履歴書の「志望動機」と「特技」が同じ欄にある場合の書き方とアピール術
転職活動で使用する履歴書には様々なフォーマットが存在します。JIS規格の履歴書や、一部の独自フォーマットでは、「志望の動機・特技・好きな学科・アピールポイント」などが一つの大きな欄にまとめられていることがあります。
「志望動機と特技をどうやって書き分ければいいの?」「配分はどれくらいが正解?」と迷ってしまう方も多いでしょう。実はこのタイプの欄は、応募者の裁量でレイアウトを決められるため、戦略的に使えば非常に強力なアピールスペースになります。
ここでは、志望動機と特技が同じ欄にある場合の、読みやすく評価される書き方と構成テクニックについて解説します。
基本は「見出し」を使って内容を明確に分けること
志望動機と特技が同じ欄にある場合、最も基本的で読みやすいのは、「見出し」をつけて内容をブロック分けする方法です。だらだらと続けて書くのではなく、視覚的に区切ることで、採用担当者は「どこからが志望動機で、どこからが特技か」を瞬時に判断できます。
レイアウトの黄金比は「志望動機 8:特技 2」
転職活動において最も重要なのは「志望動機」です。特技はあくまで補足情報や人柄を伝えるための要素ですので、スペースの大半は志望動機に割くのが鉄則です。
書き方の構成例
【志望動機】
貴社の「顧客の課題解決を最優先する」という営業方針に強く惹かれ、志望いたしました。前職では法人営業として5年間、徹底したヒアリングに基づく提案を行い、信頼関係の構築に尽力してまいりました。この経験を活かし、貴社の新規事業拡大に即戦力として貢献したいと考えております。
【特技】
初対面の人とすぐに打ち解けること。
前職の営業活動においても、この特技を活かして多くの新規顧客を開拓いたしました。
このように、【 】(隅付き括弧)などを使って見出しをつけ、改行を入れることで、情報の整理能力があることもアピールできます。
応用編:特技を志望動機の「根拠」として組み込む書き方
より高度で説得力のある書き方として、特技を単なる趣味の延長として書くのではなく、志望動機(仕事への適性)を裏付ける「スキル」として組み込んでしまう方法があります。これにより、欄全体が一つのストーリーとして繋がり、一貫性のある強力なアピールになります。
営業職や現場職で「体力」や「継続力」を特技とする場合
スポーツなどの特技を、仕事に必要な体力や精神力のアピールにつなげます。
例文
【志望動機】
物流インフラを支える貴社の事業と、チームワークを重視する社風に魅力を感じ志望いたしました。私は学生時代から10年間サッカーを続けており、特技は長時間動き続けられる体力と、チームの状況を瞬時に把握する視野の広さです。
倉庫内作業においても、この体力と協調性を活かし、正確かつスピーディーな業務遂行でチームの生産性向上に貢献したいと考えております。
事務職や専門職で「PCスキル」や「語学」を特技とする場合
実務に直結するスキルを特技として挙げ、即戦力性を強調します。
例文
【志望動機】
貴社のグローバルな事業展開と、事務部門の効率化を推進する姿勢に共感し志望いたしました。私の特技は英会話(TOEIC 800点)と、エクセルのマクロ作成です。
前職では、これらのスキルを活かして海外拠点とのメール対応や、集計業務の自動化を行い、部署の残業時間を20%削減しました。貴社においても、語学力と事務処理能力を活かし、円滑な業務運営を支える即戦力として貢献いたします。
特技がない、または書くスペースがない場合の対処法
「これといった特技がない」あるいは「志望動機を熱く語りすぎてスペースが足りない」という場合は、無理に特技を書く必要はありません。この欄の主役はあくまで「志望動機」です。
その場合は、欄の冒頭に**【志望動機】**とだけ書き、志望動機のみで枠を埋め尽くしても問題ありません。中途半端な特技(例:「寝ること」「ギャンブル」など)を書くくらいなら、仕事への熱意や貢献できるスキル(自己PR)を充実させたほうが、採用担当者への印象は良くなります。
また、特技欄が別にある履歴書フォーマットをあえて選んで使用するのも一つの戦略です。
まとめて書く際の注意点
- ごちゃ混ぜにしない: 改行も空行もなく、志望動機と特技が繋がっていると非常に読みづらくなります。最低でも改行を行い、話題が変わったことを明確にしてください。
- 「好きな学科」は無視してOK: 多くのJIS規格履歴書には「好きな学科」という項目も含まれていますが、これは主に新卒向けの内容です。転職者が書く必要はないため、無視して志望動機と特技(または自己PR)にスペースを使ってください。
「志望動機・特技」が同じ欄にあるということは、それだけ自由度が高いということです。型にとらわれすぎず、あなたが最もアピールしたい内容(熱意なのか、スキルなのか、人柄なのか)に合わせて、見出しや配分を工夫してください。読みやすさと戦略性を兼ね備えた履歴書は、それだけでビジネススキルの証明になります。





