履歴書の「標準」とは? 転職で使うべき様式とサイズ、マナーを解説
転職活動を始めるにあたり、多くの人が「標準的な履歴書」とはどのようなものか、という疑問に直面します。かつては「JIS規格」という言葉が標準の代名詞のように使われていましたが、現在ではその定義も変わりつつあります。
採用担当者に「ビジネスマナーを理解している」という良い第一印象を与えるためにも、現代の転職活動(中途採用)における「標準」とは何かを正しく理解しておくことが重要です。
かつての「標準様式」。JIS規格と厚生労働省推奨
履歴書の様式(フォーマット)として、長らく「JIS規格(日本産業規格)」に基づいたものが「標準」とされてきました。これは、文房具店などで一般的に販売されていた、氏名、住所、学歴、職歴などが定められた形式のものです。
しかし、働き方や個人の多様性を尊重する社会的な流れの中で、このJIS規格の履歴書様式は2020年に廃止されました。
それに代わり、現在では厚生労働省が「公正な採用選考」の観点から、新しい履歴書の様式例を推奨しています。これには、応募者の能力や適性とは関係のない情報(例えば、性別欄が任意記載になっている、扶養家族欄や配偶者欄がないなど)で選考が左右されることを防ぐ目的があります。
転職(中途採用)で「標準」となる履歴書の選び方
JIS規格が廃止され、厚生労働省の様式が「推奨」となった今、「絶対にこれを使わなければならない」という単一の標準は存在しません。
しかし、転職活動(中途採用)において選ぶべき「標準的な履歴書」には、明確な特徴があります。それは、新卒用やアルバイト・パート用とは異なる、**「転職者(中途採用)向け」**の様式である、という点です。
転職活動で採用担当者が最も重視するのは、あなたの「職務経歴」と「実務スキル」、そして「志望動機」です。したがって、「職歴」欄や「自己PR」「志望動機」の欄が広く設けられており、ご自身のアピールしたい内容を十分に書き込めるフォーマットが、中途採用における「標準」と言えます。
これらのテンプレート(雛形)は、転職サイトや厚生労働省のウェブサイトから、無料でダウンロードして入手するのが一般的です。
履歴書の「標準サイズ」。A4とB5、どちらを選ぶべきか
履歴書の用紙サイズには、主に「A4」と「B5」(一般的なノートの大きさ)の2種類があります。
かつてはB5サイズも多く使われていましたが、現代のビジネスシーンでは、全てのビジネス文書(資料、契約書など)は**「A4サイズ」**で統一されるのが標準です。
転職活動では、履歴書とセットで「職務経歴書」の提出が必須となります。この職務経歴書も、A4サイズで作成するのが一般的です。
応募書類全てのサイズを「A4」で統一することは、採用担当者が書類を管理しやすくするための「配慮」であり、これが現在の転職活動における「標準的なマナー」となっています。迷った場合は、A4サイズを選んでおけば間違いありません。
作成方法の「標準」。手書きとパソコン、どちらが適切か
作成手段についても、「手書き」と「パソコン(PC)」で迷うかもしれません。
かつては手書きが標準でしたが、現代の転職活動では**「パソコン作成」が主流であり、標準となりつつあります。**
企業から「手書き指定」がない限り、パソコンで作成する方が合理的です。
パソコン作成には、「誰が読んでも読みやすい」「修正が容易(一文字間違えても書き直す必要がない)」「基本的なPCスキル(文書作成能力)の証明になる」といった、多くのメリットがあります。
提出方法の「標準」。PDF化とメール送付のマナー
応募書類の提出方法も、郵送より、Eメールへの添付やWebフォームからの「ネット提出」が標準になっています。
この際、パソコン(WordやExcel)で作成した履歴書を、そのままのファイル形式(.docx や .xlsx)で送るのはマナー違反です。
採用担当者のPC環境によっては、レイアウトが崩れたり、文字化けしたりするリスクがあります。
作成した履歴書は、必ず**「PDF形式」**に変換(エクスポート)してから提出します。PDFは、どのような環境でも作成時のレイアウトのまま表示できるため、これがビジネスにおける「標準」のマナーです。
結論。「標準」とは「相手(読み手)への配慮」である
履歴書における「標準」とは、絶対的な規格(ルール)ではなく、**「採用担当者(読み手)が、読みやすく、管理しやすい」**状態を指します。
- サイズ:A4(職務経歴書と統一)
- 作成:パソコン(読みやすく、修正が容易)
- 提出:PDF(レイアウトが崩れない)
これらが、現代の転職活動において、応募先企業への「配慮」が最も伝わる、最適な「標準」の形と言えます。





