履歴書はどこまで書く?転職(中途採用)で書くべき範囲と省略のルール
履歴書を作成する際、「どこまで書くべきか」という範囲に悩む方は少なくありません。学歴はいつからか、職歴はアルバイトも全て書くのか、資格は応募先に関係ないものも書くべきか。転職(中途採用)において、採用担当者が「知りたい情報」と「不要な情報」を正しく見極めることが、書類選考を通過する鍵となります。
採用担当者は、履歴書をあなたの「概要(インデックス)」として、職務経歴書を「詳細(プレゼン資料)」として見ています。ここでは、履歴書に「どこまで書くべきか」という疑問について、項目別に詳しく解説します。
学歴はどこから書くか
学歴欄は、いつから書き始めるべきか迷うポイントです。転職(中途採用)の履歴書においては、義務教育(小・中学校)は省略し、「高等学校卒業」から書き始めるのが一般的です。
「〇〇高等学校 入学」から書き始め、「〇〇高等学校 卒業」と続けます。大学や専門学校に進学した場合は、同様に「入学」と「卒業(または修了)」を時系列で記載します。
職歴はどこまで書くか(全部書かないとNG?)
履歴書で最も重要なのが職歴欄です。ここで「短期間で辞めた職歴は書かない」といった判断をすることは、非常に危険です。
原則、全ての職歴(雇用保険加入歴)を書く
中途採用の選考において、意図的に職歴の一部を書かないことは、「経歴詐称(けいれきさしょう)」にあたる可能性があります。入社手続きの際、雇用保険や年金手帳の加入履歴から、隠していた職歴が発覚するケースは少なくありません。その場合、採用担当者との信頼関係は失われ、内定取り消しや、入社後であっても懲戒解雇の理由となり得ます。
正社員、契約社員、派遣社員(派遣元)など、雇用保険に加入していた経歴は、在籍期間の長短に関わらず、全て正確に記載する必要があります。
アルバイト・パート経験はどこまで書くか
アルバイトやパートの経験は、必ずしも全て記載する必要はありません。ただし、以下の二つのケースでは記載すべきです。
一つ目は、職歴に「空白期間(ブランク)」がある場合です。「何もしていなかった」と見なされるよりも、「アルバイトとして〇〇の業務に従事していた」と記載する方が、遥(はる)かに良い印象を与えます。
二つ目は、そのアルバイト経験が「応募先の業務内容と強く関連している」場合です。例えば、事務職に応募する際に、データ入力のアルバイト経験があれば、それは立派なアピールポイントとなります。
業務内容はどこまで書くか
職歴欄の行が足りなくなる最大の理由は、履歴書に「業務内容」を詳細に書きすぎていることです。
履歴書はあなたの「概要」です。職歴欄には、「株式会社〇〇 入社 営業部に配属(〇〇の法人営業に従事)」といった、所属と主な役割(担当業務)を簡潔に示すにとどめます。
「具体的にどのような工夫をし、どのような実績(数字)を上げたのか」という詳細は、別途作成する「職務経歴書」の役割です。
免許・資格はどこまで書くか
持っている免許や資格を、全て羅列(られつ)すれば良いというわけではありません。採用担当者の視点に立ち、「アピールになるもの」を取捨選択(しゅしゃせんたく)することが重要です。
優先的に書くべき免許・資格
まず、応募先の職種に関わらず、社会人としての基本スキルとなる「普通自動車第一種運転免許」などは必ず記載します。
次に、応募先の「募集要項」に記載されている「必須資格」や「歓迎資格」(例:経理なら日商簿記2級、不動産なら宅地建物取引士)を記載します。
その上で、業務に関連性の高い専門資格(例:IT系なら基本情報技術者、事務職ならMOSなど)を記載します。
書かなくても良い(かもしれない)資格
応募先の業務と全く関連性がなく、趣味性が高すぎる資格(例:〇〇ご当地検定など)は、他に書くべき資格が多い場合は、あえて記載しない(省略する)という判断も必要です。
志望動機・自己PRはどこまで書くか
志望動機や自己PRの欄は、「どこまで書くか(量)」も重要です。
これらの欄がスカスカ(例:枠の半分以下)だと、採用担当者は「志望度が低いのではないか」と、あなたの熱意を疑ってしまいます。
かといって、枠内に余白がなくなるほど小さな文字でぎっしり詰め込むのも、「要約能力がない」「読み手への配慮がない」とマイナスの印象を与えます。
最適なのは、「枠(欄)の8割〜9割以上」を目安に、読みやすい文字の大きさで、熱意と論理性が伝わる内容を記載することです。ここでも、詳細は職務経歴書に譲り、履歴書には「アピールの要点(結論)」を記載することを意識します。
結論。履歴書は「正確」かつ「戦略的」に
履歴書に「どこまで書くか」という問題は、あなたの「ビジネスマナー」と「戦略」が問われる部分です。
「職歴」は省略せず「正確」に記載し、「資格」や「業務内容の詳細」は、応募先に合わせて「戦略的」に取捨選択する。
このバランス感覚こそが、採用担当者に「この人は信頼できる」と感じさせる、書類選考通過の鍵となります。





