履歴書の「レジュメ」とは? 転職(中途採用)で求められる書類の違いと正しい使い方
転職活動(中途採用)を始めると、応募書類として「履歴書」の提出を求められることがほとんどです。しかし、特に外資系企業やIT企業などの募集要項を見ていると、「履歴書」ではなく**「レジュメ(Resume)」**という言葉を目にすることがあります。
「履歴書とレジュメは、何が違うのだろうか?」
「日本の転職活動では、どちらを準備すれば良いのか?」
この二つの書類は、似ているようで、その「目的」と「書き方」が根本的に異なります。この違いを理解していないと、採用担当者にあなたの強みを正しく伝えることができません。
ここでは、日本の転職活動における「履歴書」と「レジュメ」の違い、そして「職務経歴書」との関係について詳しく解説します。
1. 「履歴書」と「レジュメ」の根本的な違い
まず、この二つの書類が「何を伝えるためのものか」を整理しましょう。
履歴書 = あなたが「誰であるか」を示す公的書類
「履歴書」は、氏名、生年月日、住所、学歴、職歴、資格といった応募者の「プロフィール(人となり)」を、定められた様式(フォーマット)に従って記載する、日本独自の公的な応募書類です。
採用担当者は、履歴書を見て、「応募者がどのような人物か」「社会人としての基礎的な経歴はどのようなものか」といった全体像を把握します。
レジュメ = あなたが「何ができるか」をアピールする書類
「レジュメ(Resume)」は、主に欧米(特に北米)で使われる応募書類です。
レジュメの目的はただ一つ、**「ご自身の職務能力と実績をアピールし、面接に漕ぎ着けること」**です。
様式(フォーマット)は自由で、応募する職種に合わせて、ご自身の「スキル」「実績」「経験」を、A4用紙1〜2枚程度に簡潔に(多くは箇条書きで)まとめます。履歴書にあるような「性別」「年齢」「顔写真」などは、原則として記載しません。
2. 日本の転職(中途採用)で求められるのはどれか
では、日本の転職活動(中途採用)では、どちらを提出すべきでしょうか。
日本の転職市場は独特で、「履歴書」と、欧米の「レジュメ」の役割を果たす「職務経歴書」の、2点セットを提出するのが一般的です。
- 履歴書→ 応募者の「基本情報」を確認するために使われます。
- 職務経歴書(しょくむけいれきしょ)→ これが、**実質的に「日本版レジュメ」**にあたります。履歴書の「職歴」欄には書ききれない、「具体的にどのような業務を行い、どのようなスキルを磨き、どんな実績(数字など)を上げてきたか」を、自由な形式(A4サイズ1〜2枚程度)でアピールするための書類です。
中途採用で企業が求めているのは「即戦力性」です。採用担当者は、まず履歴書で「誰であるか(概要)」を確認し、次に**職務経歴書(日本版レジュメ)**で「何ができるか(詳細)」を判断します。
3. 「レジュメを提出してください」と言われた場合の対処法
では、応募先企業(特に外資系やIT系)から、日本の慣習とは異なり「履歴書」ではなく「レジュメを提出してください」と指示された場合はどうすればよいでしょうか。
この場合、企業が指す「レジュメ」とは、多くの場合、JIS規格のような日本式の「履歴書」のことではなく、**「あなたの職務経験やスキルをA4・1〜2枚程度にまとめた書類(=職務経歴書)」**のことを指しています。
対処法
- 募集要項を再確認する「レジュメ(職務経歴書)」だけでよいのか、それとも「履歴書」と「レジュメ」の両方が必要なのか、記載を再確認します。
- 「職務経歴書」を準備する応募する職種に合わせて、ご自身の強みをアピールする「職務経歴書(日本版レジュメ)」を作成します。
- 迷ったら「両方」提出するのが最も安全もし、「レジュメ」という言葉の定義が曖昧(あいまい)で、どちらを指しているか判断がつかない場合は、日本の転職活動の標準である「履歴書」と「職務経歴書」の両方をセットで提出するのが、最も安全で確実な対応です。
4. 履歴書とレジュメ(職務経歴書)の役割分担
転職(中途採用)の書類選考を通過するためには、この2つの書類の「役割分担」を意識することが非常に重要です。
- 履歴書に書くこと
- 客観的な「事実」を「正確」に記載します。
- (学歴、職歴、資格など)
- 志望動機や自己PRは「要約(結論)」を簡潔に記載します。
- レジュメ(職務経歴書)に書くこと
- 履歴書に書いた「要約」の「具体的な根拠」を記載します。
- (どのような工夫をし、どのような「実績(数字)」を上げたのか、具体的なエピソードでアピールします)
履歴書で「私はこういう人間です」と名乗り、職務経歴書(レジュメ)で「私には、御社で活かせる、こういう強みがあります」とプレゼンテーションする。この連携が鍵となります。
5. 結論。日本の転職では「履歴書+職務経歴書」が標準
「履歴書」と「レジュメ」は、似ているようで全く異なる役割を持つ書類です。
日本の転職活動(中途採用)においては、応募者の「プロフィール」を示す**「履歴書」と、応募者の「職務能力」をアピールする「職務経歴書(=日本版レジュメ)」**の2点セットを準備するのが「標準」です。
もし応募先から「レジュメ」という言葉で提出を求められた場合は、「職務経歴書」のことを指している可能性が高いと判断し、ご自身の強みを最大限にアピールできる内容を作成しましょう。





