルやスピード感は大きく異なります。そのため、法人名や施設名を記載した後には、必ずその施設の規模感を数字で補足します。

具体的には、病床数や入所定員数、標榜している診療科、リハビリテーション科のスタッフ数(OT、PT、STの構成比)、1日あたりの平均患者数などを文章で記載します。例えば、回復期リハビリテーション病棟50床を有する病院にて、作業療法士10名体制の中で脳血管疾患の患者様を中心に担当しましたといった記述です。これにより、採用担当者はあなたがどのようなチーム規模で、どのような忙しさの中で業務を遂行していたかを具体的にイメージできるようになります。

対象疾患と介入内容を詳細に記して専門性をアピールする

作業療法士の強みは、身体機能へのアプローチだけでなく、高次脳機能障害への対応や、精神心理面への配慮、そしてADL(日常生活動作)やIADL(手段的日常生活動作)の獲得に向けた実践的な訓練ができる点にあります。職務経歴書では、主に対応していた疾患の種類(脳血管疾患、運動器疾患、呼吸器疾患、精神疾患など)を明記し、それぞれに対してどのような介入を行っていたかを具体的に記述します。

例えば、高次脳機能障害の患者様に対する自動車運転再開支援の経験や、家屋評価を行い住宅改修の提案に携わった実績、あるいは自助具の作製や選定による生活支援の経験などは、作業療法士ならではの専門スキルとして高く評価されます。精神科領域であれば、SST(社会生活技能訓練)の実施経験や、作業活動を通じた対人関係能力の向上支援などを記載します。単にリハビリ実施と書くのではなく、患者様の生活を再構築するためにどのような手段を用いたかを詳細に書くことが、実力の証明となります。

取得単位数や担当件数を数値化して業務処理能力を示す

臨床現場での実績を客観的に伝えるためには、数値を用いることが最も効果的です。1日あたりの平均取得単位数や、1ヶ月あたりの担当患者数、訪問リハビリであれば1日の訪問件数などを記載します。これらの数字は、あなたの業務処理能力やタフさを裏付ける証拠となります。

また、回復期病棟などで在宅復帰率の向上に貢献した実績や、FIM(機能的自立度評価法)の利得改善の実績など、アウトカム(成果)に関する数値があれば、それもアピール材料になります。数字で示すことで、単に業務をこなしていただけでなく、結果にこだわってリハビリテーションを提供していたというプロフェッショナルな姿勢を伝えることができます。

チーム医療への貢献と多職種連携の経験を強調する

作業療法士の仕事は、医師や看護師、理学療法士、言語聴覚士、ケアマネジャー、ソーシャルワーカーなど、多職種との連携が不可欠です。職務経歴書では、チーム医療の中でどのような役割を果たしてきたかについても触れておく必要があります。カンファレンスでの提案内容や、退院支援における調整業務、病棟スタッフへの介助方法の指導など、周囲と協調しながら患者様を支えてきたエピソードを記述します。

特に、他職種に対して作業療法の視点を分かりやすく伝え、チームの方針決定に貢献できるコミュニケーション能力は、どのような現場でも重宝されるポータブルスキルです。自分一人で完結する仕事ではなく、組織全体のリハビリテーションの質を高めるために動ける人材であることをアピールしてください。

認定資格や学会発表の実績で向上心を証明する

認定作業療法士や専門作業療法士、あるいは呼吸療法認定士、認知症ケア専門士、住環境コーディネーターなどの関連資格を持っている場合は、資格欄だけでなく職務経歴書の業務内容とリンクさせて記載することで説得力が増します。資格を取得したことで業務の幅が広がったり、より専門的な介入が可能になったりした経緯があれば、それを記述します。

また、学会発表や論文執筆、院内勉強会での講師経験などがある場合も、自己研鑽に励む姿勢を示す強力なアピール材料となります。医療は日進月歩の世界であり、常に新しい知識を吸収しようとする向上心は高く評価されます。プリセプターとして後輩指導にあたった経験や、実習指導者として学生を受け入れた経験も、教育能力やマネジメント能力の証明として必ず記載してください。

応募先のニーズに合わせてアピール内容を調整する

最後に重要なのは、応募する施設が求めている人物像に合わせて、職務経歴書のアピールポイントを調整することです。急性期病院への応募であれば、リスク管理能力や早期離床への取り組みを強調します。生活期や介護施設への応募であれば、生活行為向上マネジメントの視点や、ご家族への支援、地域との連携を強調します。

自身の持っているスキルのうち、相手にとって最もメリットのある部分を重点的に記載することで、マッチング精度を高めることができます。読み手である採用担当者の視点に立ち、見やすく整理されたレイアウトで作成することも、相手への配慮ができる作業療法士としての資質の証明となります。自信を持ってこれまでの経験を書き記し、希望する職場への転職を成功させてください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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