履歴書の「別添」。使っても良い? 「別紙参照」との違いと正しい書き方
転職活動(中途採用)で履歴書を作成する際、職歴や資格など、アピールしたい内容が多いと、どうしても履歴書の「枠(欄)」に収まりきらないことがあります。
その時、「詳細は別の紙に書こう」と考え、「別添(べってん)」という言葉を使っても良いのか、あるいは「別紙参照(べっしさんしょう)」と書くべきか、悩む方は少なくありません。
「別添」という言葉は、使い方を間違えると、採用担当者に「熱意が低い」「手を抜いている」といった、致命的なマイナスイメージを与えてしまう危険性があります。
ここでは、採用担当者に「配慮ができる」という好印象を与える、「別添」の正しい使い方と、そのNG例について詳しく解説します。
1. 「別添」と「別紙参照」の違い。履歴書ではどちらを使う?
まず、「別添」と「別紙参照」は、どちらも「別の書類を添(そ)える」「別の紙を参照してほしい」という意味で使われ、履歴書においてはほぼ同じ意味として扱って問題ありません。
「別添資料(べってんしりょう)」という言葉があるように「別添」も使われますが、ビジネス文書の慣習としては**「別紙参照(べっしさんしょう)」**という言葉の方が、より一般的で多く使われる傾向にあります。
(※この記事では、両方をほぼ同じ意味として解説します)
2. 【最重要】「別添(別紙参照)」を“書いてはいけない”NGな欄
まず、転職(中途採用)の応募者が絶対にやってはいけないのが、「熱意」や「人柄」を伝えるべき重要な欄で「別添」を使うことです。
- NG1:「志望動機」欄
- NG2:「自己PR」欄
- NG3:「長所・短所」欄
これらの欄は、履歴書の中でも「あなた自身の言葉」で、応募先企業への熱意を伝えるべき「心臓部」です。
ここに「別添」や「別紙参照」とだけ記載されていると、採用担当者は**「熱意が全く感じられない」「応募書類を使い回しているな」**と判断し、その時点であなたの「別添」の書類(職務経歴書)を読むのをやめてしまう可能性が非常に高いです。
履歴書の各項目は、その枠内で「要点」を完結させるのが鉄則です。
3. 「別添(別紙参照)」が許容されるケース(やむを得ない場合)
では、「別添」は一切使ってはいけないのでしょうか。
いいえ、例外的に使用が許容されるケースもあります。それは、**「客観的な事実(データ)が、物理的に枠内に収まりきらない」**場合です。
ケース1:「職歴」欄
転職回数が非常に多く、手書きの履歴書用紙(JIS規格など)の所定の行数では、会社名と入社・退社日だけでも書ききれない場合です。
ケース2:「免許・資格」欄
取得している免許・資格が非常に多く、欄内に書ききれない場合です。
4. 履歴書への「別添(別紙参照)」の具体的な書き方(例文)
「別添」を使う場合も、「丸投げ」ではいけません。「履歴書にも主要な情報は記載し、詳細は別紙へ」という丁寧な書き方が求められます。
1. 「職歴」欄が足りない場合の書き方
転職回数が多い場合でも、直近の職歴や、応募先に関連する職歴は、履歴書に優先して記載します。
【書き方 例】
(職歴)
2015年 4月 株式会社〇〇 入社
2019年 3月 一身上の都合により退社
2019年 4月 株式会社△△ 入社
2023年 10月 一身上の都合により退社
その他の職務経歴は、別紙職務経歴書(別添)をご参照ください。
現在に至る
以上
(※在職中の場合、最後の「現在に至る」「以上」は必ず記載します)
2. 「免許・資格」欄が足りない場合の書き方
資格が多い場合は、**「応募先の業務に関連する資格」と「運転免許」**を優先して記載します。
趣味性の高い資格や、関連性の薄い資格は、履歴書では省略(または「別添」)します。
【書き方 例】
(免許・資格)
2015年 10月 普通自動車第一種運転免許 取得
2018年 11月 日商簿記検定試験2級 合格
2020年 5月 TOEIC公開テスト 800点 取得
その他、保有資格は別紙職務経歴書(別添)に記載
そして、職務経歴書(別紙)の末尾などに「保有資格一覧」という項目を設け、履歴書に書ききれなかった資格を全て記載します。
5. (推奨)「別添」を使わずに済む、最もスマートな解決策
そもそも、「行が足りない」という問題は、**「手書き」や「古いフォーマット」**に固執(こしつ)していることが原因です。
現代の転職活動(中途採用)において、最も推奨される解決策は、「パソコン(PC)」で履歴書を作成することです。
パソコン(Word・Excel)作成のメリット
- 行数を「自由」に増やせる職歴欄が足りなければ、WordやExcelの「行の挿入」機能を使って、必要な分だけ行を足せば良いのです。これで「別添」を使う必要は一切なくなります。
- 「A4サイズ」で統一できる転職活動では、応募書類を「A4」で統一するのが標準マナーです。PCで作成すれば、A4の職務経歴書とサイズを揃(そろ)えられます。
- 「読みやすい」採用担当者にとって、活字は読みやすく、好印象です。
6. 結論。履歴書は「要約」。詳細は「別紙(職務経歴書)」で
履歴書と職務経歴書には、明確な「役割分担」があります。
- 履歴書 = あなたの「プロフィール」や「索引(インデックス)」
- 職務経歴書 = あなたの「具体的な実績」や「スキル」をアピールする「プレゼンテーション資料」
「別添(別紙参照)」という言葉を使いたくなるのは、履歴書に「職務経歴書で書くべき詳細な業務内容」まで詰め込もうとしている証拠かもしれません。
「志望動機」「自己PR」欄には、「別添」を使わず、必ず「要約(結論)」を記載する。
「職歴」「資格」欄で、物理的にどうしても収まらない場合にのみ、「別添(別紙参照)」を補助的に使用する。
しかし、最もスマートなのは、最初から「パソコン(PC)」で作成し、全ての経歴を枠内に収めた、完璧な「A4サイズ」の履歴書を準備することです。
これが、採用担当者への「配慮」と「PCスキル」を同時に示す、最善の方法と言えます。





