SES経験者のための職務経歴書の書き方。転職で強みを伝えるコツ
SESの転職と職務経歴書の悩み
SES(システムエンジニアリングサービス)、いわゆる客先常駐の形態での勤務経験は、転職活動の際に職務経歴書の作成で悩む点が多い分野の一つです。自身の所属会社(雇用契約を結んでいる会社)と、実際に業務を行っている常駐先(クライアント)が異なるため、経歴の記載方法が分かりにくくなりがちです。
また、プロジェクト(常駐先)が短期間で変わることも多いため、書き方次第では転職回数が非常に多いと採用担当者に誤解され、定着性への懸念を抱かれてしまうリスクもあります。
所属会社と常駐先の基本的な記載ルール
職務経歴書を作成する上での大前提は、雇用契約を結んでいる「所属会社」の情報を時系列に沿って記載することです。あくまで職歴は所属会社を基準とし、その会社に在籍している期間中に行った業務内容として、常駐先での業務を記載します。常駐先が変わることは「転職」ではありませんので、所属会社ごとに経歴をまとめることが重要です。
「プロジェクト単位」での業務内容の明記
SES経験を採用担当者に最も分かりやすく伝えるためのコツは、所属会社ごとの業務内容を「プロジェクト単位」で詳細に記載することです。所属会社の情報(在籍期間、事業内容など)を記載した後、その下に従事したプロジェクトを時系列や重要度順に並べていきます。
プロジェクト経歴の具体的な書き方
各プロジェクトについて、以下の情報を明確に記載することが求められます。
まず「プロジェクトの概要」(例。〇〇業界向け〇〇システム開発)、次に関わった「期間」、そして「常駐先企業の概要」(守秘義務に配l慮し、具体的な社名は伏せます)、自身の「役割」(例。メンバー、サブリーダー)、「担当フェーズ」(例。詳細設計、プログラミング、テスト)、そして最も重要な「開発環境(使用技術)」(例。言語、OS、DB、フレームワークなど)を明記します。
守秘義務への配慮について
SESの業務は、守秘義務契約により常駐先の具体的な企業名や、プロジェクトの詳細な内容を公開できないことが一般的です。職務経歴書に記載する際は、この守秘義務を遵守していることを示す必要もあります。
常駐先の企業名は、「大手金融機関」「通信事業者向け」「製造業A社」といった形で、業種や規模感が伝わる範囲でぼかして記載します。これにより、情報管理意識の高さも同時にアピールすることができます。
SES経験を「強み」としてアピールする方法
転職回数が多いと誤解されがちなSESの経験ですが、見方を変えれば、それは転職市場において非常に価値の高い「強み」となり得ます。
例えば、短期間で異なる常駐先(現場)の環境、人間関係、業務ルールに適応してきた経験は、「高い環境適応能力」や「柔軟性」の証明となります。また、様々な業界のプロジェクトや、多様な技術(レガシーな技術から最新技術まで)に触れてきた経験は、「幅広い業務知識」や「多様な開発環境への対応力」として高く評価されます。
自己PR欄での補足
職務経歴欄でプロジェクト経験を具体的に示した上で、自己PR欄では、これらのSES経験を通じて培われた「強み」(適応能力、幅広い技術への対応力、異なるチームでのコミュニケーション能力など)を、自身の言葉で補足します。これらの強みが、応募先企業でどのように貢献できるのかを論理的に結びつけることが、書類選考を通過するための鍵となります。





