書類選考の結果連絡に対する「ありがとう」の伝え方と状況別メールマナー

転職活動において書類選考の結果連絡が届いた際、それが通過であれ不採用であれ、企業に対してどのように返信すべきか迷う場面は少なくありません。特に通過の連絡をいただいた場合には、感謝の気持ちをしっかりと伝えつつ、スムーズに次のステップへ進むための手続きを行う必要があります。また、残念ながら不採用だった場合でも、検討してくれたことへの感謝を伝えるべきか悩む方もいるでしょう。ここでは書類選考の連絡に対するお礼メールの役割や、状況に応じた適切な書き方、そして採用担当者に好印象を与えるマナーについて詳しく解説します。

書類選考通過の連絡には感謝のメールで第一印象を良くする

書類選考通過の連絡を受け取った際、単に面接の日程調整などの事務的な要件だけを返信するのは非常にもったいないことです。メールの冒頭で「この度は書類選考通過のご連絡をいただき、誠にありがとうございます」と一言添えるだけで、採用担当者に丁寧で誠実な印象を与えることができます。この感謝の言葉は、これから始まる面接に向けた最初のアイスブレイクの役割も果たします。

採用担当者は数多くの応募書類の中からあなたを選び出し、面接の機会を用意してくれています。その労力と期待に対して「ありがとう」という感謝の意を示すことは、ビジネスコミュニケーションの基本であり、一緒に働きたいと思わせるための重要な要素です。過度にへりくだる必要はありませんが、素直な感謝と面接への意欲を簡潔に伝えることで、面接官に会う前からポジティブな関係性を築くことができます。

お礼メールを送る際の件名と返信タイミングの基本

感謝のメールを送る際に最も重要なのはスピードです。ビジネスシーンにおいてはレスポンスの早さが意欲の高さと直結して評価されます。基本的にはメールを受信してから24時間以内に返信するのがマナーです。特に面接の日程調整が含まれている場合、返信が遅れると希望の日時が埋まってしまう可能性もあるため、可能な限り迅速に対応する必要があります。

件名については、企業から送られてきたメールの件名を変更せずに、そのまま返信する「Re:」形式を用いるのが鉄則です。「ありがとう」の気持ちを込めて件名を「お礼」などに書き換えたくなるかもしれませんが、採用担当者は件名を見てどの案件に関するメールかを管理しています。件名を変えてしまうと過去の経緯が分からなくなり、確認の手間を取らせてしまう原因になります。もし自分の氏名が件名に含まれていない場合は、件名の末尾に括弧書きで氏名を追加しておくと、受信一覧画面で誰からの返信かが一目で分かり親切です。

そのまま使える書類選考通過のお礼メール例文

実際に書類選考通過の連絡に対して返信する際の構成と例文を紹介します。基本的には「宛名」「感謝の言葉」「日程調整」「結び」「署名」の順で構成します。

まず、提示された面接候補日で都合が良い場合の例文です。

件名は変更せず、本文の冒頭に「株式会社〇〇 採用担当 〇〇様」と宛名を記載します。続けて「お世話になっております。〇〇（氏名）です。この度は書類選考通過のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。面接の機会をいただけますこと、大変嬉しく思います」と感謝を伝えます。その上で「ご提示いただきました日程の中で、下記の日時にお伺いしたく存じます」として日時を指定し、「当日は何卒よろしくお願い申し上げます」と結びます。

次に、こちらから希望日程を提示する場合の例文です。

感謝の言葉までは同様ですが、日程調整の部分で「私の希望日程につきまして、以下の通り提示させていただきます」とし、3つ程度の候補日を挙げます。最後に「お忙しいところ恐縮ですが、調整のほどよろしくお願い申し上げます」と添えます。どのパターンでも、冒頭で感謝を伝えることがポイントです。

不採用通知に対してありがとうのメールは送るべきか

一方で、不採用通知（お祈りメール）が届いた場合に「ご検討いただきありがとうございました」と返信すべきかどうかは、意見が分かれるところです。結論から言えば、基本的には返信する必要はありません。企業側は不採用通知を送った時点でその選考プロセスを終了としており、返信メールの対応に時間を割く余裕がないことが多いためです。「返信がない＝了承した」と受け取るのが通例ですので、静かにメールを閉じるのが相手への配慮となります。

ただし、例外もあります。知人の紹介で応募した場合や、転職エージェントを経由せず個人的なつながりで選考に進んだ場合などは、結果に関わらず時間を割いてくれたことへの感謝を伝えるのが礼儀です。また、不採用通知の中に定型文ではなく、担当者からの個人的なフィードバックや温かいメッセージが添えられていた場合も、短くお礼を伝えることで感謝の意を示すことができます。その際は「選考の機会をいただきありがとうございました。末筆ながら貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます」といった簡潔な内容に留め、未練がましい文章にならないよう注意が必要です。

メールは選考の一部であるという意識を持つ

「ありがとう」という言葉一つで、メールの雰囲気は大きく変わります。書類選考通過の連絡に対して事務的に返すだけの人と、感謝の気持ちを添えて返す人とでは、当然ながら後者の方が好感度は高くなります。メールのやり取りも選考の一部であり、あなたのコミュニケーション能力や人柄が見られているという意識を持つことが大切です。

たった一通のメールですが、そこに込められた配慮や感謝は必ず相手に伝わります。面接当日に良い雰囲気でスタートするためにも、書類選考の結果連絡には丁寧な「ありがとう」の気持ちを込めた返信を心がけることで、採用への距離を縮めることができます。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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