履歴書の「渡すタイミング」。面接で好印象を与える正しいマナー
転職活動(中途採用)において、履歴書を「面接当日に持参してください」と指示されるケースは多くあります。郵送とは異なり、採用担当者を目の前にして直接手渡すため、「どのタイミングで渡せばいいのか」「カバンからいつ出せばいいのか」と、その「渡し方」のマナーに不安を感じる方は少なくありません。
採用担当者は、その立ち居振る舞い(しょさ)からも、あなたの「ビジネスマナー」や「相手への配慮ができるか」を見ています。
ここでは、面接官に「この人は信頼できる」という好印象を与える、履歴書の正しい「渡すタイミング」と、その際の動作について詳しく解説します。
1. 【大原則】渡すタイミングは「指示を待つ」のが基本
履歴書を渡すタイミングにおける最も重要なルールは、**応募者側から勝手に渡そうとせず、面接官(または採用担当者)からの「指示を待つ」**ことです。
面接官には、面接の進め方(アイスブレイクから始める、先に会社説明をする、など)の段取りがあります。応募者が部屋に入るなり、あるいは着席するなりして、すぐに履歴書を差し出すのは、その流れを妨(さまた)げてしまう可能性があり、配慮に欠ける印象を与えかねません。
面接室に入り、着席を勧められたら、履歴書の入った封筒はカバン(バッグ)から出さず、カバンの上に置くか、足元に置いたカバンの中に置いたまま、まずは挨拶と会話に集中しましょう。
多くの場合、面接官の方から「では、応募書類をいただけますか」といった形で、提出を求められます。
2. もし面接官から「指示がなかった」場合のタイミング
これが、応募者が最も悩むケースです。面接が始まって雑談や自己紹介が進んでも、面接官が履歴書を要求するそぶりを見せない場合もあります。
この場合、**「挨拶や自己紹介が一段落し、本格的な質疑応答に入る直前」**が、こちらから申し出るベストなタイミングです。
正しい申し出の「タイミング」と言葉(例文)
面接官が「では、〇〇さんのご経歴について…」と本題に入ろうとした瞬間や、会話が一区切りついたタイミングで、以下のように丁寧に伺(うかが)いを立てます。
(例文)
「本日は、応募書類を持参しております。
ただいまお渡ししてもよろしいでしょうか。」
このように一言断りを入れれば、面接官も「ああ、お願いします」とスムーズに受け取ることができます。
NGなタイミング
- 面接官がまだ話している最中に、遮(さえぎ)って申し出る。
- 面接がすべて終了し、退室する間際になってから慌てて渡す。
3. 「受付で渡す」よう指示された場合のタイミング
渡すタイミングは、面接室とは限りません。
ビルの受付や、面接室に案内してくれた人事担当者から、「面接の前に、応募書類をお預かりします」と先に声をかけられるケースもあります。
この場合は、その指示に従い、その場ですぐに渡します。
4. 【重要】渡すタイミング別。「渡し方」の違い
「いつ渡すか」と同時に、「どう渡すか」も重要です。特に、「封筒」の扱いは、渡す相手(タイミング)によって異なります。
(※前提として、履歴書は「折らずに」A4サイズの「無色透明クリアファイル」に入れ、それを「白色」の「角形A4号」または「角形2号」の封筒に入れて持参するのがマナーです)
ケース1:受付や、面接官「以外」の人に渡す場合
この場合は、**「封筒ごと」**渡します。
- 動作:カバンから封筒を取り出します。中身(クリアファイル)は封筒から出さず、封筒のまま渡します。
- 向き:相手が読みやすい向き(相手の正面)で、両手で差し出します。
- 言葉:「〇〇様(面接官)にお渡しいただくよう、お願いしております。よろしくお願いいたします。」
ケース2:面接官に「直接」渡す場合
この場合は、**「封筒から出して」**渡します。
- 動作:
- (指示されたら)カバンから封筒ごと書類を取り出します。
- その場で、封筒から「クリアファイルに入った状態の」書類を取り出します。
- 取り出した封筒は、クリアファイルの下(裏側)に重ねて持つか、すぐにカバンにしまいます。(机の上に置くのはNGです)
- 向き:採用担当者が**すぐに読める向き(相手の正面)**に書類の向きを変えます。
- 言葉:**「クリアファイルごと」**両手で持ち、「こちらが応募書類です。よろしくお願いいたします。」と述べながら、丁寧に差し出します。(机を挟んでいる場合は、相手が取りやすい位置に、失礼しますと一言添えて置きます)
5. スムーズな「タイミング」は「準備」で決まる
面接官から「どうぞ」と言われた瞬間に、カバンの中をガサゴソと探し回っていては、それだけで「準備不足」「段取りが悪い」という印象を与えてしまいます。
履歴書を入れた封筒は、カバンの中の他の荷物(財布、ポーチ、ペットボトルなど)と混ざらないよう、「カバンの定位置(例:仕切りポケットなど)」に、「すぐ取り出せる向き」で入れておくこと。
この「事前準備」こそが、当日のスマートな「渡すタイミング」と「渡し方」を成功させる鍵となります。
6. 結論。「渡すタイミング」は「配慮」を示すチャンス
履歴書を渡すタイミングは、応募者の「TPOを読み取る能力」や「相手への配慮」を示す、最初のチャンスです。
「指示を待つ」という基本姿勢を持ちつつ、もし指示がなければ「相手の邪魔にならない最適なタイミングで、丁寧に伺いを立てる」。
その「配慮」ある行動が、採用担当者からの信頼を得る第一歩となります。





