履歴書の「ない」項目。空欄はNG? 「特になし」の正しい書き方
履歴書作成で直面する「書くことがない」という悩み
転職活動で履歴書を作成していると、「免許・資格」「賞罰」「趣味・特技」「本人希望欄」など、項目によっては「特に書くことがない」という状況に直面することがあります。
「書くことがないのだから、空欄のまま提出しても良いだろうか?」
「それとも、『なし』と書くべきか? 『特になし』が正しいのか?」
このように、書き方に迷う方は少なくありません。しかし、履歴書はあなたの「公的な応募書類」です。この「ない」場合の処理の仕方一つで、採用担当者に与える印象が変わってしまう可能性があります。
ここでは、履歴書の各項目で「書くことがない」場合に、どのように記載すべきか、その正しい書き方を解説します。
大原則:「空欄」のまま提出はNG
まず、履歴書作成における最も重要なルールの一つが、**「空欄のまま提出しない」**ことです。
採用担当者が空欄のある履歴書を見た場合、
- 「記入漏れ」(注意力が不足している)
- 「作成に手間をかけていない」(入社意欲が低い)
- 「書けない(書きたくない)事情があるのでは?」(何か隠している)
といった、ネガティブな印象を抱くリスクがあります。
たとえ書く内容がなかったとしても、その項目を「確認し、記載する情報がない」ということを、あなたの意思として明確に示す必要があります。
「なし」と「特になし」の使い分け
空欄を埋める際の基本的な書き方は、「なし」または「特になし」です。
どちらを使っても厳密なマナー違反にはなりませんが、より丁寧な印象を与え、一般的に広く使われるのは**「特になし」**という表現です。
ただし、項目によって推奨される書き方が異なる場合があります。
【項目別】「書くことがない」場合の正しい書き方
項目ごとに、具体的な「ない」場合の書き方を見ていきましょう。
1. 「免許・資格」欄に書くことがない場合
応募に活かせる国家資格や、運転免許なども含めて、記載できる資格が何もない場合。
書き方:「特になし」
この欄に「なし」とだけ書くと少し寂しい印象になりがちですが、「特になし」と記載すれば、項目をしっかり確認した上で、記載すべき情報がないことが伝わります。
(ワンポイント)
もし、現在応募先の業務に関連する資格取得に向けて勉強中であれば、「特になし」と書く代わりに、履歴書下部の「本人希望欄」や「特記事項」欄に「現在、〇〇(資格名)の取得に向け勉強中です」と記載すると、学習意欲をアピールできます。
2. 「賞罰」欄に書くことがない場合
「賞罰」とは、「受賞歴(賞)」と「犯罪歴(罰)」を指します。
社会人としての受賞歴(例:社長賞、業界団体からの表彰など)も、もちろん犯罪歴もない、という方が大多数です。この場合は、必ずその旨を記載します。
書き方:「なし」
「賞罰」欄に関しては、「特になし」よりも「なし」と簡潔に記載するのが一般的です。
3. 「趣味・特技」欄に書くことがない場合
「特技と呼べるほどのものがない」と悩む方が最も多い項目ですが、この欄に「特になし」と書くのは、最も避けるべきです。
採用担当者は、この欄からあなたの「人柄」や「個性」、「物事への継続力」などを知ろうとしています。「特になし」と書くと、自己分析ができていない、あるいはアピール意欲が低いと見なされる可能性があります。
(対処法)
「特技」のハードルを下げましょう。「他人より少し得意なこと(例:整理整頓)」「長く続けていること(例:ランニング、読書)」で十分です。
(例:「特技:整理整頓(デスク周りやPCのフォルダ管理が得意です)」)
4. 「本人希望欄」に書くことがない場合
職種や勤務地、給与など、応募の段階で「特に希望することはない」という場合。
この欄に「特になし」と書くと、「本当は何か希望があるのでは?」と勘繰られたり、意欲が低いと受け取られたりする可能性があります。
この欄で書くことがない場合の「正解」は、以下の定型句(じょうとうく)です。
書き方:「貴社の規定に従います。」
この一文を記載することで、「勤務条件に関しては、御社のルールに全てお任せします」という意思表示となり、協調性をアピールできます。
5. 「特記事項」欄に書くことがない場合
「特記事項」は、健康状態や勤務上の制約など、あらかじめ伝えておくべき特別な事項がないかを確認する欄です。
何もなければ、正直に「ない」と記載して問題ありません。
書き方:「特になし」
この欄は、「書くことがない」のが一般的ですので、空欄にせず「特になし」と記載しておけば十分です。
結論。「ない」場合も、丁寧な記載が評価を分ける
履歴書の各項目は、すべて採用担当者への「メッセージ」です。書く内容が「ない」場合でも、それを「空欄」で済ませるのではなく、ルールに従って「特になし」や「なし」、「貴社の規定に従います。」と適切に記載する。
その「ひと手間」こそが、あなたの「丁寧な仕事ぶり」や「ビジネスマナーへの理解度」を伝える、重要なアピールに繋がるのです。





