履歴書の志望動機でライフワークバランスは書いてもいい?好印象な言い換え術と例文
転職先を選ぶ上で、残業の少なさや休日の多さといった「ライフワークバランス」は非常に重要な条件です。しかし履歴書の志望動機欄に「御社はライフワークバランスが整っているため志望しました」とストレートに書いてしまうと、採用担当者にマイナスの印象を与えてしまうリスクがあります。本音では働きやすさが一番の理由であっても、それをビジネスの場にふさわしい「貢献意欲」や「仕事への姿勢」に変換して伝えることが、書類選考を通過するための鍵となります。ここではライフワークバランスを重視したいという本音を、採用担当者が評価するポジティブな志望動機に書き換えるテクニックと具体的な例文について解説します。
「ライフワークバランス」をそのまま書くと評価が下がる理由
採用担当者は志望動機を通じて、応募者が自社でどのように活躍してくれるのか、仕事に対してどれだけの熱意を持っているのかを見極めようとしています。その中で「残業が少なそうだから」「休みが多いから」といった福利厚生や条件面ばかりを強調してしまうと、以下のような懸念を持たれやすくなります。
- 仕事への意欲が低い: 「楽をしたいだけではないか」「仕事内容には興味がないのか」と思われてしまいます。
- 権利主張が強そう: 入社後も「権利ばかり主張して、業務責任を果たさないのではないか」と警戒されます。
- 他責思考の疑い: 「前の会社がブラックだったから」という逃げの転職に見え、ストレス耐性を疑われる可能性があります。
したがって、ライフワークバランスが整っていることはあくまで「長く良い仕事をするための基盤」であり、メインの志望理由は「仕事内容」や「どのように貢献するか」に置く必要があります。
休みや残業の少なさを「貢献意欲」に変換する3つの視点
「ライフワークバランスの取れた環境で働きたい」という本音は、視点を変えれば「生産性」や「長期就業への意欲」と言い換えることができます。以下の3つの視点を使って、好印象な志望動機に変換します。
生産性と効率化への意識に変換する
残業が少ない環境を希望する理由は、「ダラダラと長時間働くのではなく、限られた時間内で効率的に成果を出したいから」と言い換えます。メリハリをつけて働くことで高い集中力を維持し、質の高いアウトプットを出したいというプロフェッショナルな姿勢をアピールします。
自己研鑽とスキルアップへの意欲に変換する
休日が多いことを希望する理由は、「オフの時間を使って資格取得や勉強に励み、業務に役立つスキルを身につけたいから」と言い換えます。プライベートの充実が仕事の質を高めるという好循環を提示することで、向上心のある人材だと評価されます。
長く腰を据えて働く定着性に変換する
働きやすい環境を求める理由は、「心身ともに健康な状態で、腰を据えて長く会社に貢献し続けたいから」と言い換えます。特に離職率を気にしている企業にとっては、長く働いてくれるという意思表示は大きな安心材料になります。
【ケース別】ライフワークバランスを意識した志望動機例文
ここでは具体的なシチュエーションに合わせて、働きやすさをポジティブな志望動機に変換した例文を紹介します。
メリハリをつけて成果を出したい場合(営業・企画など)
例文
貴社の「徹底した業務効率化により、社員のワークライフバランスと高収益を両立する」という経営方針に強く惹かれ、志望いたしました。前職では長時間労働が常態化しておりましたが、私は限られた時間の中で最大限のパフォーマンスを発揮することこそが、プロフェッショナルとしての責任であると考えております。貴社のようなメリハリのある環境であれば、私の強みである集中力と段取り力を活かし、質の高い提案を継続して行えると確信しております。心身ともに万全の状態で業務に取り組み、貴社の事業成長に貢献いたします。
業務効率化をアピールする場合(事務・管理部門など)
例文
貴社の社員一人ひとりの働き方を尊重し、長期的なキャリア形成を支援する環境に魅力を感じ志望いたしました。前職の営業事務では、業務フローの見直しやマニュアル作成を行い、部署全体の残業時間を月間10時間削減した実績があります。貴社においても、整った環境に甘えることなく、持ち前の改善意識と事務処理能力を活かして業務効率化を推進し、バックオフィスから組織の生産性向上に貢献したいと考えております。
育児や介護と両立し長く働きたい場合
例文
貴社のダイバーシティを推進し、多様な働き方を認める社風に感銘を受け志望いたしました。私は仕事を通じて社会に貢献し続けたいという強い思いがありますが、そのためにはライフステージの変化にも柔軟に対応できる環境が不可欠であると考えております。貴社の充実した支援制度のもとであれば、キャリアを途切れさせることなく、腰を据えて業務に打ち込めると確信しております。限られた時間の中でも責任を持って成果を出し、貴社の事業を支える一員として長く貢献したいと強く願っております。
権利主張だけにならないためのバランス調整
ライフワークバランスを志望動機に含める際は、全体のバランスが重要です。「働きやすい環境だから」という理由が文章の半分以上を占めてしまうと、やはり意欲が低いと判断されます。
理想的な構成は、まず「事業内容や職種への興味・適性」を主軸(全体の7割〜8割)とし、その上で「そのようなやりがいのある仕事を、長く安定して続けられる環境があるからこそ、貴社を選んだ」という補足(残りの2割〜3割)として働きやすさに触れることです。
「環境が良いから働きたい」のではなく、「良い仕事をするために良い環境が必要だ」というロジックで伝えることで、採用担当者に納得感と信頼感を与える志望動機を作成してください。





