履歴書を英語で作成。英文レジュメの基本構成と日本の履歴書との違い
転職活動において、外資系企業や海外のポジションに応募する際、あるいは国内企業であっても特定の職務に応募する際に、「履歴書を英語で」提出するよう求められることがあります。この「英語での履歴書」は、一般的に「レジュメ(Resume)」と呼ばれ、私たちが日本で使い慣れている標準的な履歴書とは、その目的、形式、そして記載すべき内容において、根本的に異なる点が多く存在します。ここでは、英文レジュメを作成する上での基本的な考え方と構成要素について解説いたします。
履歴書を「英語で」作成する目的の違い
日本の履歴書が、応募者の氏名、生年月日、学歴、職歴といったプロフィールを網羅的に記載する「公的な身上書」に近い性格を持つのに対し、英文レジュメは、応募する特定のポジションに対して「ご自身がいかに適任であるかを積極的に売り込むため」の広告やパンフレットのような役割を持ちます。したがって、日本の履歴書をそのまま直訳するのではなく、応募先の求める人物像に合わせて、ご自身の経験やスキルを戦略的に取捨選択し、最適化して作成することが大前提となります。
英文レジュメの基本的な構成要素
英文レジュメには、日本の履歴書のような厳格な定型フォーマットは存在しませんが、一般的に含まれるべきとされる標準的な構成要素があります。まず「Contact Information(連絡先)」として、ご自身の氏名、電話番号、Eメールアドレスを記載します。次に「Objective(目的)」や「Summary(キャリア概要)」で、この応募におけるご自身の目的や、キャリアの要点を簡潔に述べます。そして最も重要な「Work Experience(職務経歴)」、続いて「Education(学歴)」、最後に「Skills(スキル)」として語学力やPCスキルなどをまとめるのが一般的な流れです。
英文レジュメで最も重要な「職務経歴」
「Work Experience」の項目は、英文レジュメの核心部分であり、日本の履歴書との違いが最も顕著に表れる部分です。日本の履歴書が「〇〇部にて〇〇業務に従事」といった事実の記載に留まることが多いのに対し、英文レジュメでは、単なる業務内容の羅列ではなく、ご自身がどのような「実績(Accomplishments)」を上げたのかを具体的に示す必要があります。記載は最新の職歴から遡る「逆時系列」が基本です。
実績を具体的に示す「Action Verbs」の使用
職務経歴における実績を示す際、英文レジュメでは「能動的な動詞(Action Verbs)」を使って文章を始めるのが定石です。例えば、「Managed(管理した)」「Achieved(達成した)」「Developed(開発した)」「Increased(増加させた)」といった動詞を用いることで、ご自身が主体的に行動し、成果を出したことを力強くアピールできます。可能であれば、「売上を15%向上させた」のように、具体的な数字を用いて成果を示すと、客観性と説得力が格段に高まります。
日本の履歴書と異なる「記載しない」項目
英文レジュメを作成する上で、国際的なビジネス標準として、採用の公平性を期すために「記載しない」とされている個人情報が多数あります。日本の履歴書では必須である「顔写真」は、原則として貼り付けません。同様に、「生年月日・年齢」、「性別」、「婚姻状況(未婚・既婚)」、「扶養家族の有無」といった、応募者の能力とは直接関係のない個人的な情報は一切記載しないのがルールです。
用紙のサイズと適切な枚数
英文レジュメを作成する際の用紙サイズは、国際標準である「A4サイズ」で作成するのが一般的です。また、内容はできる限り簡潔にまとめることが求められます。採用担当者が短時間で応募者の要点を掴めるよう、基本的にはA4用紙1枚、職歴が非常に豊富な場合でも最大2枚程度に収めるのが理想とされています。
提出時のファイル形式
英文レジュメは、手書きではなくパソコンで作成するのが大前提です。作成した書類をEメールやWebフォームで提出(Web提出)する際は、Wordなどの形式ではなく、必ず「PDF形式」に変換してから送付してください。PDF形式にすることで、受け取った相手の閲覧環境に依存せず、ご自身が作成した通りのレイアウトで表示され、内容の改ざんを防ぐこともできます。
まとめ。目的意識を持った「英語での」書類作成
履歴書を「英語で」作成する(英文レジュメを作成する)ことは、単なる翻訳作業ではありません。日本の履歴書とは異なる目的とルールを深く理解し、ご自身のスキルと実績を応募先のポジションに合わせて戦略的にアピールするための「全く新しい書類」を作成するプロセスであると認識することが、書類選考を通過するための第一歩となります。





