職務経歴書に転職理由は書かない選択。そのメリットと注意点
職務経歴書と転職理由の記載判断
転職活動において職務経歴書を作成する際、「転職理由」を記載すべきか、あえて書かないでおくべきか、悩む方は少なくありません。履歴書とは異なり、職務経歴書のフォーマットは自由度が高いため、この項目の取り扱いは応募者の判断に委ねられる部分が大きくなります。転職理由は、採用担当者が応募者のキャリア観や定着性を判断する上で注目するポイントの一つであり、書かないという選択にもメリットとデメリットが存在します。
転職理由は必須項目ではない
まず前提として、職務経歴書において転職理由は必須の記載項目ではありません。そのため、転職理由を書かないという選択をしても、それ自体が直接的な選考落ちの理由となることは稀です。応募者の職務経歴やスキル、実績が企業の求める人物像と合致していれば、転職理由が記載されていなくても書類選考を通過するケースは多くあります。
転職理由を「書かない」場合のメリット
あえて転職理由を書かないことには、いくつかのメリットが考えられます。一つは、書類全体をシンプルに保ち、職務要約や具体的な業務内容、実績といった、自身が最もアピールしたい強みの部分に採用担当者の意識を集中させることができる点です。また、転職理由が人間関係や待遇面など、そのまま記載するとネガティブな印象を与えかねない内容である場合、あえて書かないことで、書類選考の段階で不要なマイナス評価を受けるリスクを避けることができます。
転職理由を「書かない」場合のデメリットと懸念点
一方で、転職理由を書かない場合には注意点もあります。採用担当者は、応募者が「なぜ前職を辞めた(辞めようとしている)のか」という点に必ず関心を持ちます。書類に記載がなければ、その疑問は解消されないまま面接に持ち越されます。
特に、転職回数が多い場合や、各社の在籍期間が短い職歴が含まれる場合に転職理由が書かれていないと、採用担当者が「定着性に懸念があるのではないか」という印象を強め、書類選考の段階で慎重な判断を下す可能性も否定できません。
「書かない」選択をした場合の面接準備
職務経歴書に転職理由を書かないと選択した場合、書類選考を通過した後の面接では、ほぼ確実に転職理由について質問されると想定しておく必要があります。むしろ、書類に記載がない分、面接官はより深くその背景や考え方を知ろうとするでしょう。
そのため、なぜ転職(退職)するに至ったのか、そしてそれが次のキャリア(応募先企業)でどう結びつくのかを、明確かつポジティブに説明できる準備を徹底しておくことが不可欠です。「書類に書かなかった」のではなく、「面接で直接、自分の言葉で伝えたかった」という姿勢で、一貫性のある論理的な回答を用意しておくことが重要となります。
結論。書くか書かないかは戦略的な判断
職務経歴書に転職理由を書くか書かないかは、自身のキャリアや転職理由の内容、応募先企業にアピールしたい優先順位などを考慮した上で、戦略的に判断すべきです。書かない選択をした場合は、面接での説明責任を果たす準備を万全に整えることが、転職成功の鍵となります。





