書類選考の結果が遅いと感じる理由と待っている間の適切な対処法

転職活動において応募書類を提出した後に最も精神的な負担となるのが結果を待つ時間です。数日で連絡が来ると期待していたにもかかわらず1週間あるいは2週間が経過しても音沙汰がないと、不採用になったのではないかと不安が募るものです。しかし書類選考の結果連絡が遅いのには企業側ならではの様々な事情があります。連絡が遅いことが必ずしも悪い結果につながるとは限りません。ここでは書類選考が遅くなる主な要因や、その期間をどのように過ごすべきか、そして適切な問い合わせのタイミングについて詳しく解説します。

書類選考にかかる一般的な期間と遅いと判断する目安

書類選考の結果が出るまでの期間は企業の規模や選考体制によって大きく異なりますが、一般的には応募から1週間から2週間程度が目安とされています。早い企業であれば応募の翌日や3日以内に連絡が来ることもありますが、これは比較的スムーズに進んだケースといえます。したがって応募から1週間程度で連絡が来ないからといって、即座に遅いと判断して焦る必要はありません。

遅いと判断する一つの基準は2週間です。多くの企業では2週間以内には合否に関わらず何らかの連絡を入れるのが通例です。もし求人票や応募完了メールに「選考結果は〇日以内にご連絡します」という記載がある場合はその期日が基準となりますが、特段の記載がない場合は2週間経過しても連絡がない状態を一つの区切りとして捉えると良いでしょう。

連絡が遅くなる企業側の事情とポジティブな可能性

選考結果の連絡が遅いと不採用の可能性が高いと考えがちですが、実は合格ラインにいるからこそ時間がかかっているケースも多々あります。例えば応募者が想定以上に多く殺到している場合、人事担当者はすべての書類に目を通すのに物理的な時間を要します。特に人気企業や好条件の求人では数百通の応募が集まることも珍しくなく、丁寧に選考を行っているからこそ遅れが生じることがあります。

また社内での調整に手間取っていることも考えられます。人事担当者の段階では通過としていても、面接官となる現場責任者のスケジュールが合わずに確認が遅れていたり、最終的な決裁者の承認待ちが発生していたりする場合があります。さらに合格ラインギリギリのボーダー上にいる場合も連絡が遅くなります。他の候補者との比較検討を行っていたり、より適任者が現れるか様子を見ていたりするため保留状態となっているのです。この場合は即不採用とはなっていないため、可能性は残されています。

連絡が遅い場合に考えられるネガティブな要因

一方でネガティブな理由によって連絡が遅れているケースも否定できません。採用担当者が多忙すぎて選考業務の優先順位が下がってしまっている場合や、社内の採用計画自体が見直しになっている場合などです。また残念ながら不採用が確定しているものの、通知業務が後回しにされていることもあります。

近年では不採用者には連絡をしない「サイレントお祈り」と呼ばれる対応をとる企業も一部存在します。もし募集要項に「合格者のみに連絡します」という記載がある場合は、一定期間連絡がなければ不採用と判断せざるを得ません。そのような記載がない場合でも、1ヶ月以上連絡がないようであれば選考から漏れてしまった可能性が高いと考えるのが自然です。

問い合わせを行うべきタイミングとマナー

連絡が遅いからといって即座に問い合わせをするのは避けるべきですが、目安となる2週間を過ぎても音沙汰がない場合は状況を確認しても失礼にはあたりません。ただし問い合わせをする前には必ず自身のメールボックスを再確認してください。迷惑メールフォルダに振り分けられていたり、着信を見落としていたりする可能性もゼロではないからです。

問い合わせは電話ではなくメールで行うのが無難です。件名には「書類選考結果のお問い合わせ」と氏名を明記し、本文では「選考にお時間を要していることとは存じますが」や「行き違いでご連絡をいただいておりましたらご容赦ください」といったクッション言葉を用いて、柔らかい表現で状況を伺います。「結果はまだですか」と催促するような文面は避け、あくまで現在の状況を確認させてほしいという謙虚な姿勢を示すことが重要です。

結果待ちの時間を有効活用するマインドセット

書類選考の結果を待っている期間は、自分ではコントロールできない時間です。この期間に結果を気にしてスマートフォンを何度も確認しても状況は変わりません。むしろこの時間をどのように使うかが転職活動の成否を分ける鍵となります。

連絡が遅い企業の結果を待つ間に、並行して他の企業の求人を探し応募を進めることが最も建設的です。転職活動では複数社に応募してリスクヘッジを行うのが基本戦略です。また万が一通過していた場合に備えて、企業研究を深めたり面接での想定質問への回答を準備したりしておくことも大切です。もし不採用だったとしても、その準備は次の企業への応募に必ず活きてきます。

連絡が遅いということは、それだけ慎重に検討されている可能性もありますし、単に縁がなかっただけかもしれません。どのような結果であっても動揺せずに次のアクションに移れるよう、常に前向きに活動を継続する姿勢を保つことが、最終的に納得のいく転職を実現するためには不可欠です。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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