履歴書の「農業手伝い」。職歴欄への書き方と空白期間の扱
転職活動で履歴書を作成する際、職歴に「空白期間(ブランク)」があると、採用担当者にその理由を説明する必要があります。もしその期間中、「実家の農業を手伝っていた」「知人の農家を手伝っていた」という経験がある場合、それを履歴書にどう書けばよいか、悩む方は少なくありません。
「手伝いレベルだから、職歴とは言えないのでは?」
「一般企業への転職で、農業手伝いの経験はマイナスにならないか?」
こうした疑問は当然です。しかし、結論から言いますと、「農業手伝い」の経験は、空白期間を説明する上で非常に有効であり、書き方次第では強力なアピールポイントにもなります。
ここでは、履歴書における「農業手伝い」の正しい書き方と、その経験を「強み」として伝える方法について詳しく解説します。
1. 履歴書に「農業手伝い」は書くべきか?
「手伝い」であったとしても、その経験は履歴書に書くべきです。
採用担当者が履歴書で最も気にするのは、「説明のつかない空白期間(ブランク)」です。空白期間があると、「この期間、何をしていたのだろうか」「働く意欲がなかったのではないか」といった、ネガティブな憶測を呼んでしまいます。
「農業手伝い」をしていたという事実は、「何もしていなかった」のではなく、「労働に従事し、社会と関わっていた」という何よりの証明となります。
空白期間を作ってしまうことに比べれば、「農業手伝い」と誠実に記載する方が、採用担当者に遥かにポジティブな印象を与えます。
2. 「農業手伝い」は「職歴」になるか?
「手伝い」のレベル感(無給か、有給(アルバイト代)か、期間はどの程度か)に関わらず、転職活動においては、「空白期間の説明」として**「職歴」欄に記載する**のが一般的です。
採用担当者も、その期間に何をしていたかを把握するために、職歴欄を確認します。
3. ケース別:「農業手伝い」の履歴書への書き方
「農業手伝い」の経験を職歴欄に記載する場合、「入社」という言葉は使いません。「手伝い」や「家業への従事」といった、事実に即した表現を用いるのが適切です。
ケース1:実家(自営)の農業を手伝っていた場合
最も一般的なケースです。「入社」ではなく**「従事(じゅうじ)」**という言葉を使います。
【書き方 例】
2023年 4月 株式会社〇〇 一身上の都合により退社
2023年 5月 家業(〇〇農園)において農業に従事
(主に米、野菜の生産、収穫、出荷作業の手伝いを担当)
※もし、すでに手伝いを辞めて転職活動に専念している場合は、「2025年 3月 転職活動に専念するため家業を離れる」といった形で、最後の行に記載します。
ケース2:知人・友人の農家を手伝っていた場合(アルバイトなど)
もし給与(アルバイト代)が発生していたなら、それは「アルバイト」としての職歴です。
【書き方 例】
2024年 5月 〇〇農園(または、株式会社〇〇ファーム) 入社(アルバイトとして)
(〇〇(作物名)の繁忙期(5月〜9月)における、収穫および選別作業の手伝い)
2024年 9月 期間満了により退社
ケース3:無給で、不定期に手伝っていた場合
短期間の「手伝い」が複数ある場合や、ブランク期間が短い場合は、職歴欄ではなく、履歴書下部の**「本人希望欄」や「特記事項」欄**に補足として記載する方法もあります。
【本人希望欄での記載例】
「前職退職後、実家(または知人)の農業(〇〇の収穫)を手伝いながら、転職活動を行っておりました。」
4. 「農業手伝い」の経験からアピールできる「強み」
「手伝い」と謙遜する必要はありません。農業の経験は、異業種転職でも高く評価される「強み」の宝庫です。
これらの強みを、履歴書の**「自己PR」欄**などでアピールしましょう。
強み1:体力・忍耐力・継続力
農業は、天候や季節に関わらず、早朝からの作業や、時には過酷な環境下での労働が求められます。
- アピール:「コツコツと作業をやり遂げる継続力」や「ハードワークにも耐えうる体力」は、どの業界でも高く評価されます。
強み2:計画性・段取り力
「手伝い」であっても、作物の成長や収穫のスケジュール、出荷の段取りなど、全体の「流れ」を見て動いていたはずです。
- アピール:「目標(収穫)から逆算して、今日の作業を効率よく進める」という経験は、一般企業の仕事における「計画性」「段取り力」と全く同じです。
強み3:素直さ・吸収力
「手伝い」の立場は、「指示を正確に理解し、迅速に実行する」ことが求められます。
- アピール:「新しい作業や指示に対しても、素直に学び、早く戦力になろうと努めた」という姿勢は、新しい職場への「順応性」や「吸収力」として評価されます。
5. 履歴書「自己PR」欄での書き方(例文)
「農業手伝い」の経験を、ビジネススキルに「翻訳」した例文を紹介します。
例文1:(ブランクの説明 兼 強みのアピール)
「前職退職後、実家の〇〇農園にて農業を手伝っておりました。日々の作業計画に基づき、収穫から出荷までのプロセスに携わったことで、タスクの段取り力と、天候などに左右されずやり遂げる忍耐力が養われました。この経験を、貴社の〇〇業務でも活かしたいと考えております。」
例文2:(体力・継続力をアピール)
「私の強みは、体力と継続力です。〇ヶ月間、農業の手伝いとして、早朝からの収穫作業や重量物の運搬にも携わってきました。健康管理と体力維持には自信があり、貴社の〇〇職(例:営業職、現場職など)においても、タフに貢献できると自負しております。」
6. 結論。「手伝い」であっても、誠実な記載が鍵
転職活動において、「説明のつかない空白期間」を作ってしまうことの方が、遥かに大きなデメリットとなります。
「農業手伝い」をしていたという事実を、職歴欄や自己PR欄で誠実に記載すること。そして、その経験から何を学んだか(体力、継続力、計画性など)を、応募先の仕事に結びつけてアピールすること。
その「誠実さ」と「前向きな姿勢」が、採用担当者からの信頼を得ることに繋がります。





