履歴書とエントリーシートの違いとは。目的と役割を解説
転職活動や就職活動で使用する応募書類には、履歴書とエントリーシートという二つの主要なものがあります。これらはどちらも選考の初期段階で提出を求められることが多いですが、その目的、形式、そして企業側が評価する視点において、根本的な違いが存在します。特に転職活動(中途採用)においては、この違いを理解し、適切な書類を準備することが、書類選考を通過するための第一歩となります。
履歴書の役割。応募者の基本情報を示す公的書類
履歴書は、応募者の氏名、生年月日、住所、連絡先といった基本情報に加え、学歴、職歴、保有する免許・資格などを記載する、公的な性格を持つ書類です。その主な目的は、応募者が募集要項の最低条件を満たしているか、どのような経歴を歩んできたのかという「客観的な事実」を採用担当者に正確に伝えることです。フォーマットはJIS規格など、ある程度標準化された様式を用いることが一般的であり、転職者であれ新卒学生であれ、ほぼ全ての応募者に提出が求められます。
エントリーシートの役割。主に新卒採用で用いる書類
エントリーシート(ES)は、主として新卒の就職活動において、企業が応募者を絞り込むために使用する独自の選考書類です。その最大の目的は、応募者の人柄、価値観、物事への取り組み方、そして自社への志望動機といった「主観的な側面」を知ることにあります。履歴書では分からない、応募者の個性やポテンシャル(潜在能力)を評価するための材料と言えます。
質問内容とフォーマットの根本的な違い
履歴書は記載する項目(学歴、職歴など)が決まっており、応募者はその枠を事実に基づいて埋めていきます。応募者が選ぶテンプレートによってレイアウトの差はありますが、問われる内容自体に大きな違いはありません。一方、エントリーシートは、企業が独自に作成するものです。そのため、フォーマットや質問内容は企業によって完全に異なります。「学生時代に最も力を入れたことは何ですか(いわゆるガクチカ)」や「自己PRをしてください」、「当社のどのような点に魅力を感じますか」といった、応募者の内面や考え方を問う記述式の質問が中心となります。
転職活動における位置づけと職務経歴書
転職活動(中途採用)において、エントリーシートの提出を求められるケースは非常にまれです。転職者に求められるのは、主に「履歴書」と「職務経歴書」の二つです。新卒採用でエントリーシートが担っていた「応募者の強みや熱意をアピールする役割」は、転職活動においては「職務経歴書」が担います。ただし、職務経歴書が問うのは学生時代のポテンシャルではなく、これまでに培ってきた具体的な「業務スキル」と「実績」です。応募者は職務経歴書を通じて、ご自身が即戦力としていかに企業に貢献できるかを具体的に示す必要があります。
Web応募フォームとの関係性
近年、企業の採用ページにあるWeb応募フォームから直接情報を入力して応募するケースが増えています。この応募フォームが、実質的に履歴書とエントリーシートの機能を兼ね備えている場合があります。学歴や職歴といった履歴書の基本情報を入力すると同時に、「志望動機」や「自己PR」、「活かせる経験」などを記述する欄が設けられていることが多く、これはエントリーシートの質問に答える行為に近いと言えます。
まとめ。書類の意図を正しく理解する
履歴書とエントリーシートの最も大きな違いは、履歴書が「応募者の過去の客観的な事実」を伝えるための標準的な書類であるのに対し、エントリーシートは「応募者の内面やポテンシャル」を知るために企業が独自に作成する(主に新卒採用向けの)書類であるという点です。転職活動においては、エントリーシートの代わりに、ご自身の即戦力性をアピールするための「職務経歴書」の準備が極めて重要となります。それぞれの書類が持つ意図を正しく理解し、採用担当者に伝わる適切な応募書類を作成しましょう。





