履歴書写真の髪色は黒染めすべきか？採用担当者がチェックする明るさの基準と注意点

転職活動において履歴書の写真は、応募者の第一印象を決定づける非常に重要な要素です。その中で、髪の色をどの程度の明るさまで抑えるべきか、あるいは黒染めをすべきかで悩む方は少なくありません。日常のビジネスシーンでは多少明るい髪色が許容されていても、履歴書という公的な書類においては、より厳格な基準が求められる場合があるからです。ここでは、履歴書写真における髪色の許容範囲や、採用担当者に「常識がある」と判断してもらうための適切な色の基準について、業界の傾向や撮影時の注意点を交えて詳しく解説します。

ビジネスシーンで許容される髪の明るさの基準

一般的に、日本のビジネスシーンにおいて好印象を与えるとされる髪色は「自然な黒」または「ダークブラウン」です。日本ヘアカラー協会が定めているレベルスケールを基準にすると、レベル6からレベル7程度が多くの企業で許容される範囲と言われています。レベル6は地毛に近い黒色、レベル7は室内では黒に見えるものの、光に当たるとほんのりと茶色く見える程度の焦げ茶色です。履歴書の写真においても、この範囲内に収めておくのが最も安全で、誠実な印象を与えることができます。レベル8を超えると、パッと見た瞬間に「茶色い」と認識される明るさになり、業界や職種によっては「軽い」「真面目さに欠ける」といったネガティブな印象を持たれるリスクが高まります。迷った場合は、地毛に近い色に戻すことが、書類選考を通過するための最も確実な選択肢となります。

業界や職種による許容範囲の違いを理解する

髪色の許容範囲は、志望する業界や職種によって大きく異なります。金融機関、公務員、歴史あるメーカー、ホテル業界、医療関係などの信頼性や規律が重んじられる業界では、黒髪であることが基本マナーとされています。こうした業界に応募する場合、少しでも茶色味があると悪目立ちしてしまう可能性があるため、黒染めをしてから撮影に臨むのが賢明です。一方で、IT業界、アパレル、美容業界、クリエイティブ職、一部のベンチャー企業などでは、個人の裁量が大きく、髪色に対しても比較的寛容な傾向があります。これらの業界では、ダークブラウン程度であれば清潔感があれば問題視されないことが多く、逆に真っ黒すぎると堅苦しい印象を与えることもあります。しかし、履歴書はあくまで「公式な書類」であるという前提を忘れず、カジュアルになりすぎない節度ある色味を選ぶことが大切です。

写真撮影時のライティングによる見え方の変化に注意

自分では「これくらいなら大丈夫」と思っていても、写真に撮ると予想以上に髪が明るく写ってしまうことがあります。特に写真館やフォトスタジオなどのプロの撮影環境では、顔色を良く見せるために強力なストロボや照明を使用します。この強い光が髪に当たると、肉眼で見ているよりも髪色が1トーンから2トーンほど明るく飛んで写ることがあるのです。そのため、現在の髪色が少し明るいかもしれないと不安に感じている場合は、撮影データではさらに茶色が強調されてしまう可能性が高いです。こうした事態を防ぐためには、撮影前に美容院で「写真撮影があるため、暗めにしたい」と伝えてトーンダウンしておくか、撮影当日にカメラマンに相談して、ライティングや修正で髪色が明るくなりすぎないよう調整してもらう配慮が必要です。

黒染めスプレーやデジタル修正の是非とリスク

撮影日までに美容院に行く時間がない場合、一時的な対処として黒染めスプレーを使用したり、撮影後のデータで髪色を黒く修正したりする方法を検討することもあるでしょう。しかし、これらの方法にはリスクも伴います。黒染めスプレーは、髪の質感が不自然にマットになったり、ゴワゴワとした固まりに見えたりして、「塗っている感」が写真に出てしまうことがあります。また、過度なデジタル修正で髪色を真っ黒に加工すると、髪の立体感が失われ、まるでカツラを被っているような違和感のある仕上がりになる恐れがあります。さらに重要なのは、面接当日の髪色との整合性です。写真では黒髪なのに、面接に現れた本人の髪が茶色ければ、「写真を偽っている」「TPOに合わせられない」という不信感につながります。可能な限り、面接当日と同じ状態で撮影に臨むことが、一貫性のある信頼獲得への近道です。どうしても修正が必要な場合は、真っ黒にするのではなく、自然なダークブラウンに近づける程度の微調整に留めることをおすすめします。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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