履歴書の志望動機が欄に書ききれない時の対処法と要約のコツ
転職活動において、企業への熱意や伝えたいことが溢れてしまい、履歴書の志望動機欄に文章が収まりきらないという悩みはよくあります。たくさん書きたいことがあるのは素晴らしいことですが、決められた枠の中に適切に収めることも、ビジネスパーソンとしての重要なスキルの一つです。文字が小さすぎて読みにくかったり、枠からはみ出していたりする書類は、採用担当者にマイナスの印象を与えてしまう可能性があります。ここでは履歴書の志望動機が欄に書ききれない場合の正しい対処法と、内容を薄くせずに文章を短くまとめる要約のテクニックについて解説します。
書ききれないほどの熱意は武器になるがルールも重要
志望動機が枠に収まらないということは、それだけ志望度が高く、アピールしたい材料が豊富にあるという証拠です。その熱意自体は転職活動において大きな武器になります。しかし履歴書は公的なビジネス文書であり、相手に自分をプレゼンテーションするための資料です。ビジネスの現場では、限られた時間やスペースの中で、相手に必要な情報を的確に伝える能力が求められます。採用担当者は履歴書の内容だけでなく、枠に合わせて情報を整理し、読みやすくまとめる配慮ができるかどうかもチェックしています。したがって、書ききれないからといって無理やり詰め込むのではなく、読み手の視点に立って情報を精査する必要があります。
やってはいけないNGな対処法と採用担当者の視点
志望動機が入りきらない時にやってしまいがちな、評価を下げる対処法がいくつかあります。
まず1つ目は、文字を極端に小さくして無理やり詰め込むことです。びっしりと埋まった文字の壁は、読む側に心理的な負担を与え、要領が悪いという印象を与えかねません。
2つ目は、枠からはみ出して書いたり、行を勝手に増やしたりすることです。これはフォーマットを無視した行為であり、ルールを守れない人物だと判断されるリスクがあります。
3つ目は、「別紙参照」として志望動機書を別に添付することです。職務経歴書がある場合はそちらに記載すればよいですが、履歴書の志望動機欄自体を「別紙参照」のみで済ませるのは避けるべきです。採用担当者はまず履歴書を見て全体像を把握するため、そこに志望理由が書かれていないと興味を持ってもらえない可能性があります。履歴書単体で完結するよう、要約して記載するのが鉄則です。
文章を短くスリム化するための具体的なテクニック
内容の質を落とさずに文字数を減らし、枠内に収めるためには、いくつかの推敲テクニックがあります。
具体的なエピソードを削り結論を優先する
志望動機の中で最も文字数を使うのは、理由を裏付けるための具体的なエピソード部分です。履歴書では思い切ってエピソードを削り、「結論」と「意欲」を中心に構成します。例えば、「前職では〇〇という課題があり、それを解決するために〇〇を行い、結果として〇〇になりました」という詳細な説明は、「前職での課題解決の経験を活かし」と一言にまとめることができます。詳細は職務経歴書や面接で語るものと割り切り、履歴書では見出しとなる情報を伝えることに集中します。
冗長な表現や敬語を簡潔にする
丁寧すぎる言い回しや、不要な接続詞を削るだけでも文字数は減らせます。「~と考えております」を「~と考えます」としたり、「一生懸命頑張りたいと思います」を「貢献いたします」と言い切る形にしたりすることで、文章が引き締まり力強い印象になります。「また」「そして」といった接続詞も、文脈が通じるのであれば削除しても問題ありません。
抽象的な定型文をカットする
「貴社の経営理念に深く共感いたしました」といった、どの企業でも使えるような抽象的なフレーズは、文字数を消費するだけで独自のアピールになりにくい場合があります。スペースが足りない場合はこうした定型文を削り、その企業ならではの魅力や、自分の具体的な貢献内容に文字数を使うほうが効果的です。
書ききれなかった内容は職務経歴書と面接で伝える
履歴書の志望動機欄は、あくまで「予告編」のようなものです。そこで全ての思いを伝えようとする必要はありません。履歴書には「なぜその会社なのか」「何ができるのか」という核心部分を要約して記載し、書ききれなかった詳細なエピソードや熱意は、職務経歴書の「自己PR」欄や「志望動機」欄を活用して伝えます。職務経歴書であればフォーマットの自由度が高いため、十分な文字数を使ってアピールすることが可能です。また、書類選考を通過した後の面接こそが、熱意を伝える本番の場です。「履歴書には書ききれませんでしたが」という言葉とともに、深い思いを口頭で伝えることで、一貫性がありながらも深みのある志望動機となります。
読みやすさと熱意のバランスが書類選考突破の鍵
履歴書の志望動機欄は、枠の8割程度が埋まっている状態が最もバランスが良く、読みやすいとされています。書ききれないほどの思いがあることは素晴らしいことですが、それを相手が受け取りやすい形に加工して届けることが、ビジネスパーソンとしてのマナーであり能力の証明です。情報を詰め込みすぎず、適度な余白と読みやすい文字の大きさを保つことで、採用担当者に「会って話を聞いてみたい」と思わせる魅力的な履歴書を作成してください。





