医療事務の転職。採用担当者に伝わる履歴書の書き方
医療事務の転職と履歴書の役割
医療事務の転職活動において、履歴書は応募先(病院、クリニック、調剤薬局など)に自身の基本的なプロフィールと適性、熱意を伝えるための重要な書類であります。採用担当者は、この履歴書を通じて、応募者が医療事務職としての基礎知識やスキルを持っているか、そして何よりも、医療機関の「顔」としてふさわしい誠実さや人柄を備えているかを判断しようとしています。履歴書が自身の「概要」を示すものであるのに対し、職務経歴書は「具体的な実務経験」を詳細に説明する書類であります。この二つの役割の違いを理解し、履歴書では自身の基本情報を正確かつ丁寧に伝えることが、書類選考を通過するための第一歩となります。
基本情報と写真。医療事務に求められる印象
履歴書の上部に記載する日付(提出日)、氏名、連絡先といった基本情報は、省略せず正確に記載することが大前提であります。
特に、証明写真は医療事務職の応募において、第一印象を大きく左右します。医療事務は、患者様(来院者)と最初に接する立場であることが多いため、写真からは「清潔感」「安心感」「誠実さ」が伝わることが重要であります。服装はビジネススーツ、あるいは清潔感のあるジャケットや襟付きのシャツ(ブラウス)を着用し、髪型や身だしなみを整え、明るく、かつ落ち着いた表情を心がけます。
学歴・職歴欄。医療機関での経験の示し方
学歴欄は、高等学校卒業から、あるいは医療事務に関連する最終学歴(専門学校、短期大学、大学)から、学校名・学部・学科名を正式名称で正確に記載します。
職歴欄は、医療事務としてのキャリアを示す重要な項目であります。これまでに勤務した医療機関(法人名、病院名、クリニック名など)を、入職・退職の年月と共に時系列で正確に記載します。その際、採用担当者が規模感を把握できるよう、「(〇〇科クリニック、病床数〇〇床の一般病院)」といった形で、勤務先の概要を簡潔に補足すると親切であります。
また、「医療事務職として受付・会計業務に従事」といった形で、主な役割を簡潔に添えることも有効であります。ただし、詳細な業務内容(例。レセプト業務の詳細、使用したレセコンの種類など)については、併せて提出する職務経歴書の方で具体的に記述するため、履歴書の職歴欄はあくまで概要に留めます。
医療事務の転職で最重要な「資格欄」
医療事務の転職において、資格欄は自身の専門知識とスキルを客観的に証明するための、最重要項目の一つであります。医療事務に関連する資格は多数存在しますが、保有している資格は、取得年月と共に「正式名称」で正確に記載します。
例えば、「医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®) 合格」「診療報酬請求事務能力認定試験 合格」「医療事務管理士®技能認定試験 合格」といった形で、主催団体や試験名を正しく記します。これらの資格は、応募者が即戦力となり得るか、あるいは基礎知識を有しているかを示す強力なアピールポイントとなります。PCスキル(例。マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS))なども併せて記載します。
熱意と適性を伝える「志望動機欄」
採用担当者が履歴書の中で特に注目するのが「志望動機」欄であります。なぜ他の医療機関ではなく、その応募先の病院(クリニック)を志望するのか、その理由を具体的に記載する必要があります。そのためには、応募先の理念や診療方針、地域での役割などを事前にしっかりと研究することが不可欠であります。
医療事務経験者の場合は、自身のこれまでの経験(例。〇〇科でのレセプト経験、患者様対応スキル)が、応募先でどのように活かせると考えているのか、その貢献イメージを結びつけて伝えます。
未経験者の場合は、なぜ未経験から医療事務職を志望するのかという強い熱意と、前職(現職)で培ったスキル(例。接客業での高いコミュニケーション能力、事務職での正確なデータ処理能力)が、医療事務の業務でどのように活かせるのかを、論理的に説明することが求められます。
「自己PR」欄と「本人希望欄」
自己PR欄は、職歴欄や志望動機欄では伝えきれなかった自身の強みをアピールする項目であります。医療事務職に求められる「正確性(ミスのない作業)」「迅速性」「PCスキル」「患者様や他職種(医師、看護師など)との円滑なコミュニケーション能力」「協調性」など、自身の強みを簡潔なエピソードと共に記載します。
本人希望欄には、原則として給与や待遇といった条件面を詳細に記載することは避けます。特に希望がない場合は、「貴院(御院)の規定に従います。」と記載するのが一般的であります。ただし、希望する勤務形態(例。正職員、パートタイム)や、勤務可能な時間帯、曜日など、絶対に譲れない条件がある場合のみ、その旨を簡潔に記載します。





