中途採用の履歴書。採用担当者はどこを見る? 新卒との違いと書き方
中途採用と新卒採用。履歴書における「評価基準」の違い
中途採用(転職)における履歴書は、新卒採用の時とはその役割と重要性が根本的に異なります。新卒採用の場合、採用担当者は応募者の「人柄」や「潜在能力(ポテンシャル)」、「学習意欲」などを重視します。学歴や学生時代の活動が、その判断材料となります。
しかし、中途採用で企業が求めているのは、原則として「即戦力」です。採用担当者は、応募者が**「これまでにどのような実務経験を積み、どのようなスキルを持っていて、入社後すぐにどう貢献してくれるのか」**という視点で履歴書を見ています。この違いを理解することが、書類選考を通過する第一歩です。
中途採用で最重要。「職歴」欄の正確な記載
中途採用の履歴書において、採用担当者が真っ先に、そして最も注視するのが「職歴」欄です。新卒採用では「学歴」が重視されますが、中途採用では学歴よりも職歴が優先されます。
この職歴欄は、あなたのキャリアの「概要」です。
- 「いつ」から「いつ」まで
- 「どの会社」に(会社名は必ず正式名称で)
- 「どのような雇用形態」で(正社員以外の場合は明記)
在籍していたのかを、時系列に沿って正確に記載する必要があります。「入社」「退社(あるいは「現在に至る」)」といったルールを守り、簡潔かつ客観的な事実を記載しましょう。この概要が分かりにくいと、採用担当者は次の「職務経歴書」を読む意欲を失う可能性もあります。
履歴書だけでは不十分。「職務経歴書」との連携が必須
中途採用において、履歴書は単体で完結する書類ではありません。必ずセットで提出を求められる「職務経歴書」との連携が極めて重要です。
- 履歴書 = あなたの「プロフィール」や「インデックス(索引)」
- 職務経歴書 = あなたの「具体的な実績」や「スキル」をアピールする「プレゼンテーション資料」
採用担当者は、まず履歴書の「職歴」欄を見て、応募者がどのようなキャリアを歩んできたかの「概要」を把握します。そして「この人の経験は、我が社の求めるものと合致しそうだ」と判断した場合、次に職務経歴書を開き、「具体的にどのような業務を行い、どんな成果を上げてきたのか」という詳細を確認します。
履歴書と職務経歴書の内容(在籍期間など)が一致していることはもちろん、履歴書で興味を持たせ、職務経歴書でその期待に応える、という流れを意識して作成することが重要です。
中途採用の履歴書で「志望動機」はどう書くか
新卒採用では「貴社の〇〇という理念に共感しました」「成長できる環境で学びたいです」といった志望動機も許容される場合があります。
しかし、中途採用では「学ぶ」という受け身の姿勢は評価されません。採用担当者が知りたいのは、「なぜ他社ではなく、自社なのか」そして「あなたの経験が、自社でどう活かせるのか」という点です。
中途採用の志望動機は、ご自身の職務経験と、応募先企業が求める人物像を結びつけ、「私の〇〇という経験(スキル)は、貴社の〇〇という業務(事業)において、このように貢献できると確信しています」という論理的なアピールが求められます。
「自己PR」や「長所」欄の戦略的な使い方
自己PR欄や長所欄も、新卒の時とはアピールする視点が異なります。「明るい性格です」「サークル活動を頑張りました」といった抽象的な内容では不十分です。
その「長所」が、ビジネスの現場でどのように活かされた(あるいは活かせる)のかを、具体的なエピソード(主に前職での経験)を交えて記載する必要があります。「〇〇という強み(例:調整力)を活かし、前職では〇〇という成果に繋げました」といった、実務に裏付けられたアピールが有効です。
中途採用でやりがちな履歴書の注意点
学歴の記載
中途採用の場合、学歴欄の重要度は下がります。最終学歴の一つ前(例:大学卒業なら高校卒業)から記載するのが一般的です。必要以上に詳細に書くよりも、職歴や自己PRのスペースを優先しましょう。
空白期間(ブランク)の扱い
職歴の間に空白期間がある場合、それを隠すのは逆効果です。採用担当者は必ずその期間に何をしていたのかを気にします。「資格取得のため〇〇スクールに通学」「家事都合により」など、正直かつ簡潔に事実を記載する方が、誠実な印象を与えます。詳細は面接で説明すれば問題ありません。
結論。中途採用の履歴書は「即戦力」を伝えるもの
中途採用の履歴書は、「あなたは何者で、何ができて、どう貢献できるのか」を簡潔に示すための書類です。新卒の時のような「熱意」や「人柄」のアピールも大切ですが、それ以上に「職務経歴」という客観的な事実と、それが応募先企業でどう活きるのかという「即戦力性」を、明確に伝える必要があります。
履歴書を「索引」として正確に作成し、その詳細を「職務経歴書」でしっかりと補足する。この二つの書類を連携させることが、書類選考を通過するための鍵となります。





