履歴書は「万年筆」で書いても良い? 転職での正しい筆記具の選び方とマナー
転職活動で履歴書を手書きで作成する際、「筆記具」の選択に悩むことがあります。「普段から万年筆を愛用しているが、履歴書に使っても良いのだろうか?」あるいは「万年筆の方が、丁寧で良い印象を与えられるのでは?」と考える方もいるかもしれません。
履歴書は、あなたの第一印象を決める公的な応募書類です。内容だけでなく、その「書き方」や使用する「道具」にも、ビジネスマナーが表れます。
ここでは、履歴書の筆記具として「万年筆」が適切かどうか、そして転職活動で最も推奨される筆記具について詳しく解説します。
1. 結論:履歴書に「万年筆」は使っても良い
まず結論から言いますと、履歴書を万年筆で作成することは、ビジネスマナー違反にはあたりません。
履歴書の筆記具の基本ルールは、「黒色」で「消すことができない」ペンであることです。万年筆は、ボールペンと同様に正式な筆記具として認められているため、使用すること自体は問題ありません。
2. ただし、万年筆には「リスク」と「注意点」がある
「使っても良い」とはいえ、万年筆の使用にはいくつかの「リスク」が伴います。採用担当者にマイナスの印象を与えないためにも、以下の注意点を必ず守る必要があります。
注意点1:インクの色は「黒(ブラック)」一択
万年筆のインクには様々な色がありますが、履歴書に使用するインクは**「黒(ブラック)」一択**です。
「ブルーブラック(青黒)」は、一般的なビジネス文書(サインなど)では使われることがありますが、履歴書という公的な応募書類においては、誰もが「黒」と認識する、純粋な「黒」を使うのが最も無難であり、正式なマナーです。
注意点2:「にじみ」と「裏写り」のリスク
万年筆のインク(特に染料インク)は、履歴書用紙の紙質によっては、**文字が「にじんで」しまったり、「裏写り」**してしまったりする可能性があります。
もし、にじみや裏写りが発生した履歴書を提出すれば、「準備不足」「見栄えが悪い」と、かえってマイナスの印象を与えます。
使用する場合は、必ず事前に、使用する履歴書用紙の端などで「試し書き」をする必要があります。
注意点3:「乾かす」時間が必要
インクが乾くまでに時間がかかるため、書いた直後に手などで擦(こす)ってしまい、書類全体を汚してしまうリスクがあります。
注意点4:ペン先の「太さ」
万年筆のペン先には「細字(F)」「中字(M)」など太さがあります。履歴書の限られた枠内に読みやすく書くためには、「細字(F)」が推奨されます。中字以上だと、文字が潰(つぶ)れて読みにくくなる可能性があります。
3. 転職活動で「最も推奨される」筆記具とは
上記のような「にじみ」や「かすれ」のリスクを考慮すると、万年筆は「書き慣れている人向け」の筆記具と言えます。
現代の転職活動において、最も安全で、誰でもきれいに仕上げることができ、推奨される筆記具は、**「黒色のゲルインクボールペン(0.5mm〜0.7mm)」**です。
なぜ「ゲルインク」が良いのか
- にじみにくい:油性ボールペンのようにインクだまりができにくく、水性ペンのようににじみにくい。
- 裏写りしにくい:紙への浸透が適度です。
- 乾きが速い:書いた直後に擦れて汚れるリスクが低いです。
- 文字がくっきり見える:発色が良く、採用担当者にとっても読みやすいです。
4. 絶対にNG! 履歴書に使ってはいけない筆記具
以下の筆記具で書かれた履歴書は、社会人としての常識を疑われ、それだけで選考対象から外される可能性があります。
- 消せるボールペン(フリクションペンなど)→ 絶対にNGです。 摩擦や熱で文字が消えてしまう可能性があり、改ざんが容易なため、公的な応募書類には絶対に使用してはいけません。
- 鉛筆、シャープペンシル→ 簡単に消せてしまうため、信頼性のない書類と見なされます。
- 水性ペン、サインペン→ にじみや裏写りのリスクが非常に高いです。
- 黒以外の色のペン→ 履歴書は全て「黒色」で統一するのが鉄則です。
5. 結論。万年筆は「上級者向け」。迷ったら「ゲルインク」
履歴書に万年筆を使うことは、マナー違反ではありません。しかし、それは「にじみ」や「裏写り」といったリスクを、ご自身で完全にコントロールできる(=書き慣れている)場合に限ります。
もし、どの筆記具を使うか少しでも迷うのであれば、無理に万年筆を選ぶ必要は全くありません。
最も安全で、誰でも読みやすい文字が書ける**「黒色のゲルインクボールペン(0.5mmまたは0.7mm)」**を選ぶのが、転職活動における「最適解」です。
採用担当者が見ているのは、筆記具の高級さではなく、「読みやすく、丁寧な書類を準備できるか」という、あなたの「仕事への姿勢」です。





